これからもどうぞよろしくお願いします!
困った事になった。
「……ヴルル」
自然と
警戒と
いや、途中までは良かったんだけどね……。
俺が取った行動はこうだ。
四階から落ち、地面に叩きつけられる寸前で
俺の上に積もっていた
平らな壁に爪を引っ掛けて強引に登り、教室の窓のすぐ外まで
窓からライオンが飛び込んできたらそりゃ誰だって怖いだろう。クラスメイト達は皆教室の
そう思いながら身体のあちこちに着いたガラスの破片を振り落とす。ガラスってチクチクするから気になるんだよな。特にタテガミ付近はマジでヤバイ。……いや、今はそんな事してる場合じゃない、と思い返し生徒達の様子を確認する。
全員後ろ手に
アイツらに連れて行かれたのか?だとしたらマズイ、すぐに二人を探しに行かないと!…いや、その前に
俺は一番近くにいた生徒 カッシュに飛び掛かり、前足で
「うわぁああっ!?」
悲鳴を上げるカッシュに、ゴメン、マジで時間が無いからちょっと荒っぽいけどご
皆はこの生き物が俺だとは夢にも思っていないだろう。皆の認識では俺はさっきの爆発で死んだ事になってるからなぁ、少し寂しいけどしょうがないか。
そんな事を考えながらも、俺の牙は
ぶちぶちっ!
そして、怖がらせない為に(もう手遅れかもしれないが)サッと足を
「え…?」
ポカン、とした様子で俺を見上げるカッシュ。
「アイツ……
「…味方なのか?」
カッシュの呆然とした声に続き、そんな疑問の声が聞こえてくる。味方ですよー、最初から。全員分の縄を千切っている時間はないのでカッシュに
俺はドアに駆け寄り、前足でドアを開けようとしたが鍵がかかっているらしく、開かない。
「…………」
バキャッ
……鍵穴を爪で破壊し、もう一度ドアをスライドしようとするが、開かない。
「………ヴヴゥ」
……あああああもう!こーいう地味にウザい嫌がらせみたいなのやめろよ!!
本気で叫びたくなるのを我慢し(この姿で本気で叫べば大変なことになる)やむなく後ろに下がり、軽く助走してドアへ思い切り突進した。
バガァアアン!という耳をつんざく轟音を立てて吹き飛んだドアの
……取り敢えず、どっかで獣化を解かないとフィーベルさん達と合流した時にパニックになりかねない。きっとフィーベルさんからは【ショックボルト】が飛んでくることだろう。いや、【ゲイルブロウ】かな?どちらにせよ喰らいたくはないな。
すん、と空気中の匂いを
俺は今、とある
幾人もの人間を殺してきた者だけが放つ独特の匂い。
そんな匂いをここで嗅ぐ時が来るとは思ってもいなかったが、この姿でいる時の俺の嗅覚は
教室の中から話し声が聞こえてくる。
「悪いがそりゃできねぇ相談だ……ここまで来ちゃ引っ込みつかねぇーよ」
中にいるのはチンピラのようだ。そして
「……やだ……やだぁ……お父様…お母様……助けて…誰か助けて……」
そんな、とても弱々しい誰かの声。
「うけけ、お前、最っ高!てなわけでいただきまーす!」
「嫌……嫌ぁあああああ ッ!!」
気付けば俺は、目の前のドアを吹き飛ばしていた。
〜〜システィーナ〜〜
負けてたまるか。屈してたまるか。私は誇り高きフィーベル家の娘だ。魔術師にとって身体なんて
そう、思っていたのに
駄目だった。どうしようもない嫌悪感が、恐怖が、私の
「……あ、あの……」
「ん?何?」
「……やめて……ください…」
涙が次々と
「悪いがそりゃできねぇ相談だ……ここまで来ちゃ引っ込みつかねぇーよ」
心が悲鳴を上げる。
「……やだ……やだぁ……お父様…お母様…助けて…誰か助けて……」
「うけけ、お前、最っ高!てなわけでいただきまーす!」
「嫌……嫌ぁあああああ ッ!!」
チンピラの手が、必死に身じろぎする私に伸びてきた、その時
バコォォン!
