自由への飛翔   作:ドドブランゴ亜種

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ノリで書いた……

後半適当になっちゃった。
読まなくても本編とは余り関係ないので大丈夫です~


第15.5話 閉話(ネタ)

 □<アムニール> 【幻獣騎兵】ヴィーレ・ラルテ

 

 

 

 

 

 「一目ぼれだったわ……まさに運命!

  街道を歩くキミの美しい赤髪は、夕焼けの紅を映し出しどこか儚げ……美しい町娘のよう。

  弱弱しくも純粋でピュアな一輪の花。

  ……しかし! その目に宿るオレンジ色の瞳は炎のように燃え盛り、逞しい黒馬を連れそうキミはまるで騎士。

  そのギャップが……ワタシの欲望を掻き立てる!

  

  そしてワタシの勘が告げているわ!

 

  ―—キミのそのしなやかな腕! 

  ―—麗しくスラリとした脚!

  ―—そしてくびれた腰と程よく引き締まったお尻!

  ——慎ましくも形の良い胸!

 

  まさに黄金美、つい食べちゃ……いたいじゃなくて、舐めまわ……したいじゃなくて、エヘヘ」

 

 

 ——ジュルリ

 

 涎を啜るような効果音。

 同時に足元から嘗め回すように見つめる視線に背筋が凍り付く。

 

 

 「そして、スーハァー……この匂い!

  作られた匂いじゃない、少しの汗と女の子特有の柑橘系の甘さ!

  完璧だわ! 是非、お友達に……いや、今夜は家に泊まって仲を深め合いましょう。

  

  そしてゆくゆくは!」

 

 

 ……駄目だ。

 先ほどから悪寒が止まらない。

 目が合うたびに体が拒否反応を起こすようなギラついた視線、今すぐアレウスに乗って逃げ出したくなる。

 そんな目の前の女性……特殊な頭の可笑しい人に精一杯の強めの声で尋ねる。

 

 

 「……貴女は誰です……何が言いたいんですか?」

 

 

 すると目の前の変態は眼をしたたかせニヤリと笑う。

 

 

 「ワタシは【裁縫職人(ニードル・マイスター)】のレズ。キミと仲を深めたいと思っている女。

  そしてキミに言いたいのは……」

 

 

 レズ……? という変態は手をこちらへゆっくりと伸ばしながら言い放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キミのスリーサイズを教えて欲しい」

 

 「アレウス!」

 

 

 <旧・ハムレット平原>で師匠と別れてから半刻。

 <アムニール>でのアイテムの買い出しをしていた私は今日この日、初めて人を攻撃した。

 夕焼けの染まった空へ飛ぶ変態を見ながら、私は脱兎のごとく逃げ出したのだった。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 アレウスはSTRとAGIに伸びた亜竜級モンスター。

 その戦闘力は亜竜級モンスターの中でもトップクラスであり、《騎乗強化》を使えばドラゴンの竜燐さえ踏み砕く。

 そんな凄まじい脚撃を食らえば戦闘職でも大ダメージを負う……はずなのだが。

 

 

 「な、なんでそんなピンピンしてるんですか!?」

 

 「フッフッフ、それは私がレズだからさ!」

 

 

 意味が分からない!

 もはや会話すら成立していない。

 左手の甲の紋章から<マスター>であることは間違いなのだが、ここまで会話が成立しないのも初めてだ。

 いつの間にか先回りしていた彼女。

 私との距離を詰めるようにジリジリと迫りくる彼女に、全力で後ずさる。

 本当に意味が分からない!

 なんで、あの【ハイ・スパイラル・ドラゴン】よりも《危険察知》が鳴り響いているの!?

 

 

 「……それ以上近寄ったら私も本気で攻撃します」

 

 「……落ち着いて。ワタシの話を聞いて欲しいの」

 

 「話なら長々と聞きました。……ほんとに近寄らないで、ほんとのほんとに攻撃しますから」

 

 

 道を行きかうティアンや<マスター>の視線を気にする余裕もない。

 変態から距離をとりながら牽制する。

 まるで獲物を狙う捕食者と哀れな生贄の関係である。どちらがどちらかは言うまでもないだろう。

 そう言う意味ではまるで蜘蛛のような変態だ。

 なんと言うか……雰囲気からおぞましさを感じる。

 

 しかしあと少しのところで変なのに出くわしてしまった。

 回復系アイテムも沢山買ったし、矢の補充も終えた。

 アレウスの新しい馬鎧や鞍、高性能な【ジュエル】も買い終え、後は私の装備を整えれば準備は完ぺきだったのだが……。

 

 (しょうがない……もう一度ログアウトして時間を空けよう)

 

 メニューを開き、ログアウトを選択する。

 

 

 

 

 【他者接触状態につき、ログアウトできません】

 

 

 

 

 「……え?」

 

 

 同時に前方を見ると先ほどまでの変態が姿を消している。

 そして違和感を感じ、足元を見ると……

 

 

 「お願いです~、話だけでも」

 

 

