自由への飛翔   作:ドドブランゴ亜種

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二章……めっちゃ延びた……

沢山の評価アリです、励みになりましたー





エピローグ1 ヴィーレの再挑戦

 □<旧・ハムレット平原> 【騎神】ヴィーレ・ラルテ

 

 

 

 

 

 ――“交易都市”<ブルターニュ>での事件から二週間。

 

 

 

 <DIN>によってデンドロ内に発信されたビッグニュースが、デンドロ内で大きく話題になっていた。

 突如<ブルターニュ>に出現した二体の<UBM>による侵攻。

 

 

 ――『逸話級』<UBM>、【炬心岳胎 タロース・コア】

 ――『古代伝説級』<UBM>、【嵐竜王 ドラグハリケーン】

 

 

 <DIN>命名――通称、“妖精囲い”。

 国家事業とも言える『<UBM>の討伐』、その<UBM>が自ら街を襲うというのはとても珍しかったらしい。

 山奥の小さな村だと珍しくはないが、これほどの主要都市。

 更に<UBM>が二体(・・)と言うのは歴史に類を見ない出来事だったようだ。

 

 その“妖精囲い”はティアンに不安と焦燥感を。

 そして、<マスター>に興奮と期待感を与えた事件として、歴史に大きな傷跡を残すこととなった……らしい。

 

 ティアンと<マスター>。

 立場の違いが明確になった事件だとも報じられていたが――――私にはよく分からない事だ。

 

 

 

 「……二体、か」

 

 

 ため息交じりに呟かれた言葉。

 その声には何処か哀愁が混じっていた。

 報じられたのは【タロース・コア】と【ドラグハリケーン】の名前だけ。

 

 そこには<ローゼン村>でのティアンの死も、天然温泉の村での殺戮も――原因だった【殺戮熾天 アズラーイール】の名も。

 ……一文字も綴られてはいなかった。

 むしろ、<ブルターニュ>でのティアンの死者は居らず、『神様の奇跡だ』と喜ばれる記事ばかりが不思議と目に付いた。

 

 

 「……」

 

 

 『神様の奇跡』で死んだティアンが居た。

 最後まで祈り続け……微笑んで、涙を流し死んでいったアイラちゃんが居た。

 別にそのことを他の人にも知ってほしい、と言うわけではない。

 ただ、未だにあの夜の事を思い出すと胸が「チクリ」と痛みを訴える。

 何か大切なモノを失ったような――虚無感が心を満たしてくるのだ。

 

 

 ――『妖精囲い』

 

 

 ……二体の<UBM>に<ブルターニュ>が囲まれたわけではない。

 三体の<UBM(・・・・・・・)>が三方向同時(・・・・・・・)に現れた(・・・・)、だから『囲い』などと言う表現をしているのだ。

 

 

 「これで良かったんだよね……アイラちゃん」

 

 

 ――小さな声。

 その声に返事を返す者はいない。

 

 ――握るスティレット。

 その短剣は驚くほどに冷たかった。

 

 結果、事件は<マスター>に喜ばれ、死者がいないという記事はティアンを勇気づけている。

 半分以上が瓦礫と化した<ブルターニュ>も、急ピッチで復興を遂げている。

 だから……きっとこれでいい。

 そんな風に私自身の気持ちに区切りをつけ、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 「……うん、よし! 行こう――フェイ!!」

 

 

 地面にポッカリと空いた縦穴。

 底が見通せないほどに暗い――<トラーキアの試練>へと繋がるダンジョンの入口へと、体を宙に投げ出したのだった。

 

 

 

 

 

 ◇<トラーキアの試練>

 

 

 

 

 

 「――わぁっ! 何だか……懐かしい、かな?」

 

 

 前回とは違い、フェイに《騎乗》し地底湖に着水することなく降り立った私。

 目に映りこんできたのはあの時と変わらない――幻想的な風景。

 

 青白く光る苔。

 宙を飛び回ながら光る蛍。

 底が見える程に澄み渡り、光を反射する地底湖。

 

 あの時と全く変わらない、それほど時間は経っていないのに懐かしく感じてしまう光景である。

 自然と上がる頬。

 疲れていた気持ちが解けるように、自然と笑みが浮かんでくる。

 

 

 「確か、前来たときはフェイはまだ卵で、私もただの【騎兵】だったんだよねー」

 

 『KWEEEEEEE??』

 

 

 覚えてないのだろうか?

