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無人の校舎をぶらつき始めて数十分。俺は今、一階の講師玄関にいる。グレン先生が来ていないのはわかっているが「様子を見てくる」とフィーベルさんに言った以上、確認しない訳にもいかない。
講師専用の靴を置く
グレン先生の名前はすぐに見つかった。ハーレイ?とかいう
そんな事を考えながら中を
ふぅ、と息を吐き、パタンと棚を閉める。そろそろ教室に戻った方がいい、あんまり遅いとまたフィーベルさんに何か言われるかも、と考えながら急ぎ足で歩を進める。窓から外の風景を眺めながら四階への階段を上っていたその時。俺はふと、一つの違和感に気づいた。
静か過ぎる。
ここから二年二組の教室までは少し距離があるが、俺の聴覚は
「……………」
妙な胸騒ぎを感じた俺は、自然と気配を殺し、息を
俺の予感は最悪な形で的中した。
現在、俺が隠れているのは二年二組の隣である二年一組の教室だ。
話を聞く限り、教室にいたのは俺が校舎をうろちょろしている間にどこかから侵入して来たらしいテロリストを名乗る二人組の男。そのうちの一人は軍用魔術【ライトニングピアス】の使い手らしい。俺はその魔術を知らないが、クラスメイト達の
相手は二人、こちらは一人。戦うにしても、今の俺は何の武器もない上に、敵の情報も少なすぎるのに加えて、相手は生徒達がいる教室に
そして一番の
……きっついなぁ。傭兵時代にも難しい依頼はいくつかこなしてきたけど、こんなに動きにくい状況はあんまり無かった。
思わずうめき声が
考え事に
ヒュッ
顔のすぐ横で、静かな風切り音を立てて何かが通り過ぎた。見れば、先程まで俺が座っていた場所には、細く鋭い
パチパチパチ、と控えめな拍手が響いた。そして誰かの落ち着いた声がそれに続く。
「凄いですね、今確実に当たったと思ったんですが…」
物陰から現れたのは細めの優しげな顔をした男。ありゃりゃ、見つかってしまったか。そう思うが顔には出さない。こんな時こそポーカーフェイスだ。相手は俺と会話をするつもりなのか追撃してこない。ひとまずテキトーに言葉を返しておく。
「お褒めに預かり光栄です」
「面白い返しですね。褒めておきましょう」
「…敵であるアンタに褒められても嬉しくはないけどな」
苦笑し、言葉遣いを改める。俺は、きっと自分でも気づかない内に
「さて、どうする?俺をここで殺すか?」
心のモヤモヤを振り払い、ぶっきらぼうに放った俺のあまりにもストレートな質問に、相手は苦笑した様だった。
「残念ながらそうです。これは仕事なので」
「さいですか…」
……先程から気になっていたが、どうもこの男からは、言葉の割に全く殺気を感じない。一体何のつもりだ、と警戒心
「…ところで少年、君は最近編入してきた生徒ですね?」
「……さぁね」
素っ気なく言い捨てると、男は控えめに微笑した。
「…今からする質問は単純に私の興味本位です。答えなくても構いませんが、私は相手のことは知っておきたいので」
「………」
何を知りたいかはわからないが……視線で続きを
「…君のクラスメイト達は、……元気でしたか?」
まるで生徒達を知っているかの様なこの口ぶり、そしてテロリストにしてはおかしな質問でピンときた。この男、アレだ、グレン先生が来る前の先生だ。前にセリカさんに学院を案内された時に、学院長室の前の廊下に講師紹介の写真が貼ってあったから間違いない。確か名前は
「……ヒューイさん、だったかな?」
「………貴方とは初めてお会いしましたが…?」
俺の
「クラスメイト達から前任講師の事を散々聞いてたので」
とだけ言う。それから俺は、教室側の壁を
「さっきの質問の答えだけど…少なくとも、アンタ達が来るまでは皆元気だったよ」
「…そうですか」
「…何でこんな事してるのかは知らないし、興味もないけど……教え子達が知ったら悲しむ 」
俺の言葉を
魔術を使う
素早くヒューイさんから距離を取り、教室の前方、教卓側で構える。二組と一組の教室の間は多少分厚いが、壁一枚なので背を預けて戦うのには心細い。万が一戦闘中に壁が
「では……知りたい事も聞き終えたので、そろそろ君には消えてもらいましょうか」
「ホント唐突だなぁ」
相変わらず
この人もしかして
「《炎獅子よ》」
俺の思考を断ち切るように唱えられた何かの呪文が聞こえた 直後、
バゴォォンッ!ガラガラガラ ッ!!
〜〜システィーナ〜〜
バゴォォンッ!ガラガラガラ ッ!!
「お、おいっ、どうなってんだよ!?」
「きゃあああああああっ!?」
「うわぁああっ!!」
一瞬でパニックに
(な、何なのこの爆発?しかもかなり近い!?)
「……こりゃネズミがいたな?」
「そのようだが…私達が行くまでもないようだ」
待って。じゃあさっきの爆発は……
男達の会話を聞いて一斉に凍り付く生徒達。一変した空気に、チンピラが顔を上げた。その顔には笑みが貼り付いている。
「君らの他にも生徒がいたらしいけど…残念だったねぇ。ソイツは俺らの仲間が殺したみてーだわ!ケケケ!!」
「そ、そんな……」
ウィルが、ウィリアスが、死んだ…?
教室に、重たい沈黙が満ちた。
〜〜カッシュ〜〜
現在、俺達の両手は背中側で強力な
もう一人いたダークコートの男は、何故かルミアをどこかに連れていってしまった。
生徒達の表情は暗い。無理もない、クラスの担任と友人を殺され、女子生徒も一人どこかへ連れて行かれ、あとの自分達はどうなるかわからない……。
ほんのついさっきまで楽しく談笑していた友人は ウィルは、もういない。そう考えると深い悲しみが
せっかく仲良くなれたのに……もっといろいろ話したい事もあったってのに……
そうして過ごす事数十分。一度、階下から爆音が響いてきたが、それ以外には何もない。
見張りをしているのが退屈になったらしい。チンピラが突然、生徒達の方へズカズカと歩み寄ってきた。そして、システィーナの腕を乱暴に
「ち、ちょっと!何するのよ!?」
「暇つぶしだよ、暇つぶし。ケケケッ!」
やめろ、と叫ぼうとするが、かすれ声しか出ない。皆も何かを言おうとしているが、その小さな声は届かない。見せつけられた力の差が、圧倒的な恐怖が、男に立ち向かう事を拒否してしまっている。
結局、何も言う事が出来ないまま、システィーナは連れて行かれてしまった。ドアに再びロックの魔術が掛けられたらしく、ガチャンッ!という音が教室に響き渡る。誰も何も言わない。ただ
一体何をされるのか、助かるかさえもわからないこの
皆、もう精神的にボロボロだった。
と、その時。
教室に満ちた痛いほどの
ガッシャアアア ンッ!!
びくりと体を震わせる生徒達。見れば、教室の後ろの大きな窓ガラスが割れ、丁度ウィリアスが座っていた場所の机に、黒く、大きな何かが
「な、何ですの、アレ…?」
「……ここ四階だよね?一体どうやって入ってきたんだろう…?」
ウィンディとセシルの呆然とした声が聞こえる。
警戒し、教室の隅に固まる生徒達。皆の集中した視線の先で、ソレはゆっくりと立ち上がった。
そして
突然のカッシュ目線。