帰想神社夢(きそうじんじゃゆめ)   作:安幸 広

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第3話 「過去へ」

岳山は何度も携帯を見直した。しかし、日時は変わらなかった。

 

「何で2年前に戻ったんだ...!」

 

しかし、肝心な事を忘れていた。

 

「あ、夢か。(そういえばそうだ。記憶が正しければ俺はあの時寝たはず...!)」

 

???「それが夢じゃないんだよなぁ」

 

「...!?」

 

何者かが声を発した。

 

ぎょっとし、辺りを見渡す。しかし誰もいない。

 

「誰だ!?」

 

岳山は恐怖した。

 

「そんなに驚くなよ。机の上を見ろ。」

 

恐る恐る、机の上を見た。

 

...仮に過去に戻ったのなら、存在しないはずの物が机上に合った。

 

「おみくじ...!!!」

 

ありえない。絶対あり得ない。岳山は青ざめた。

 

「なんでおみくじがここに...!」

 

「ありえないなんてことはありえない。どっかの誰かが言ってたろ?」

 

確かにありえないが、この声は確実にこのおみくじから聞こえていた。

 

...ってか誰の言葉だ。

 

状況がまだ呑み込めなかったが、恐る恐る聞いてみる。

 

「俺は過去に戻ったのか...?」

 

「ん?そうだよ。今は紛れもなく2015年の5月1日だ。」

 

「どうして戻した...?」

 

「理由は簡単。お前が俺を引いたからだよ。」

 

意味が分からなかった。おみくじはさらに続ける。

 

「おみくじに【夢、起きる】ってあったろ?」

 

確かに、そんな文字があった気がする。しかし...

 

「過去に戻るなんて聞いてないぞ!?」

 

「そうだね...でも安心しな。完全に過去にもどったわけじゃないんだ」

 

「どういう...?」

 

「戻ったのは未来のお前が寝てる時間だけさ」

 

「は...?」

 

詳しく聞いてみると、現在の自分が寝ている間に過去に戻ることが出来るらしい。未来の自分が起きる時間になると、その場で終了。未来に戻る、とのこと。

 

「いや意味わかんねーよ!!!」

 

岳山、怒りの声を上げる。

 

「うるさいな...わかったよ、証明してやるよ」

 

「証明?」

 

「つってもわかるのは未来に帰ってからになるけどな。この机のどこか気にならないような場所に傷をつけろ。未来に帰ったらその傷がまだ残ってるはずだ。それが証明になる。

 

「うーむ...まあわかった」

 

そうして、言われるがままに机に傷を残す。

 

「これで傷が無ければこれは夢確定、あれば本当に過去に戻ったことに...。」

 

考えれば考えるほど変な感覚に陥るが、今は気にする暇はない。

 

「英語の授業休んだことになってんだけど」

 

「あぁ、大丈夫。過去のお前は今日本当に寝坊している。」

 

そういえば英語一回だけ休んだ記憶がある。

 

「まあ今日はお試しだし、未来を変えるようなことは俺には出来ないから安心しろ。まあ変える可能性があるのはお前の行動次第だがな。」

 

「未来が変わる...?」

 

「そうだよ、お前の行動次第では未来が変わるし、過去と同じような行動をすれば変わらない。シンプルだろ?」

 

そう。過去に戻った以上、過去の自分とは違う行動をとれば未来を変えることになる。

 

岳山は震えた。

 

「そんな恐ろしいこと...いや待てよ」

 

岳山が閃く。

 

「俺の行動によっちゃいい様に未来が変えられる...!?」

 

「大正解。そういうことだよ。」

 

岳山はさらに震えた。そんなの夢のような話じゃないか...!

 

...まあ夢かもしれないけど。

 

「ところで未来に帰るにはどうすればいいんだ?」

 

「あぁ。寝てる間、とは言ったが実際にはお前が俺に触れながら「「帰りたい」」って願えば帰れるよ。」

 

「そんな簡単に...」

 

「注意すべきは過去に滞在する時間が長ければ長いほど未来のお前の目覚めは遅くなる。普通なら普通。早ければ未来には帰るがあとは普通の夢を見て目覚めるだけだ。」

 

「遅すぎたらよくないってことな...」

 

「まあ今日は何か起こった日でもないしお試しみたいなもんだからもう帰ってもいいと思うぞ」

 

おみくじが帰りたそうな口調で言う。

 

「まあそうだな...わかったよ」

 

おみくじに触れ、願う。

 

「帰りたい」

 

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RiRiRiRiRiRiRiRiRiRiRiRiRiRiRi

 

けたましくアラームが鳴る。

 

「っ...」

 

ピっ

 

「朝か...ったくひどい夢だったな」

 

見渡してみても、いつもと変わらぬ部屋だった。

 

「大体過去に戻るなんて無理だろうがよ...」

 

機嫌悪そうに吐き捨て、ベッドから降りる。

 

「あれ、おみくじ机の上にある...」

 

ハっと思い出した。「夢」の中の出来事を。

 

「...いやまさか、な。」

 

 

「...これはっ...!」

 

そこには、「夢」の中で付けた傷が残っていた。

 

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