 首を傾げて不思議そうな声で鳴くフェイ。

 あの時のフェイは今以上に面倒臭がりだったから、覚えていないのかもしれない。

 しかし……そう思うと随分成長したものである。

 

 私は【騎兵】から【幻獣騎兵】、そして【騎神】に。

 フェイは第一形態から今では第三形態に。

 アレウスも今では『40レベル』近くまでレベルが上がっているし、新しいアロンという仲間も出来ている。

 

 

 「あの時はデスペナルティになりそうになりながら必死に踏破したけど……」

 

 

 第五階層での【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】。

 第十階層での【ハイ・スパイラル・ドラゴン】。

 

 たくさん戦って、逃げて、そして倒した。

 今でもよく覚えている修行時代の思い出だ。

 だから……今日ここに来たのは自分の力を試す為の『再挑戦』と、ある目的(・・・・)の為。

 

 

 「今度こそ完全踏破したいね、ね? フェイ」

 

 『KWEEEEEEEEEE~~!!』

 

 

 前回はアレウスと共に挑んだが……今日はフェイに《騎乗》してのチャレンジ。

 私は右手に強弓――【純穿蛇竜の強弓・ネイティブ】を握り、優しくフェイの燃える赤い羽根を撫でる。

 そして……

 

 

 「……行こう!!」

 

 『KWEEEEEE!!』

 

 

 大きな掛け声と共に、超音速機動で空中を飛翔しだしたのだった。

 <トラーキアの試練>への再チャレンジ。

 ――と言う名の『タイムアタック』である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――<トラーキアの試練・第五階層>

 

 

 ――『三分』

 それがここまでに要した時間。 

 前回、数時間掛けて突破した道のりがまるで嘘のように感じられる攻略速度だ。

 ……もっとも、まともに戦闘をしていない、と言った要因もこの攻略速度の理由の一つではあるが。

 地下へと伸びる『自然型ダンジョン』。

 <トラーキアの試練>の内部は天井も高く、フェイに《騎乗》しての攻略も何の問題も起きなかったのだ。

 

 

 ――歌声を上げながら襲い掛かってくる【フォレスト・ハーピィー】の群れ。

 フェイの《紅炎の炎舞》で焼き払う。

 

 ――次の階層へと続く道に立ちふさがる【一重刃角巨猪(モノホーン・ワイルドボア)

 遠距離から強弓でその体を討ち貫く。

 

 

 ここまでくるともはや戦闘とは呼べない。

 一方的な通りすがりの虐殺である。

 結果、戦闘の内容はどうあれダンジョンの半分――かつて死にかけた因縁の場所まで踏破することが出来ていた。

 

 

 「……ここまで来たね」

 

 

 感慨深げに洩れた独り言。

 ――第五階層。

 ここも以前来た時と少しも変わらない、整った森が広がっていた。

 

 ――様々な種類の果物の樹木。

 ――草花は生え伸びながらも、休憩できそうな少し開けた森。

 ――その中央を横断するように流れる地底湖の河。

 

 だけど……私はここに潜む強敵を知っている。

 今日、ここに来た目的の一つでもあるのだ、忘れるはずも無い。

 

 

 「やっぱり居るね……【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】」

 

 

 師匠より長い――数百年の年月を生きる『純竜級』モンスターである。

 前は逃げるしか道は無かったけど……今日の私は一味違う。

 

 

 「……奇襲も分かってたら脅威じゃないからね。時間も勿体ないし、一撃で決着をつけよう」

 

 『KWEEE?』

 

 「うん、さっきまでと同じように河の……あの少し池みたいになっている上に飛んで、フェイ」

 

 

 【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】も既に私に気が付いているだろう。

 だから……敵の攻撃範囲のギリギリ外。

 第五階層の遥か上空へ飛ぶ、そして……

 

 

 

 

 

 ――腰のアイテムポーチから一つのアイテム……【鑑定士のモノクル】を取り出し。

 

 

 「……うん、見える」

 

 

 森を流れる河の丸池。

 その湖の底に埋まるような形で存在する【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】のコアを《透視》した。

 気配を消し、その姿を森へと同化させることが出来る【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】。

 しかし、コアを消すことが出来るわけではない。

 だから……

 

 

 「フェイ、炎を貸して?」

 

 『KWE、KWEEE』

 

 

 上空から真下へ……コアを狙い撃つように構えた強弓。

 その弓につがえる矢が真紅の炎帯びて燃えた。

 

 

 『――――――――――――――――ッ!!』

 

 

 攻撃の気配を感じ取ったのか動き出す森。

 同時に私の体を重力が襲い、自身のコアを守るようにドーム状に森が覆っていくが。

 

 (――遅い)

 

 自身の体を大きくする方向に『進化』をした結果か。

 それとも『植物系』モンスターだからか。

 その動きは欠伸が出る程に遅い。

 真下へ矢を射るだけなので手も震えはしない。

 私はゆっくりと、大きく弓を引き絞って、

 

