スカサハの娘に産まれて人理焼却で死にました。 作:ホワイダニット
他のマスターに正座で説教を受けるバーサーカーという全く聖杯戦争らしくない出来事から一番早く復活したアーチャーは興が削がれたのかさっさと霊体化して帰ってしまった。次に復活したランサーは姿を見せなかったマスターがこの場を去るらしく皆に律儀に挨拶をしてからその場を後にした。残ったのは未だ状況を飲み込めないセイバーとアイリスフィール。優しさか、それとも同情からかバーサーカーから目を反らすキャスター陣営とアサシン。何かしら昔を思い出しているのか苦い表情のウェイバーにアルトリア(マ)に声をかけようとするライダー。
「のう、キャスターのマスターよ」
「何ですか?征服王」
「余の目にはアサシンのマスターとバーサーカーは旧知のようにみえるのだがお主の目にはどう見えておる」
「そうですね。マスターやサーヴァントというのを抜きにすれば息子をしかる母親、もしくは駄目な夫に説教をする妻といったところでしょう。ですが、バーサーカーの態度からこの二つの線はないようですし。いえ、そもそもバーサーカーは雪香の男性の好みから大きく外れているので、前提があり得ませんが」
「ほう、その口ぶりからしておんしらは知人か。しかしのう、アサシンのマスターとバーサーカーが旧知というのもおかしかろう、先ほどのランサーの様子からアサシンのマスターはケルトに縁が有るのはわかったが、どうやらバーサーカーは日本人のようだしの。時代も国も随分と離れていると思うが」
「済まないが私はその疑問に答えることはできない」
と、目の前の現象について話を始めるライダーとアルトリア(マ)。一方キャスターはセイバーに捕まっていた。
「キャスター、説明をしてもらおうか」
「説明?何の説明が必要なんだ、この状況なら見たまんまだろうが」
「いえ、この聖杯戦争らしからぬ状況もそうですが。なぜ、貴女がキャスターとして召喚されているのか」
「はあ?なんだよ、そんなみみっちぃことが聞きたいのかよ。んなのオレはドルイドだからな、キャスターなのは当然だろ」
キャスターのドルイド発言に目を見開くセイバー。
「口と足癖が悪くて突撃するしか能がなかった貴女がドルイド!?」
「驚くことかよ……ってそういやこの頃の父上はまだ知らねぇんだっけ」
「なんです?」
「いや、何でもねぇ。つうか、まさかあんたから話しかけてくるとは思ってなかったからよ。一体どうゆう風の吹き回しだ」
「……私とて貴女に声をかける積もりはありませんでした。しかし、アイリスフィールに無理やり……」
「ああ………まあ、なんだ。お互いマスター運が無かったと思って諦めようぜ」
「ほう、誰のマスター運が無いと」
後ろからキャスターにかかる。
「そりゃオ……オレとアサシン以外の連中だな」
キャスターは反射的に答えようとするが相手が誰かを理解し即座に言おうとした言葉を変える。
「嘘をつきなさい。まったく、どうやらその性格はちょっとやそっとでは矯正されないようですね」
が。そんなその場しのぎは無意味となる。
「待ちなさいキャスターのマスター。聞きたいことがあります。貴女とキャスターの仲がマスターとサーヴァントにしては随分と近いのは何か理由でもあるのですか?」
だが、以外な所からモードレット的にナイスアシストがセイバーから入る。
「仲……ですか?」
「はい、私には貴女達から主従を越えた何かを感じました。もし理由があるのなら聞かせて欲しい」
「そうですか……ですが」
「なぁ……」
アルトリアとキャスターは互いを見るが答えなど言えるはずがない。このセイバーがこの先どんな未来に進むのかわからないが、アルトリアからしたら過去のIF。易々と自分とキャスターの関係を口にすることはできない。もし話してしまえば、最悪セイバーの精神状態に異常をきたしかねない。
「これといって特に……強いて言えば、親子ような感覚に成れればよいのでは?」
「親子……ですか」
親子のようにと言われて少し暗い雰囲気になるセイバー。
「マスター、今のセイバーには無理だと思うぜ。セイバーの親子関係はマスターも良く知ってるだろ」
