「薫お兄さん、こんな所で挫けるんですか。私はあなたの勇姿を見せてもらいました。あんなにもかっこよく戦っていたのにあんなことで戦いを放棄するんですか。」
うつむいていた薫は顔を上げて零羅に言った。
「僕にはもう戦う理由がないんだよ。美紅利と一緒に帰るために僕は戦ってきたんだ。それなのに美紅利が存在しないなんて。」
「存在しないのは美紅利としてで、他の名前で存在するのかもしれませんよ。」
「だとしても、神威君のような人間の可能性もあるんだよ。彼女が性別を偽ってたのかも知れないんだよ。」
「それでも、薫お兄さんは美紅利さんを愛してたんですよね。それなら、彼女を信じてあげてください。誰にも信じてもらえないのは辛いですから。」
零羅は悲しそうでもあり、悔しそうでもある表情をした。
「私は一族のことでいじめられてきました。誰もみんなのことを信じてくれず。私のことすらも信じてくれない。だから私は真実を追い求めることにしたんです。」
「それが僕となんの関係があると言うんだい。」
「信じてもらえないのは自分を否定されるのと同じです。あなたが信じてあげない限り、彼女は存在出来ません。彼女を愛してるなら彼女の真の姿を探してあげてください。この戦いの果てにその真実を見つけてください。それが私からあなたにあげられる戦う理由です。どうか頑張ってください。」
その時、薫は立ち上がった。
「そうか。名前は違っても彼女の姿であれば同一人物だ。そうだよ。その名前と彼女自身を見つけてあげられれば、彼女は存在出来るんだ!」
薫が立ち直り始めた瞬間、リアボリスとメルヘリアが戻ってきた。
「どういうこと。メルヘリアが心を折ったはずなのに復活しかけてる。」
「零羅が原因ね。」
零羅は薫の後ろに立った。
「薫お兄さん、頑張ってね。会えてよかったよ。必ず勝って真実を見つけて。莉亜お姉ちゃんと芽琉お姉ちゃんを倒してね。」
「あぁ、任せてくれ。僕が絶対に勝ってやるぞ!」
薫が後ろを振り向くとそこには変わり果てた零羅の姿があった。全身から血を吹き出して倒れる零羅がそこにあった。薫は目を疑った。
「えっ?どういうことだ。なんで零羅がこんな姿になってるんだ。」
メルヘリアが静かに言った。
「零羅は絶望の魔女ヘルケイズとの契約でここに来れたけど、ルールでどちら側にもつかず中立的な立場にいなければならなったらしいわ。そのルールを破ってあなたの側についたからあの子は全身の血管と皮膚が破裂して大量出血をして死んだのよ。」
「零羅はバカだね。中立的な立場を守り続ければ私達とも一緒にいれたのに、愚かなことをして薫側につくなんて本当にバカだよ。」
薫はゆっくりと零羅に近づきその体を抱きしめた。そして泣きながら薫は言った。
「僕は君達を絶対に許さない!実の妹がこんな姿になったのに最低だよ!」
「きしし、愚かな零羅が悪いんだよ。」
「薫さん、もう一度チャンスをあげるわ。命をかけてあなたの戦意を戻した零羅に敬意を表してのチャンスよ。無駄にしないことね。」
薫は歯を強く噛み締めた。
「このチャンスを無駄にするか!絶対に君達を倒す!」
薫は魔女のテストの後、しばらくしてから客間に戻った。客間に戻ってから5時間が経過した。誰も戻ってこない。薫は一人で酒を飲んでいた。ワインを二本飲み終えたところでお屋敷中を見て回った。
三階に行き、当主部屋の鍵が開いているの気づき入った。当主部屋には相馬、紫音、城助、春香、隼人、清美、剛座、業の8人の遺体があった。しっかり調べてみると8人は魔女の儀式の通りに死んでいた。それを確認してから芽亜里の部屋に向かった。
芽亜里の部屋に着いたが鍵が閉まっていた。当主部屋で死んでいた隼人、剛座、清美、業の四人から回収した鍵で扉を開けた。入ってみると芽亜里が電話台の側で寄っかかって死んでいた。頭の半分が潰れた状態だった。
その次に薔薇庭園に向かった。東屋に奏太の遺体が横たわっていた。奏太は胸を2、3回撃たれたようだった。
森の中に使われていない井戸があるのを知っていた薫はそこに向かった。その井戸の側に美紅利、美代子、弥勒の遺体があった。全員胸を撃たれていた。井戸を覗いたが固く閉ざされてる上に真っ暗でよく見えなかった。
薫は裏口からお屋敷に入ろうと思いそこに向かった。その途中で蓮司、優香、秋楽の遺体を発見した。その3人も胸を撃たれていた。
裏口からお屋敷に入ると側の部屋に向かった。そこは普段から使われていない部屋だった。その部屋の鍵を開けて入ると彩芽の遺体があった。電話台の側に弾痕が二つあった。つまり彩芽は三発目で死んだ。
お屋敷の中もゲストハウスも薔薇庭園もお花畑も森も探したのに優妃と莉亜と芽琉と神威と源蔵が見つからなかった。地下室を調べてないのを思い出して行ってると、地下室の明かりがついていた。入ってみると地下室の隅に源蔵の遺体が眠るように安置されていた。口元から泡が出ていることから毒殺と推察された。
全ての確認を終えた薫は魔女の肖像画の前にやってきた。
「クロノエル。いや、メルヘリア。そこにいるんだろう。」
肖像画を見る薫の背後にメルヘリアが現れた。
「えぇ、ここに居ますよ。何の御用なんですか?」
薫はメルヘリアの方を振り返って言った。
「君との決着をつける。このゲームのトリックと犯人を全て暴いてやる!」
「大元の戦いの最終決戦ですね!クロノエルに代わり、このメルヘリアが受けて立ちましょう!」
この大きな戦いに終止符を打てるのだろうか。第4ゲームの最終決戦が始まる。