 

 「……少し呆気なかったかな?」

 

 

 その手を引き放った。

 

 

 ――轟音。

 

 

 吹き上がる炎が消えると同時に見えたのは、少し大きくなった河の丸池。

 そして燃滅した森と代わりに残った【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】のドロップアイテムだった。

 私はフェイにお願いして、ドロップアイテムを回収する。

 そして……

 

 

 「……とりあえず、最下層まで一気に行っちゃおっか?」

 

 『KWEEEE!!』

 

 

 ――因縁の敵。

 あっさりと消滅した【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】の居た第五層をあとにし、再びダンジョンを突き進み始めたのだった。

 

 

 

 

 

 ◇<トラーキアの試練・第十階層>

 

 

 

 

 

 「……ボスも意外と呆気なかったね。前回攻略してからそんなに時間が経ってないからかな……?」

 

 『BURUUUUUUU~』

 

 

 <トラーキアの試練>の最下層。

 

 

 ――地上から十層分の階層を越えて流れ込む地底湖の澄んだ水。

 

 ――壁にびっしりと張り付いた光り苔が淡く光り、水面を照らす。

 

 ――そして湖の中央には蒼銀の金属で造られた祭壇と大きなクリスタルが浮かび上がっている。

 

 

 ダンジョンの入口の湖に引けを取らない程、綺麗な地底湖。

 私はそんな風景を鑑賞しながら、軽く首を傾けた。

 不思議に考える疑問。

 それは第九階層で待ち構えていた『ボスモンスター』の強さについてだ。

 <トラーキアの試練>の最下層のボスモンスター。

 

 それは大きな金属の身体を持つ――【ブロンズ・スプリガン】というモンスターだった。

 

 金属の身体を持つ【ブロンズ・スプリガン】と炎を操るフェイでは相性が少し悪い。

 最後だけはアレウスに《騎乗》して戦ったのだが……

 

 

 「――あれは『亜竜級』だったよね? てっきりもっとすごい強敵が待ち構えていると思ったんだけど……」

 

 

 ……呆気ない。

 私は予想以上の苦戦の無さに少し拍子抜けを感じていた。

 【ブロンズ・スプリガン】も決して弱くない。

 『亜竜級』の力を持ち、生半可な攻撃は通らない強固な岩肌。以前の私なら負ける確率もそれなりにあったはずだ。

 ……今回はアレウスの剛蹴りによって、一撃で砕け散ったが。

 

 (【ハイ・スパイラル・ドラゴン】が特別だったっていうことなのかな?)

 

 そんなことを考える。

 ここが『自然型ダンジョン』というのも理由かもしれない。

 

 

 「また、『神造ダンジョン』にも行ってみたいね、アレウス。そうすれば理由も分かるかもしれないし」

 

 『BURUUUU?』

 

 

 深く考えすぎてもしょうがない。

 そんな答えに納得するように考えるのを止めた。

 此処に来た目的は別にある。

 とりあえず、目的を達成しておかなければならないが……

 

 

 「……その前に開けてみよっ」

 

 

 私はそう言いながら【アイテムボックス】から二つの箱を取り出した。

 木で出来た手のひらサイズの四角い箱と金属製の四角い箱だ。

 

 ――【純重隠樹の宝櫃】

 

 ――【亜竜岩像の宝櫃】

 

 先ほどまで手に入れたドロップアイテムの【宝櫃】である。

 他の【宝櫃】はあまり良くなさそうなのでそのまま売るつもりだが、この二つは開けてみたい。

 

 (やっぱりこういうのってドキドキするね)

 

 リアルでのクラスメイトが『ガチャ』? でよく叫んだりしている気持ちが少しわかるような気がする。

 ――賭け事。

 そんなのリアルではやったことも無いが、このワクワク感は嫌いじゃない。

 私は期待に胸を膨らませながらゆっくりとその【宝櫃】に触れ。

 

 

 「【純重隠樹の宝櫃】、【亜竜岩像の宝櫃】をオープンしますか? YESっ」

 

 

 弾むような気持でそのウィンドウをタップする。

 

 

 

 【【純重隠樹の矢筒】を獲得しました】

 【【亜竜岩像の全身鎧・ネイティブ】を獲得しました】

 【【テレパシーカフス】を獲得しました】

 【【エメンテリウム】を獲得しました】

 

 

 

 「……当たり、かな?」

 

 

 少なくとも【純重隠樹の矢筒】と【テレパシーカフス】は使えそうである。

 私はそれぞれの詳細の乗ったウィンドウを開き、目を通す。

 

