スカサハの娘に産まれて人理焼却で死にました。   作:ホワイダニット

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倉庫街

聖杯戦争の開催地である冬木の倉庫街にて黒髪全身タイツに軽装、手に槍を携えたランサーのサーヴァントが闘気を垂れ流しながら他のサーヴァントが現れるのを今か今かと待っていた。

 

しかし、すでにこの場で待つこと数時間。日もすっかり落ち此度のサーヴァントもマスターも穴熊を決め込む軟弱者と思い始めた頃、この倉庫街にカツ、カツ、と靴の音を響かせながらランサーに近づく人影が現れた。

 

「ようやく現れたか、どの陣営も穴熊を決め込むものばかり、俺の呼び掛けに応じたのは貴殿が最初だ」

 

雲が流れることにより隠れていた月が顔をだし対峙する二人を照らし出す。片方はランサーを、もう片方は現代服に身を包んだ女性…

 

「しかし俺の呼び掛けに最初に応じたのがよもやマスターとは」

 

身に纏う気配から生者、その佇まいからマスターと判断したランサーはまさか自身の前に現れたのがサーヴァントではなくマスターという事実に密かに落胆したが気になることもあったため注意を反らす等ということはしない。だか、どうしてもマスターでありながらサーヴァントである自身の前に現れた理由が気になるランサー、手に持つ布に包まれた長物も気になるがランサーが最も気にしていたのは相手から感じる集中していなければ感じ取れないほどの僅かばかりの気配。これは自身がよく知るケルトの戦士特有のもの、ならば問わねばならない。

 

「貴殿のその気配、ケルトに縁のあるものと推察する。俺の真名は名乗ることはできないが貴殿もさぞかしなの知れた女傑なのだろう」

 

聖杯戦争故に名乗りをあげることができないことを口惜しく感じるランサー。

 

「名乗りは結構です。貴方のことは知ってますから、フィオナ騎士団、輝く貌のディルムッド」

 

女性は手に持っていた長物を包んでいた布を解くとランサーに向かって構える。

 

対峙する女性が先程まで布に包まれたていた獲物を構えるとランサー…ディルムッド・オディナは言い知れない感覚に襲われた。それは女傑というにはあまりにも強く練り込まれた闘気、その姿を表した身の丈ほどの赤い槍。そしてなによりその槍からこれでもかと感じられる力強さ。自身の名を知り、かつマスターでありながらサーヴァントに獲物を向ける相手にランサーは無意識に口角をあげる。

 

「ほう、ランサーのサーヴァントである俺に槍で打ち合おうとは。その意思に見合う実力か…」

 

ディルムットも二槍を構えると二人の周りにピリピリとした緊張感が漂う。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

「ライダー、こんなとこで見てないで下に降りよう」

 

冬木大橋の上でライダーとそのマスターがランサーの動向を観察していた。いや、マスターの方は自分のいる場所の高さにビビって声が震えているが。

 

「何を言っておるか、ここからが絶景スポットなのであろうが。それにな、これ以上近づけば見つかりかねん」

 

どうやらライダーは敵を観察するのにこの場所がギリギリのラインらしい。

 

「はあ!?待てよライダー!これ以上近づいたらってランサーの所から一㎞以上も離れてるんだぞ、それなのにランサーに気付かれるっていうのか?」

 

「何をたわけたことを。気付かれるのはランサー等ではなくもう一人の方だ」

 

ライダーのマスターは改めてランサーではなくもう一人の方に注視した。魔術を使い視力を上げた彼の目に映るのは、高速で槍を突き合う二人の人物。ライダーのマスター…ウェイバー・ベルベットにはもはや彼らの槍捌きは槍同士が触れ合ったさいに発生する火花しか見えていない。

 

「しかしまあ二人共なかなかの強者だのぉ。なんと心踊る打ち合い、是が非でも我が臣下に遇したいが」

 

ライダーは髭を撫でながら考え事を始めるがその目は槍を突きあっている二人の動きを一瞬たりとも逃すまいとしている。

 

「うむ、やはりぐたぐたと考えるのは性にあわん。それに死なすには惜しい」

 

ライダーは立ち上がるとウェイバーを片手で持ち上げ

 

「さあ、行くぞ。勝利してなお滅ぼさぬ。制覇してなお辱しめぬ。それこそが真の征服である。それが征服王イスカンダルの生き様よ!」

 

呼び出したチャリオットに乗り征服王イスカンダルはランサーのもとへ雄々しく駆けていった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

アイリスフィールとセイバーは倉庫の物陰に隠れながら期をうかがっていた。

 

「凄い……ねえ、セイバーには見えてる?」

 

二人の激しい槍捌きにアイリは目が離せずにいた。

 

「はい、なんとか。しかしあの女性は何者でしょう?ランサーのサーヴァント相手に互角以上の闘いをするなど」

 

セイバーはランサーと死闘を繰り広げている女性に対して何かしらの直感を感じていた。

 

(あの女性、下手をすれば私よりも)

 

暫く観察を続けていると雷鳴を轟かせチャリオットに乗ったサーヴァントが闘いにわって入っていくのが見えた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「双方、剣を納めよ。王のまえであるぞ」

 

突然チャリオットに乗って現れたサーヴァントに二人の動きが止まる、すると。

 

「我が名は征服王イスカンダル此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した」

 

両の手を大きく広げ、自身の真名をばらすバカがいた。

 

 




結局ランサー。ライダーは変わらず。やっぱりケルト出身は一人は欲しいしね
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