自由への飛翔   作:ドドブランゴ亜種

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第7話 【戦車競走】ー(下)

 □<“決闘都市”・ギデオン> 【騎神】ヴィーレ・ラルテ

 

 

 

 

 

 『――――おまたせしましたぁ!! それでは、これより【戦車競走】の最終決戦……決勝戦を行いたいとおもいますゥ!!』

 

 『『『『『うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおーーーッ!!』』』』』

 

 

 闘技場内に響き渡るアナウンス。

 その声に呼応するかのように観客の怒声が響き渡った。

 ――まるで拍手と歓声の豪雨。

 この一大イベントの大トリなのだから当たり前と言えば当たり前だ。

 【戦車競走】の始まった際のような昂った熱意が、限界を超えて今なお上昇し続ける。

 そして――

 

 

 

 『まずは一人目、東の門より【戦車競走】に大波乱を巻き起こした者ォォ!! 【騎神】ヴィーーーーレ!! ラルテェェェェエエエ!!』

 

 

 

 ――アナウンスと共に響きわたる大歓声。

 私はそんな声に従うように、薄暗い通路からスポットライトの当たる闘技場へと歩み出る。

 第一ブロックと何も変わらない。

 アレウスに《騎乗》しながら、フェイが変化した【不死鳥の炎帯】が背後で仄かに揺らめいた。

 これが今の私に出来る最大限の装備。

 少し見慣れ始めたアレウスの黒馬鎧を撫でながら、ゆっくりスタートラインへと歩き出す。

 

 

 「……盛り上がってきたねっ!」

 

 『BURURURURUUUUUU-ーッ!!』

 

 『KWEEEE~~』

 

 

 決勝への出場権を真っ先に手に入れた私。 

 そんな私もまた、その熱に侵されたように身体を熱くさせていた。

 

 (一レース目は直ぐに終わっちゃったからね)

 

 余りに速く終わってしまった【戦車競走】。

 僅か四周ばかりで決着がついたことに対する消化不良が、より一層私の血を滾らせている。

 手綱を握る手が汗で滲む。

 (あぶみ)に掛けられた足に力が入る。

 普段は感じない経験に、ドキドキするような緊張感に私は薄っすらと笑みを浮かべた。

 

 

 「……不思議だね、今なら何でもできそうな気がする」

 

 

 ――負ける気はしない。 

 目指すは『優勝』

 手に入れるのは『勝者』の称号と【怒涛之迅雷】だけだ。

 私はそんな何処からか溢れてくるかも分からない自身に苦笑を漏らす。

 そして――歓声が鳴りやん(・・・・・・・)()闘技場に顔を上げた。

 

 

 ――出場者は全員出そろった。

 ――しかし、決勝戦が始まるには早すぎる時間だ。

 

 

 私はそんな状況に小さく首を傾げ……

 

 

 「……【騎神】っていうのは随分高みから見下ろすのがお好きなようだ」

 

 

 いつの間にか隣に居た男性の<マスター>。

 アレウスよりも一回り小さく、その毛並みは真っ白な魔馬に《騎乗》した【天馬騎兵】へと振り向いた。

 

 

 「……私が隣に居るのも気が付かなったと言った顔ですね。舐められたものだ」

 

 

 名も知らぬ男性。

 ――いや、私が聞き逃したであろう名前の<マスター>は、私を見ながら自嘲的な笑みを浮かべる。

 その目には何処か苛立たし気な。

 ……私に対する敵意が込められていた。

 

 (……見覚えが無いんだけど)

 

 これまで一度として言葉を交わしたことも無い<マスター>。

 そんな男性からの突然の敵視と皮肉に頭が困惑する。

 いや、違う。

 この<マスター>だけじゃない(・・・・・・)、決勝戦に出場を果たしたであろう私を除く四人の<マスター>。

 その全員の目には私に対する敵意が込められていたのだ。

 より一層、困惑する私。

 そんな私の疑問に答えをくれたのは隣の男性ではない――闘技場に響いたアナウンスだった。

 

 

 

 『これは意外な事となりましたァ!! 四か国それぞれからの猛者達。<レジェンダリア>からの出場である【騎神】を除いた出場者!! 