 

 

 

 

 【純重隠樹の矢筒】

 【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】のレアドロップ。

 重力を感じない程軽い矢筒、数百年生き続けた古代樹の木材で出来ている。

 

 ・装備補正

 なし

 

 ・装備スキル

 《自動装填》

 《重量軽減》Lv.3

 

 ※装備制限:合計レベル100以上

 

 

 

 【テレパシーカフス】

 同じアイテムを装備中のフレンドと念話出来る。

 

 ※装備制限:なし

 

 

 

 

 

 特に【純重隠樹の矢筒】は使えそうである。

 矢を入れておくだけで《自動装填》で勝手に弓に装填してくれるのだろう。

 

 ――簡単に持てるほど軽く、古びた黒い木材の矢筒

 

 私は【純重隠樹の矢筒】に目を輝かせながら、さっそく腰のベルトに装備する。

 

 (少し大きいけど……軽いし特に問題はないかな)

 

 【テレパシーカフス】の方は……ホオズキにでも渡しておけばいいだろう。

 すぐにモンスターを狩りに行ってしまうので、探すのに苦労していたのだ。

 これでその苦労が無くなると信じたい。

 

 

 「【亜竜岩像の全身鎧・ネイティブ】は……レズに作ってもらう新しい装備の材料にしよっ」

 

 

 こう考えれば、外れは無かったのだろう。

 私はその結果が嬉しく、自然と笑みを浮かべ……

 

 

 『BURUUUUU……?』

 

 「あ、うん、そうだね。ありがと、アレウス」

 

 

 心配そうに小さく嘶くアレウスへと視線を向けた。

 私が本来の目的を忘れているのではないかと心配してくれているのだろう。

 そんなアレウスに感謝を伝えながら、黒い毛並みを優しく撫でる。

 私が<トラーキアの試練>の最下層まで来た理由は一つ。

 

 

 「【転職診断カタログ】~」

 

 

 ――そう、『転職』である。

 

 私は既に【幻獣騎兵】と【騎兵】をカンストしている。

 【騎神】も『レベル15』までは上がっているが……出来れば別のジョブもカンストさせておきたい。

 師匠曰はく、【神】シリーズの『超級職』はステータスの上昇が低いらしい。特に【騎神】はその中でもステータスの上昇が全くない、『ピーキー』なジョブであるらしいからだ。

 一番の候補は【従魔師】と【女戦士】だけど。

 

 

 「……新しいジョブがあるかもしれないしね」

 

 

 取り出した【転職診断カタログ】を地面へと広げ、電子音声の質問に答えていく。

 そして……

 

 

 

 

 

 

 ――五分後。

 

 

 

 

 

 

 私の目の前には【転職診断カタログ】から導き出されたジョブが映し出されていた。

 

 

 ――下級職であり、レアジョブである【女戦士】

 

 ――同じく下級職であり、従魔を強化できる【従魔師】

 

 ――上級職であり、ドラゴンへの騎乗に特化した【竜騎兵(ドラグーン)

 

 

 そして、

 

 

 「――【先駆者(パイオニア)】、かぁー」

 

 

 【先駆者】は初めて見るジョブだ。

 恐らく【斥候】の非戦闘職バージョンといったところだろう。

 ダンジョンなど探索に向いており、バフも使えるジョブ。

 私もダンジョンにはいつか潜ってみたいとは思っているし、基本スキルのバリエーションを増やしておきたいところである。

 だけど……

 

 

 「……うん、決めた」

 

 

 正確には決めていた。

 その為にこの<トラーキアの試練>の最下層まで来たのだから。

 蒼銀の金属で建てられた祭壇。

 私はそこに浮かぶ大きなクリスタルに片手で触れ、ウィンドウを操作する。

 そして――目の前に新たなウィンドウが出現し。

 

 

 

 【【女戦士】へと転職しますか?】

 

 

 

 私は迷うことなく『Yes』を選択した。

 すると同時にウィンドウが点滅し、私のジョブが【女戦士】へと変化する。

 

 

 「……【騎神】の時はキラキラしたエフェクトが出たけど」

 

 

 下級職だからだろう。

 エフェクトは一切なく、ただジョブが切り替わっただけのようだ。

 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――ふぇ?」

 

 『BU、BURUUUUUU!!』

 

 

 次の瞬間、装備していた防具が――服が消えていた(・・・・・・・)

 レズに作ってもらった騎乗専用装備である【スカーレット act.1】。

 

 

 ――初期装備で付いてきたシンプルな下着。

 

 ――弓を引くための胸当てと腰ベルト、そして【花冠咲結 アドーニア】だけが未だに装備されている。

 

 ――逆にそれ以外の場所は……現実と同じ、女性らしいくびれと白い肌が露わになっていた。

 

 

 「―――――――――――ッ!!」

 

 

 そんな自身の格好に、思わず頬がリンゴのように真っ赤に染まる。

 ――恥ずかしいっ!!