 変態が足首をがっしりと掴んでいたのだった。

 生産職のはずだがその手は万力のようにビクともしない。

 このまま止めを刺してしまえば自由になれるのだが……そこまでしようとも思えない。

 

 

 「……わかりましたから。とにかく場所を「ほんと!?」……」

 

 

 私はガックリと肩を落としたのだった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 あれから変態に連れられて入ったのはレジェンダリアの端に建つ小さなアトリエだった。

 【裁縫職人】としての仕事場なのだろう。

 辺りには服のデザインのような絵が散らばり、服を縫い付けるのに必要な木の人形模型が並んでいる。

 散らばった絵は【絵師(ペインター)】でも取っているのか驚くほど正確で上手い。

 そのアトリエは一度見学した事のあるデザイナーの仕事を思い出させた。

 変態の仕事場とは全く思えない場所だ。

 

 

 「とにかく座ってっ! ねっ!」

 

 

 せがまれるような形で椅子に座る。

 すると彼女は唐突に話し出した。

 

 

 「改めて! ワタシは【裁縫職人】のレズ、見ての通り<マスター>よ」

 

 

 変態……レズは左手の紋章をアピールするように私に見せる。

 

 

 「……【幻獣騎兵】のヴィーレです。それで話って何ですか」

 

 「もう! せっかちなんだから、そんな焦らず二人で一緒に……ごめんなさい、話すからログアウトしないでぇーー!」

 

 

 凄まじい速さで脚に飛びついてきたレズ。

 そんなレズに私もメニューを閉じて距離をとる。

 ……今日師匠との修行が終わったばかりで疲れているのだ。あまり動かせないで欲しい。

 私はシクシクとウソ泣きをする彼女を見てため息を吐く。

 

 

 「わかりましたから……速く話してください」

 

 

 すると彼女は元気よく立ち上がり、自身の事について話始めた。

 

 

 「ワタシはリアルでは結構有名なデザイナーで「ダウト……」……本当よ!」

 

 

 駄目だ、思わず口が出てしまった。

 怒る彼女に謝りつつ、話を進めるように促す。

 

 

 「……ワタシはイ・ギ・リ・スでブランドを手掛けるファッションデザイナーなの! 結構有名なデザイナー何だから!

  それでワタシ、現実では作れないようなファンタジー的な洋服を作ろうと思って。

  だから、ここレジェンダリアを選んで【裁縫屋(ニードルワーカー)】に就いたのよ」

 

 

 ……どうやら人は見かけに寄らないらしい。

 確かにここに散らばっているデザインも本職さながらだ。

 変態はただの変態ではなかったようだ。

 

 

 「<エンブリオ>も裁縫に特化した形で孵化して、これから自由に服を作って、売って、着て貰えるんだと思ってたの。

  だけど、現実は違ったわ……」

 

 「作った服が売れなかったってこと?」

 

 「いいえ、違うわ。

  【裁縫職人】はカンストしてるし、<エンブリオ>もつい先日第四形態に進化したわ。ファッションデザインだってリアルで磨いてきたつもり」

 

 

 ……第四形態。

 羨ましい。

 掲示板でもほとんどが第三、第二形態だ。

 つまり彼女は<マスター>の中でもトップクラス、作った防具も売れないことは無いはずだが……

 

 

 「……そして気づいたの。ワタシ自身には問題はないって。

  問題は……レジェンダリアの<マスター>が変態ばかりだった事」

 

 

 ……自分でそれを言うのだろうか。

 

 

 「【裁縫職人】として私に来た初めての依頼は……戦闘で使える白ブリーフの作成だったわ」

 

 

 心なしかその声は怒りに震え、拳は固く握り込まれている。

 ……ブリーフってなんだろ?

 

 

 「ワタシもリアルではプロよ。

  <エンブリオ>のスキルも駆使して戦闘に耐えられる……履き心地のよい装備として作り上げたわ」

 

 

 ……なんだか素が出てきてる?

 怒りに目が吊り上がり、顔が真っ赤に染まっていく。

 

 

 「ワタシが作り上げた記念すべき一着目。

  あんなパンツだったのは腹立たしかったけどそれなりに愛着ももっていたわ……。

  だけど、彼奴は、あの<マスター>は! あろうことかパンツを顔に装備しやがった!」

 

 

 ……ブリーフってパンツの事?

 なるほど、変態だ。

 怒りに震える彼女を見ながらレジェンダリアの<マスター>を思い出す。

 確かに今に思えば、全身タイツやアヒルの模型を腰に付けた<マスター>なんかがいた気がする。

 てっきりアームズの<エンブリオ>だと思っていた。

 

 

 「……でもそれがどう私に繋がるんですか? 確かに同情はしますけど……」

 

 「キミに一目ぼれしたのさ! その強さで初期装備のワンピースを着ているのを見てピンと来たのよ。

  キミに……ヴィーレに私の服のモデルになってもらおうって!」

 

 

 ……モデル?

 街中で彼女の作った服を着ろと言う事だろうか?