ドアが、吹き飛んだ。
「え…?」
「あ?」
チンピラがドアの方に振り返ろうとした。
黒く大きい、生き物が凄いスピードで近づいてきて、私の上からチンピラを叩き落としたからだ。
「きゃっ!?」
「ぎゃあああ!?」
床をバウンドしながら転がっていくチンピラには目もくれず、その黒い生き物は真っ直ぐに私を見た。黒い生き物を、私もマジマジと見返す。
生き物は、首周りにふわふわしていそうな長い毛が生えていて、身体はどことなく猫に似ている。
こんな生き物初めて見た……。
この時、何故か私はその生き物の恐ろしげな牙や爪を見ても全く恐怖を感じなかった。その青い瞳に、優しい色を見た気がしたからだろう。
というか…この目、どこかで………?
「………ヴゥ」
至近距離で静かに私を見つめていた謎の生き物は、おもむろに私の腕の縄を爪で切ると、未だ立ち上がれない様子のチンピラへと向き直った。
〜〜ウィリアス〜〜
間に合って良かった。ホントに良かった。
俺を見上げるフィーベルさんの顔を見て、素直にそう思った。素早く状態を確認するが、特に何かされたわけではなさそうだ。ふぅ、と
以外だったのは、俺の姿を見ても怖がる素振りを見せなかった事だ。怖がられると予想していたので、少し驚いた。
「な、なんなんだよソイツ!?」
チンピラが若干ふらつきながら立ち上がった。先程の俺の
フッ、ただのねこパンチだと
「グルルル…」
フィーベルさんから離れ、チンピラと
「お、おい…なんだよそのふざけた魔力量はぁ!?」
俺の魔力が急激に膨れ上がったのを感じたのか、チンピラが青い顔をした、その時。
ふと、俺の耳が誰かの足音を捉えた。
「そこまでだ、この
そんな大声と共に教室に走り込んできた誰かが、見事な飛び蹴りをチンピラの側頭部に叩き込んだ。
「ぶべらぁっ!?」
派手に吹き飛び、壁に激突したチンピラは、ピクリとも動かない。それを確認した乱入者 グレン先生は、今度はこちらに向けて拳闘の構えをとった。……ちょっと待って。俺、完全に敵だと思われてるよな。
たじたじと後ずさっていると、その様子をおかしく思ったのかグレン先生は
「先生待って!この子は私を助けてくれたの!」
そう言いながら、フィーベルさんが
と。
そんなグレン先生に向けて、壁にもたれながらも左手を上けるチンピラの姿が目に入ってきた。人差し指が向けられているのは グレン先生の、頭。
っ!させるかっ!!
「オオオ!!」
フィーベルさんの後ろから弾丸の様に飛び出し、大きく
「《ズドン》ッ!」
直後、チンピラの呪文らしきモノが完成、指先に魔法陣が展開され、そして カシャン、という
「……は?」
チンピラがそんな声を出した。再び呪文を唱えるが、結果は同じ。
「《ズドン》ッ!クソ、どうなってやがる!?」
何が起きたのか俺もさっぱりだが、ヤツが呆けている今がチャンスだ。
思い立ったが吉日。俺は素早く立ち上がると、溜めに溜めていた魔力を開放、炎へ変換する。
「なっ!?」
「えっ!?」
グレン先生とフィーベルさんの二人の驚く声を聞きながらも、赤い炎を身体に
バキバキッ!!
「ぐわああああっ!?」
狙ったのは左肩。寸分
とにかく、これでもう当分チンピラの肩は上がらないだろう。
「ぐうっ…この化け物がぁ!」
肩を抑え、立ち上がったチンピラは
「ぎゃあああ!?」
受け身を取る暇もなく床に頭をぶつけ、チンピラは呆気なく気絶した。グレン先生の投げる速度がハンパないから無理もないか。
白目を
……どうしようこれから。