「知っているから頭が痛いのです。……まさか、かつての自分を見るのがここまで痛いものだとは」
そこへ苦い回想から脱したウェイバーは一人になったアサシンに話しかけた。
「なあ、あんたは誰かに話しかけないのかよ」
「私?ないわね、話に花を咲かせる相手もいないし。それとも貴方が話し相手になりますか?」
「話題があるなら構わないけど、生憎と僕は伝説を残すような女性に振る話題は持ってないよ」
そしてバーサーカーはまだアサシンのマスターに正座をさせられていた。
「………それで?貴方のマスターは誰ですか。縁も少なく、触媒もあまり出回っていない貴方が一体誰の召喚に応じたんです?」
バーサーカーを前にしている雪香の姿はもはや仁王の風格、だがそんな雪香の詰問に答える人物がいた。
「私ですお義母様」
現れたのは背丈が150㎝そこそこの金髪少女だった。
「……成る程……確かに貴女なら金を喚ぶには充分ですね。しかし随分と久しぶりですね
そう言って雪香は現れた少女に親指を立てる。すると
「勿論です。私はとと様のようにTPOを弁えない訳ではないですし、かか様のように刹那的でもないので」
「金、どうやら貴方はTPOを弁えないダメな父親だそうですよ」
「俺の格好ってそんなにゴールデンじゃねぇのか」
「むしろその格好のどこが貴方的にゴールデンだったんです?いえ、言わなくて結構」
と、さらに一人人数が増えたところでキャスター陣営とライダー陣営、セイバー陣営にアサシンが合流する。
「おいライダー、アサシンのマスターの所にまた人が増えてるぞ。こんなに集まってくるなんてお前が煽ったりするからだこのバカ!」
ライダーと合流したウェイバーは早速この事態の発端を築いたライダーに食って掛かる。
「なんゆえそんなことで怒っておる、今日一日ですべてのサーヴァントを自身の目で確認できたのだ、態々使い魔とやらでチマチマ調べる手間が省けて良かったではないか」
「でしたら、もっと穏便に集まって頂きたかったです」
と、どこか疲れた雰囲気を纏った少女が近づいてきた。その造形はアサシンに似ており、違うのは髪と目の色に銀色の軽装をしていることだった。
「あら、姉さん?どうして……ああ、少し前から気付いているのに誰も話題にしてくれなくて寂しくなったんですね」
「気付いていたんですか!?……いえ、寂しかった訳では。ただ、アーチャーがいなくなってから皆さんが和気あいあいとしているのはいいなぁとは……いえ、何でもありません」
また新たに現れたサーヴァントにライダーが話しかけた。
「それで、お主は何者だ。どうやらサーヴァントのようだが既に七騎すべて揃っておる、後ろめたい事が無いならお主のクラスを言うてみい」
「私はルーラーのクラスをもってこの聖杯戦争が逸脱しないように呼ばれましたジャンヌ・ダルクといいます。もしあまりにも度が過ぎる行いをしていると判断した場合、ルーラーの特権である令呪で自害させますのでそのつもりで」
はっきりと自害させますと宣言したルーラーたるジャンヌ・ダルクだがその顔は少々疲れが見てとれる。
「ほう、あの有名な旗振りの聖女か。しかしかの聖女がなぜそのような疲れた雰囲気を纏っておる」
「当たり前です。冬木の地に全騎揃ったその日に全員集合したうえに一触即発。最悪この倉庫街が消えて無くなるかもしれなかったのですから……まさか召喚されたその日にこんなとこになるなんて」
そう言って肩を落とすルーラー、ジャンヌ・ダルク
「まあよい、今日の所は帰るとするか。ほれ坊主、さっさと乗らんか、ではの次に会うときは酒でも交わそうぞ」
ライダーはマスターをつまみ上げるとチャリオットに乗せ雷鳴を轟かせながら帰っていった。
「セイバー、私達も帰りましょ。この状況だと戦いになったら私達が断然不利よ」
「わかりましたアイリスフィール。キャスター!次こそは詳しい話を聞かせて貰います」
そしてセイバー陣営も倉庫街から去って行った。
ジャンヌ出ました。あと、新たに出てきたオリキャラ妻呑。父親はバーサーカーのようですが母親は誰なんでしょうね(すっとぼけ