 

 

 「ワタシの作った防具を使って欲しいの。

  ワタシは出来る限り良い防具を作ってキミに提供する。

  キミはただで防具が手に入るし、ワタシは【裁縫職人】として名前が売れるわ。

  ね? Win-Winでしょ?」

 

 

 思っていたよりまともな提案だ……。

 もっと頭の可笑しい要求をしてくるのだと思ってた。

 

 

 「私はいいけど……レズが損するんじゃないの?」

 

 「ええ、最初はね。だけどキミの名が売れればワタシも儲かるし、名前を売るのは大切な事よ」

 

 「うん……。レズがそれでいいなら私もいいよ。私も新しい装着を探していたところだし」

 

 「ほんと!? それなら契約成立ね!」

 

 

 彼女は嬉しそうに笑いながら手を握ってくる。

 そんな彼女に私も笑いかけと、ハグしようとしてきたので寸前でかわす。

 

 

 「いきなりだけど……明日までに新しい装備が欲しいの。

  モンスターのドロップアイテムなら提供できるから、服型の防具って作れる?」

 

 

 明日は大事な最後の試練。

 出来る限り良い防具をそろえていきたい。

 私の疑問に彼女は嬉しそうに頷く。

 

 

 「ええ! だけど丁度キミが装備できそうな装備があるのよ、これなんだけど……」

 

 「水着みたいな防具は着ないから」

 

 

 アイテムボックスを探っていた彼女の動きが止まった。

 ……水着だったのか。

 やはり有名なデザイナーだが変態だ。

 

 

 「……これは、……モデルを引き受けてくれた記念ね?

  防具はアイテムを提供してもらえるなら、一時間ほど貰えれば作ることが出来るわよ?」

  

 

 取り出した水着型装備を手渡されながら考える。

 一時間で作れるんだ……それなら十分間に合う。

 モンスターからのドロップアイテムも魔蟲系モンスターが落とした糸のような物から、金属のような毛皮までかなり余っている。

 どれを使うかは分からないが数としては十分だろう。

 

 

 「じゃあ、お願いします」

 

 「契約パートナーとしての初仕事ね! だけどデザインはどうする?」

 

 

 デザインかぁ~。

 恥ずかしくなくて、動きやすい服装ならなんでもいいんだけど……。

 

 (あれ? これって……)

 

 その時、視界に入ってきたのは一枚の服のデザイン。

 短めのワンピースとコートを組み合わせたような服のデザインだった。

 流石、プロのファッションデザイナー。

 見た限り動きやすそうだし、少しファンタジー的な服装で可愛い。

 

 

 「そのデザインにするのかしら? ブーツも作るなら多少時間は掛かるけど」

 

 「……うん。これでお願いします」

 

 

 同時にアイテムボックスからドロップアイテムを取り出し、レズに渡していく。

 どうせ売るつもりだったアイテムだ。

 使えそうなものからどんどんと取り出す。

 

 

 「……これだけいい素材があれば、じゃあしばらく時間を貰うわ」

 

 

 同時にレズの左手が光り、彼女の<エンブリオ>が出現する。

 それはまるで機織り機と大きな蜘蛛が組み合わさった様な<エンブリオ>。

 生き物では無さそうなので、アームズかキャッスルのどちらかだろう。

 

 

 「これがワタシの、【潜変織蜘 アラクネー】。TYPE:キャッスル・テリトリーの第四形態<エンブリオ>よ」

 

 

 アラクネー、ギリシア神話に登場する機織りの女性と蜘蛛のアラクネがかけてあるのかな?

 レズが私の渡したドロップアイテムを真剣に選び、蜘蛛の背中辺りに挿入すると【潜変織蜘 アラクネー】が糸を紡ぎ、布を織り始めた。

 

 

 「【潜変織蜘 アラクネー】は使用した素材によって強度や耐性、スキルのついた布を織ることが出来るわ。

  今入れたのは、【亜竜甲蟲】のドロップアイテムだから強度の高い金属的な布が出来るの。そこから服にするのは私の腕次第だけど」

 

 「凄い……ですね。これならいい防具が出来そう」

 

 「ええ、私の仕事は布が織終わってから。……後五分程度かしら。

 

 

 

  だからその間に……採寸しましょ」

 

 

 レズは手をワキワキさせながらこちらへ振り向く。

 その手にはメジャーが握られてはいるが……涎が垂れてるのでギルティだ。

 逃げ出したいが……『採寸』は確かに重要な作業だ。

 

 

 「へ、変態だ……」

 

 

 私は断ることも出来ない。

 逃げることも出来ない。

 私は抵抗することも出来ず、変態の魔の手につかまったのだった。

 

 

 

 

 




【潜変織蜘 アラクネー】
マスター:レズ
メインジョブ:【裁縫職人】
サブジョブ:【裁縫屋】【靴職人】
 
TYPE:キャッスル・テリトリー

素材にしたドロップアイテムの特性や強度、スキルを強化し布へと造り替える。
織る布は素材依存。

糸系統の素材では遥かにアイテムとしての性能が高く、ファッションデザイナー兼裁縫職人であるレズのリアルスキルで結構強い防具ができる。

形としては結構大きめの蜘蛛型工房。

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