スカサハの娘に産まれて人理焼却で死にました。 作:ホワイダニット
冬木には藤村組というヤクザ者がいる。しかし彼らはかたぎに手を出すような今時の跳ねっ返りではなく、古き良きヤクザ者であり、地元住人からも慕われている。道を聞かれれば教えてくれるし、老人の荷物を持ってくれる。祭りでは率先して盛り上げ、正月には地元の寺に参拝に訪れ藤村組の女人の晴れ着を拝むことができるだろう。そんな藤村組を束ねるのは藤村雷画という元気な老人だ。彼の見た目ははっきり言って強面だが孫には弱い好好爺であり年の始めに寺の住職と大勝負をするほどの気持ちいい御仁だ。さて、そんな藤村雷画には孫娘がいるが知り合いで名字が同じ藤から始まる藤丸雪香曰く世界に甘やかされた女、不幸が土下座して謝ったかのような幸運と証言しており、元気が服を着たような人柄は冬木のアイドルと言ってもいい。
そんな藤村組に和服を着込み、覗くうなじは色気に満ちた女性が訪れていた。
「こんなしっかり和服を着るなんていつ以来かな」
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「それで…暫く子供らを預かって欲しいか」
藤村組組長である藤村雷画の言葉に女性はしっかりと頷く。
「まぁ預かるのは構わねぇが珍しいな、おめぇさんが頼みごとをするなんてよ。もしかして騒ぎごとか?」
「近々新都の方で外部の連中による抗争がありそうなので」
女性の言葉に雷画は煙を吐くと。
「うちにはそんな話は来てねぇが確かか?」
雷画は女性の目に抗争が起こることを確信した。
「しかしおめぇさんがうちに頼むとなると相当だな。それで、
雷画の申し出に女性は首を横に振ると
「いえ、それはやめたほうが。この抗争に出てくるのはヤクザ者がかたぎに思えるような連中です。雷画さんには町内会に連絡して夜間の外出の自粛を徹底させてください」
その言葉に雷画はわずかに目を見開くとキセルを煙草盆に置き話の続きを促す。
「数は約14人と少人数ですが、一人一人が殺しや制圧に長けたもの達です。中にはかたぎを巻き込むことを躊躇わないようなのもいます。どうやら新都を中心にするようで深山のほうにはおそらく来ないでしょう……絶対とは言えませんが」
「成る程、町内会の連中には明日にでも言い含めておく……だが、おめぇさんの言葉、儂には自分は首を突っ込むと言ってるように聞こえるが」
「…………はい」
「ったく、なら約束しろ。無事に帰って来てガキ共にただいまを言ってやれ、それがガキ共を預かる条件だ」
女性は深く頭を下げて礼をのべると藤村組をあとにした、