  その全員――四人ともが<カルディナ>からの出場した一つのクラン、<砂塵旅団>のメンバーだぁぁぁぁあああッ!!』

 

 

 

 そのアナウンスに再び四人へと視線を向ける。

 そして……全員が共通して装備のどこかに掘られているエンブレム、『砂嵐と牙』のマークを見た。

 

 

 「……全員同じクラン?」

 

 「……ようやく気が付いたのか。つくづく舐められたものだ」

 

 

 皮肉気な声。

 その言葉に反論しようとし……口を閉じる。

 

 (アナウンスを聞き逃したのはホントのことだし……)

 

 彼ら――<砂塵旅団>に気が付かなかったのは事実。

 私は無言で彼らを見ることしか出来なかった。

 そんな私の様子に尚更苛立ったかのように男性はその眉を歪ませた。

 

 

 「……『強制クエスト』」

 

 「え?」

 

 

 その言葉に。

 突然の驚きに私は目を見開いた。

 

 

 「実は私達も貴女と同じように【戦車競走】で優勝するようにと『強制クエスト』を受けてるんだよ。……最も、<カルディナ>からのクエストだがな」

 

 「なんで――」

 

 「「なんで」……なんて聞くなよ。そんな事、私達が知るわけもないだろ。――まぁ、あえて予想するなら【怒涛之迅雷】を出せるほどの資源の豊富さのアピールと【戦車競走】で優勝できるほどの力のアピールってところだろうけどな」

 

 

 ……きっとその言葉に嘘は無い。

 <砂塵旅団>はただ『強制クエスト』を受け、優勝するようにとしか言われてないのだろう。

 そして……もちろん不正もしていない。

 各国が推薦できるのは一人のみ。

 <アルター王国>だけは主催国ということで推薦枠は二つ持っているが、他国にはそれが無い。

 つまり……

 

 

 「……全員が予選から勝ち上がってきたの?」

 

 「当り前だ。私達はそんな小細工はしない……まぁ、多少は<カルディナ>からの支援を受けているがな」

 

 

 心外だとでも言いたげに目を吊り上げる男性。

 彼はそう言いながら、自身の跨る白馬(・・)の装備する馬具一式をポンッと叩いた。

 四人が揃えて装備する騎獣用の装備。

 それらは揃えたかのように同じような見た目をしており、見るからに高価そうなアイテムであることが窺えた。

 

 ――不正ではない。

 

 確かにそうだ。

 この程度は不正とも言えない。

 むしろこの程度は、この一大イベントである【戦車競走】へ出場する<マスター>への当たり前の支援とも捉えられた。

 

 (――うん、不正だったら観客が一番に反応してるもんね)

 

 仮にそんな不正を“決闘都市”に住まう<ギデオン>のティアンが。

 【戦車競走】を観戦しに来た他国からの観光客が見過ごすはずも無い。

 私は疑ってしまったことに対して、隣の男性に小さく頭を下げた。

 

 

 「その、疑ってすいません」

 

 「……謝るな。疑われることなんて初めっから承知の上だ」

 

 

 そんな私に向け、男性は小さく笑う。

 そして――再び敵意の籠った視線で私を貫いた。

 

 

 「それに…………これから全員でお前を潰すんだからな」

 

 

 男性は短くそう言い切った。

 そして一息つくと口を開く。

 

 

 「私達はこの【戦車競走】に感謝している。――【騎神】の座を早々に奪い取ったお前をここで倒せるんだからな」

 

 「……全員で、ですか?」

 

 「はなから『超級職』に『上級職』で叶うとも思っていない」

 

 

 ここまでの会話でようやく私は理解する。

 先ほどまでの私を見る目に込められた『敵意』、それは『強制クエスト』での敵同士だからと言うだけではない。

 

 (『超級職』を奪い合う者としての敵意だったんだね……)

 

 『超級職』――それはこの世界でしかただ一人しか就けないジョブにおける『玉座』。

 そんな『玉座』を早々に奪い取った私は、【騎兵】系統の<マスター>にとっては敵以外の誰でも無かったのだろう。

 その事実に小さくショックを受ける。

 だけど……

 

 

 「……【騎神】は譲らないよ」

 

 

 ――【騎神】は。

 師匠の意志を引き継ぐのは私だ。

 どれだけ敵視されようとも、【騎神】を譲れと言われたとしてもこれだけは譲れない。

 それが私の意志――この世界で貫き通す信念だ。

 

 

 「……」

 

 

 返答は無かった。

 代わりに響き渡ったのは闘技場へのアナウンス。

 ――試合開始を促すアナウンスだった。

 

 

 

 『皆様、準備はよろしいでしょうか!! これより結界を起動します!!』

 

 

 

 そのアナウンスに湧き上がる観客たちの歓声。

 そして――

 

 

 「――行くよ、アレウス、フェイ」

 

 

 もう男性のことは気にならなくなった。

 視線はただ前へ、これから駆け抜けるだろう闘技場の広大なトラックへと向ける。

 そんな私の手には強弓が――握られていなか(・・・・・・・)った(・・)

 