 誰も居ないのは分かってはいるが、それとこれとはまた別の話だ。

 「自分から服を脱いだ」と「強制的に脱がされた」ではその意味は大きく異なる。

 

 (と、とりあえずもう一回【騎神】に……!!)

 

 凄まじい速さで脈打つ心臓の音。

 同時に全力で【クリスタル】を操作し、【騎神】に就くと同時に【スカーレット act.1】を《瞬間装備》する。

 そして――私は大きくため息を吐いた。

 

 

 「あ、焦ったぁ……危うく他の<マスター>と同じに――変態になっちゃうところだった」

 

 

 これが街中で起きた場合を想像するが……ゾッとしない。

 

 (ホオズキを連れてきてなくて良かった……)

 

 心の底からそう思う。

 シュリちゃんとここで一緒に泳ごうなんて考えていた自分が恐ろしい。

 鎮まりだした鼓動を聞きながら、ゆっくりと装備が解除された原因であろうウィンドウを指でスクロールしていく。

 

 

 

 

 《魔獣咆哮(ビースト・ロア)》Lv.1

  ・アクティブスキル

  スキルレベルに応じて、敵のENDを減少させる。

  自身の元々のSTRを従魔のAGIに加算し、従魔元々のAGIを自身のSTRに加算する。

  加算率はスキルレベルに依存。

 

 

 《女帝の刻印》

  ・パッシブスキル

  一部の装備品の装備不可。

  一部の装備品の性能向上。

 

 

 

 「……」

 

 

 ――絶句。

 言葉が出ない。

 《魔獣咆哮》は強力な上、少しだけ『従魔キャパシティー』も増えている。

 しかし……それ以上に目を引いてしまうのは……

 

 

 「《女帝の刻印》って」

 

 

 使い辛い。

 きっと【蛮戦士(バーバリアン・ファイター)】に近いジョブ制限なのだろうが……使い辛い、その一言に尽きる。

 思わず引くつく頬。

 今日何度目か分からないため息が無意識に零れた。

 

 (仕方がないかなぁー)

 

 既に【女戦士】を選んでしまったのだからしょうがない。 

 今からでもジョブの変更は出来るが……

 

 (――どうしてだろう?)

 

 不思議と【女戦士】をリセットする気にはなれなかった。

 思わぬアクシデントがあったからだろうか? 

 体が――指輪をはめた指(・・・・・・・)が熱を帯びている。

 私は顔を上げ、涼しげに澄んだ地底湖に視線を落とした。

 

 思った以上に<トラーキアの試練>の踏破や目的を達成してしまったからだろう。

 地上で待ち合わせているホオズキとの集合時間には、まだかなり余裕がありそうだ。

 

 

 

 

 

 

 ――そうなればやることは一つ。

 

 

 

 

 「アレウス、前みたいに水浴びしよっか! ……て、あれ?」

 

 

 笑顔で振り向いた先。

 そこには何かから目を反らすようにそっぽを向く、おどおどしたアレウスの姿があったのだった。

 

 

 

 




女戦士(アマゾネス)
【戦士】系統派生、下級職。


転職条件:
・《騎乗》Lv.5
・<トラーキアの試練>最下層の【クリスタル】での転職。


ステータス傾向:
・STR&HP特化型ジョブ


ジョブスキル:
魔獣咆哮(ビースト・ロア)》Lv.1
 ・アクティブスキル
 スキルレベルに応じて敵のENDを減算。
 自身の元々のSTRを従魔のAGIに加算し、従魔の元々のAGIを自身のSTRに加算する。
 加算率はスキルレベルに依存(Lv.1:10%)


《女帝の刻印》
 ・パッシブスキル
 特定の装備品の装備不可。
 特定の装備品の性能上昇。


備考:かつてレジェンダリアの<旧・ハムレット平原>に住んでいた『ヒュリア族』が習慣として就いていたジョブ。
   【樹霧浸食 アームンディム】の襲来と<トラーキアの試練・第五階層>を占領していた【ハイド・グラビティー・グラトニーフォレスト】。
   <トラーキアの試練・第九階層>のボスだった【ハイ・スパイラル・ドラゴン】の三つの要因が相合わさり、全滅した……と言われている。
   上位職、超級職ともにロストジョブとなった。
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