スカサハの娘に産まれて人理焼却で死にました。   作:ホワイダニット

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母親の決意

冬の城、アインツベルンの城に一人の訪問者が現れた。深い赤みがかった黒髪に完全防寒の出で立ち、しかし完全防寒にもかかわらず端から見てもその人が女性とわかるライン。その人は吹雪の中、アインツベルンの結界を通り抜けて中に入っていく。雪をかき分け遠くに見える城を目指して人影は進む。

 

「雪香さま、ようこそいらっしゃいました。奥で旦那さまがお待ちです」

 

玄関に到着した女性…雪香にアインツベルン謹製のホムンクルスメイドが出迎える。

 

メイドの案内の下、この城の当主であるアハト翁の居る部屋へと歩を進める雪香。

 

コン、コン。

 

「旦那さま、雪香さまがいらっしゃいました」

 

扉を開け雪香が部屋へ入室する。メイドは一礼すると自分の持ち場に戻っていった。

 

「遠路はるばる当家にようこそいらっしゃった。雪香どのにおかれましてもご健勝のようでなにより」

 

アハト翁は雪香に対しアインツベルンの当主としてはあり得ないような丁寧な挨拶をする。

 

「心にも思ってないこと言わないでさっさと要件を言ったらどう」

 

どうやら心のこもっていない社交辞令はいらないとばかりに本題を求める雪香。

 

「ふん、貴様はあいも変わらずアインツベルンが嫌いか、セスカ」

 

するとアハト翁の口調が大きく変わる。

 

セスカと呼ばれた女は軽く鼻を鳴らすと

 

「別にアインツベルンが嫌いなんじゃないわ。私はあんたが嫌いなのよ坊や」

 

齢百数十年を数えるアインツベルン現当主のアハト翁して坊やと呼ぶセスカ。

 

「ふん、1500年以上を生きる貴様からしたらこの儂も小僧か…」

 

鼻を鳴らすもののため息をついて天井を仰ぐアハト翁。

 

「ふう、しかしマキリが滅んで60年ほどか。ゾォルケンも延命に人食等という真似をしなければ貴様に滅ぼされることもなかったろうに」

 

かつて共に大聖杯を作り上げた家が目の前の女に容易く滅ぼされている実状になんとも言えないアハト翁。

 

「言っておくけどアインツベルンもグレーということを理解していますか?次に冬木の民草を巻き込む様なことがあれば大聖杯の管理者兼他家の裁定者としてアインツベルンに槍を向けることになることを忘れないでくださいね」

 

そしてもう話すことはないと言わんばかりに立ち上がったセスカは踵を返し部屋を後にする。

 

「………最後通告か。我がアインツベルンもイリヤの代で終わるのかもしれんな」

 

アハト翁はアインツベルンの最後も近いかもしれないと本来なら備わっていないはずの直感を感じていた。

 

「しまった、本題に入るのを忘れておった。…………仕方あるまい、後程場を設ければよいか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインツベルン城のとある部屋の扉の前に来たセスカは扉をノックする。

 

「どうぞ、開いてるわ」

 

その言葉にセスカは扉を開けて部屋に入る。

 

「やっほーアイリ久しぶり、元気してた?」

 

部屋に入ったセスカはアハト翁の時とはうってかわって友人に話し掛けるような声色で挨拶をする。

 

「いらっしゃい雪香、久しぶりね。どうしたの?」

 

「いやーアハトの枯れ木に呼ばれてさぁ。というのは建前で。アイリとイリヤちゃんに会いに来ちゃった」

 

どうやらアハト翁の呼び出しに答えたのはアイリとイリヤに会いに来るための口実だったようだ。

 

「あれ?イリヤちゃんは?」

 

セスカはイリヤの姿が見当たらないのか周りをキョロキョロする。本来の彼女なら気配を探れば簡単に見つけらるのだがそれをすると城中のメイドが過剰に反応するため気配探知はしないようにしている。

 

「イリヤなら切嗣と一緒よ」

 

アイリは窓の外を見ながら優しく微笑む。セスカも窓に寄り眼下に広がる雪景色に目を向ける。すると黒いコートを着た男性と紫色の暖かそうな子供用のコートを着た幼女がセスカの目に留まる。

 

「ああ、あれね。相変わらず似てない父娘ね」

 

セスカは外に見えるイリヤと切嗣を見た率直な感想を口にする。

 

「そうでもないの、イリヤも結構切嗣に似てるところもあるのよ」

 

だが、アイリは夫と娘にも似ているところもあるという。

 

「いや、アイリ。女の子であれに似てるところがあったらレディとしてはマイナスでしょ、いいの?」

 

「あら、切嗣にも可愛いところもあるのよ」

 

「そお?まぁアイリが言うならいいけど」

 

セスカは部屋にある椅子をアイリの前に移動させて腰を下ろす。

 

「それじゃ二人ともいないことだし今の内に進めちゃお」

 

二人は周りに誰も居ないことを確認しセスカによる認識阻害の魔術も使い話しを進める。

 

 

ー二時間後ー

 

 

「それじゃあれに必要なのはこっちで用意しておくわね」

 

「ありがとう、それにしても雪香の予想だと次の聖杯戦争まであと5年なのよね。私もちゃんと覚悟を決めないといけないわね。」

 

アイリはその優しい瞳に決意の意思がこもる。

 

「だけどまさか箱入りのアイリが家より家族を選ぶなんて思わなかったわ」

 

初めて会ったころと比べるとやや世間ずれをしてはいるものの、人間そのものと言える感情をだすようになったアイリ。

 

「あら、私がこう思えるようになったのは切嗣と雪香のお陰なのよ?」

 

等と言われ、それが切嗣はともかく自分も影響を与えた側というのが少々気恥ずかしくなる。

 

「私はアインツベルンのホムンクルスの一人だけど。やっぱりイリヤの母親としての気持ちの方が大きいみたいなの……だから私は次の聖杯戦争でアインツベルンを捨てるわ」

 

アイリの家を捨てるという言葉と瞳にセスカは本気の色を見た。

 

「だけどイリヤを聖杯戦争に連れて行くわけにはいかないし、最悪の事態もあるかもしれない。だから、聖杯戦争が終わったらお願いできるかしら」

 

聖杯戦争という何があるかわからない戦いに愛娘を連れて行くわけにはいかない。だから聖杯戦争の間はイリヤを家に置いていくことになる。彼女も聖杯戦争の間は息子を知り合いに預ける事にしたと言っていた。それに彼女なら私にもしものことがあってもイリヤを任せられる。

 

「それは別にいいけど……アイリもちゃんと生き残ることを優先しなさいよ。じゃないとイリヤちゃんに私が怒られるんだから」

 

「わかってるわ、私だってイリヤを悲しませたくないもの」

 

 

その後戻ってきた切嗣をからかったりイリヤに構ったり、イリヤが眠ったあとにアハト翁がイリヤに施したものをアイリと一緒に手を加えたりして、次の日に雪香は冬木に帰っていった。

 




さて、次は4次になりますが出演する英霊が決まっていません。キャスター、セイバー、アサシンは決まっていますが他の鯖が未定状態なので活動報告に意見があればお願いします。
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