 

 ――両手で握りしめるのはただ一つ……アレウスの手綱。

 

 

 攻撃をしない――『完全な騎乗態勢』だ。

 空耳になりそうなほど響き渡っていた歓声が次第に耳から消えていく。

 『ゾーン』と言うらしい。

 極度の集中状態によって集中するもの事態に没頭し、それ以外の情報を脳内から遮断する現象。

 すでに体の感覚さえも不確かな感覚で私は視線の先だけを睨んだ。

 そして――不明瞭なアナウンスが響く。

 

 

 

 『それでは! メインイベント、【戦車競走】、決勝戦…………』

 

 

 

 手に汗で滲む感触がした。

 

 

 

 『……………………スターーーートォォォォオオオ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――『ガチャ、コンッ!!』

 

 

 同時に隣から……隣の隣の隣、一番離れた出場者から“何か”の音が聞こえ。

 

 

 ――『ドンッ!!』

 

 

 走り出そうとするアレウスと《騎乗》する私。

 そんな私達に向け、高速で何かが飛(・・・・・・・)翔したのだった(・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 □□□

 

 

 

 

 

 ――『加速度』

 

 

 それは加速する速度……などと言うわけではなく『加わる速度』。 

 単位秒あたりに対する変化する速度変化率を表しているベクトル量だ。

 工学系なら授業で、仕事で嫌と言うほど見ることになるもの。

 しかし……今ここで言いたいのはそんな『加速度』についてでもない。

 

 

 『0からの――静止状態からの加速度』

 

 

 その値は物体によって様々だ。

 

 ――道路を時速何十キロで走行する車。

 ――国と国を跨ぐように空を高速で飛ぶ飛行機。

 ――ましてや超音速(・・・)……マッハ2で飛ぶジェット機。

 

 そのどれもが初めから最高速度と言うわけではない。

 仮に爆破など何らかの形で加速しない限り、ほとんどの物体の0からの加速度はそれほど大きいものではないのだ。

 

 

 そして、それはこの<Infinite Dendrogram>も同じこと。

 

 

 同時にこれは『仮の話』、そうこれより先の仮定の話だ。

 

 0から超音速で黄金の義手を振るう【尸解仙(マスターキョンシー)】が。

 その超音速の攻撃を弾き返す【超闘士(オーヴァー・グラディエーター)】がいるかもしれない。

 

 しかし『走る』と言う動きはそれらとはわけが違う。

 

 これは腕を振る……といった動きよりも遥かに複雑で難しい動きだ。

 それ故に九万と言う破格の超音速機動で走る存在が居たとしても、その初速はせいぜいが亜音速だ。

 本来のスピードの十分の一にも届きえない。

 

 

 ――行動を起こす瞬(・・・・・・・)()

 

 ――行動を起こし終(・・・・・・・)えた瞬間(・・・・)

 

 ――そして息を吐く、吸うといった瞬間。

 

 

 それらは現実でも、そして例えゲームの世界だとしても隙になる。

 故にアレウスが、ヴィーレが疾走しようとする瞬間。

 動き出した瞬間は誰も疑いようがない……例え、亜音速であろうと攻撃が可能な致命的な隙(・・・・・)だった。

 

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

 

 ――【砲撃騎兵(カノン・ライダー)】である<マスター>の【撃鉄瞬銃 ビリー・ザ・キッド】による抜き撃ち。

 

 

 ソレは――クラン<砂塵旅団>にとっての作戦であり、『先手必殺(・・・・)』の一手だった。

 【騎兵】系統ジョブに就いた者ならだれもが持ちうる弱点。

 

 ――広域攻撃に対する防御力の無さ。

 ――騎獣の駆けるスピードと自身のAGIによる速度の差。

 ――静止からの駆け始めの速度の無さ。

 

 それらを<砂塵旅団>は誰よりも良く、誰よりも分かっていた。

 彼らは“貿易国家”<カルディナ>に所属するクラン。

 砂漠や荒野地帯でこの三か月を過ごし、【騎兵】系統の<マスター>によって作られたクラン――それが<砂塵旅団>である。

 故に彼らは考えた。

 

 

 ――『例え【騎神】といえど、その弱点は無くならないのではないか?』

 

 

 そして……それは正しい。

 此処は闘技場、【救命のブローチ】は使えないのだから。

 そして『早撃ち』と『《騎乗》状態における射撃補正』が掛かる【撃鉄瞬銃 ビリー・ザ・キッド】、その一撃はヴィーレを一撃で戦闘不能に陥れることが出来るほどの威力を秘めていたのだから。

    

 

 まさに同時。

 アナウンスが響くと同時に放たれた一発の弾丸は宙を走る。

 

 

 ――仲間には当たらない。

 幸いなことにヴィーレが跨る騎獣。

 【グランド・デミ・スレイプニル】であるアレウスは他の騎獣よりも一回り大きかったからだ。

 頭一つ飛び出たヴィーレ。

 そしてその頭を狙うことなど、AGI型である【砲撃騎兵】の女性にとっては容易い。

 

 

 

 

 

 ――走り出す四人の騎兵。

 

 ――真っ直ぐにヴィーレの頭へと向けて飛翔する銃弾。

 

 

 観客たちはそのあまりに突然な出来事に歓声を上げる暇も無かった。

 走り出した三人の<砂塵旅団>の出場者は仲間を信じて駆けだしていた。

 『先手必殺』を打ち込んだ【砲撃騎兵】はその銃弾の弾道に確信した。

 そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――――《我は不死鳥の騎士為り》」

 

 「なァッ!?」

 

 

 それも、また一瞬。

 小さく呟かれたのその『スキル』。

 その言葉を耳にしたのはヴィーレの隣にいた男性だけだった。

 

 

 ――瞬間、ヴィーレの身体を覆うように構成された『真紅の炎の甲冑』

 

 

 その炎は銃弾を撃ち込んだ【砲撃騎兵】にも届くほどの熱量を持っている。

 近くに居れば【火傷】しそうなほどに劫火。

 唯一人、騎獣の足を止めていた【砲撃騎兵】はその熱に目を細め。

 そして――それを見た。

 

 

 「嘘でしょ?」

 

 

 目に映ったのは少し態勢を崩したヴィーレの姿。

 

 

 ――『当たる直前、宙で融解した一発の銃弾』だった。

 

 

 それは《我は不死鳥の騎士為り》の副次効果。

 任意で上げるステータスに込めたMP&SPに応(・・・・・・・)じた熱量を持っ(・・・・・・・)た甲冑(・・・)を形成するというもの。

 そして、今回ヴィーレがつぎ込んだのMP&SPは『全て(・・)』。

 

 

 結界が解ければ全てが元通りになる――だからこそヴィーレは躊躇わない。

 

 

 それは例えるのなら【炎王(キング・オブ・ブレイズ)】の《プロミネンス・オーラ》によく似ていた。

 高温の熱量は容易く放たれた銃弾を溶かしきるに至り、衝撃だけをヴィーレに伝えた。

 ……『先手必殺』の失敗。

 そして同時に『ヴィーレが攻撃された』。

 この事実に憤怒したモノがいた。

 

 

 『BURURURURUUUUUUッ!!』

 

 「まっ」

 

 

 次の瞬間、【砲撃騎兵】の<マスター>は光の残滓となって消えていた。

 そして、その場所には――何かを蹴り上げた格好のアレウスの姿。

 

 

 スタートの合図からほんの数秒。

 

 ――一人目の脱落者だった。

 

 

 『『『『『お、うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!??』』』』』

 

 

 観客は何が起きたかも理解しきれずに興奮の声を上げるのみ。

 

 

 「……」

 

 

 鼻息荒く地面を蹴り、走りたげなアレウス。

 ヴィーレはそんな中、無言で前を見据えていた。

 視線の先、そのオレンジ色の瞳が映すのは半周先を疾走する三人の騎兵の姿。

 

 

 「……舐めてないよ」

 

 

 ポツリと零されたのはその言葉。

 隣に立っていた男性の<マスター>から言われた皮肉への反論だった。

 

 

 「口酸っぱくして言われたからね、『戦場では油断はしてはいけません』って」

 

 

 ――『ガチャン』

 その言葉と同時に『炎の甲冑』のバイザー(目を守るための可動式の部分)を引き下ろす。

 

 

 ――バイザーに空いた隙間から覗き見えるオレンジ色の瞳。

 

 ――真紅の炎の甲冑と腰からなびく五本の炎帯。

 

 ――激しく嘶く半神の【スレイプニル】である軍馬。

 

 

 そして――ヴィーレは手に握り込んだ手綱を握り、その鐙を強く馬鎧に打ち付けた。

 

 

 「……全力で行くよ――アレウスッ!!」

 

 

 同時に真紅の軌跡だけを残し、アレウスは駆ける。

 彼我の距離は約半周。

 観客が、疾走する三人の出場者がその距離を見た。

 あまりにも大きく優位な『半周差という距離』――それがあまりにも頼りなさげに思えた瞬間だった。

 

 

 

 

 




――え、七話? ほのぼの話?


そんなもの、なかったんや……
この時点で全十話(予定)に伸びました。
 

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