ロクでなし魔術講師と戦闘民族   作:カステラ巻き

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 ……お久しぶりです。

投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした!ゼルダにハマってしまって……。草原をバイクでブンブン走り回っていました…。もっと早く出せるように心がけます。

 本当に遅まきながら峰風さん、高評価ありがとうございます!こんな作品ですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。


困惑

 

 

 

 

 

 やはり炎を使うのはマズかったか…。

 

 

 

 身体からユラユラと立ち上る炎を消しながらそんな後悔が押し寄せてくる。が、既に後の祭りだ。二人の視線がグサグサと俺に突き刺さる。特にグレン先生、普段のすっとぼけた表情からは想像出来ない程の眼力だ。授業もそれぐらい真面目な顔でして欲しい。

 

 

 そんなことを考えていると、グレン先生が何か手に持っているのに気付いた。

 

 

 …ん?グレン先生が手に持っているのは…カードか?なんでそんな物を?まさかカードでキャプターするつもり…なわけないよな。……カードスラッシュ!マトリックスエボリューション!!……でもないよな。いや、ほんとにふざけてる場合じゃない。

 

 

 頭を軽く振り、雑念を払う。ついでに、未だに頭に乗っかっていたガラスも払う。

 

 

「オイ白猫……こいつはどっから来たかわかるか?」

 

 

 こちらから目を離さずにフィーベルさんに問いかけるグレン先生。それに対し、フィーベルさんは戸惑い気味に首を傾げた。

 

 

「いえ……この子、突然この教室に飛び込んできて…」

 

 

「…………」

 

 

 無言で目を細めるグレン先生。そのまま緊迫した空気が周囲に漂った。

 

 

「………まぁいい。それより、状況を説明してくれ」

 

 

「は、はい」

 

 

 グレン先生は教室に現れたテロリスト達についての説明を聞きながら床に転がっているチンピラを手際よく拘束していく。その間も俺から目を離す様なことはしない。完全に警戒されている。

 

 

 そりゃそうか、敵か味方かも(さだ)かじゃない奴がいれば俺だって警戒するだろう。今俺が攻撃されていないのはこちらから敵意を向けていないからだ。勿論、向けるつもりはないけど。爪も引っ込めておこう。

 

 

    と。

 

 

「よし、大体わかった……」

 

 

 いつも無駄口を叩いてばかりのグレン先生が、珍しく突然尻切れトンボに黙り込んだ。そして、ポツリと小さな(とい)がフィーベルさんに投げかけられた。

 

 

「その、あれだ。生徒達に怪我をした奴は…?」

 

 

 普段は素っ気なくあしらうくせに、なんだかんだ言いながらも生徒達が気になるらしい。本人は何気なく聞いているつもりらしいが、気になって仕方がないんだろう、どことなくそわそわしている。素直じゃないなぁ。

 

 

 あの教室に俺が見た限り怪我人はいなかった。そもそも、フィーベルさんとティンジェルさん以外は全員教室にいた。フィーベルさんは幸い無事だったが、彼女はわからない。丁度ティンジェルさんについて話していたのか、グレン先生が声を上げた。

 

 

「ルミアが連れて行かれた?」

 

 

「……はい」

 

 

 フィーベルさんの声は暗い。

 

 

「なんでアイツが?」

 

 

「わかりません」

 

 

「そうか…しかし、となるとやっぱ早まったか?」

 

 

 うん?早まったってなんの事だろう。フィーベルさんも疑問に思ったのか訝しげにグレン先生を見ている。

 

 

「先生?」

 

 

「あー、いや、すまん。独り言だ。お前を助けられたんだ、判断は正しかったとしよう。それで、他の奴らは無事なのか?」

 

 

「………」

 

 

 黙り込んでしまったフィーベルさん。いや、他の生徒達は全員無事のはず。なら、彼女は何で黙っているんだろう?

 

 

 考え事をしていた俺の耳に、フィーベルさんの震え声が届いた。

 

 

「先生……ウィルが…ウィルが……」

 

 

 ああ、そうか。俺はテロリスト連中が来た時に教室にいなかったから心配してくれてるのかな?そう思うとちょっと申し訳なくなってくる。俺は無事ここにいるのだから。

 

 

「ウィルがどうした?」

 

 

 グレン先生が少し険しい顔をして尋ねる。それに対し、フィーベルさんはつっかえながらも答えた。

 

 

「私達が、まだ教室にいた時に……大きな爆発音がして、それで…ウィルが………………死んだって………!!」

 

 

 え?なんだって?

 

 

 しばし呆然としてしまう俺。フィーベルさんの放った言葉を何度も脳内再生し、理解すると同時に軽くパニックに(おちい)ってしまう。

 

 

 ちょっと待って俺、死んだ事になってんの!?嘘でしょ、マジで、なんで??どこから広がったんだよそんな話!?

 

 

 とんでもない急展開に衝撃を受ける俺を尻目に、フィーベルさんは話し続ける。彼女は泣いていた。

 

 

「あの時ウィルが教室から出ていくのを止めればよかった!そうしたらウィルは………!!」

 

 

「……白猫」

 

 

 グレン先生が静かな声を発した。

 

 

「ううっ……ひっく……」

 

 

「白猫!!」

 

 

 突然の大声に、フィーベルさんはビクリと身を震わせた。

 

 

「………今は、これからのことだけを考えろ。まだ俺も、お前も生きてるんだ。辛いとは思うが、今は我慢してくれ。(こく)な事言ってるのはわかってる。だが……頼む」

 

 

 ちょっと待って、心が、心が痛いぃい!!

 

 

「…それに、まだ死んだとは限らない。さっきの口振りからして、お前は現場を見てはいないんだな?」

 

 

「……はい」

 

 

「なら、向こうはお前たち生徒の心を折るためにそれっぽく演出しただけかもしれねぇ」

 

 

「そう…ですよね……」

 

 

 その可能性は低いと思っているのか、言った本人であるグレン先生とフィーベルさんの表情は暗いままだ。

 

 

 部屋に満ちる沈黙。

 

 

 この空気どうしよう。気まずい…。今更すぎる気もするけど変身解くか?ってこれ思ったの何回目だ?

 

 

 頭を抱えたくなってきたその時、甲高い音が響いた。

 

 

 反射的に身を低くして構える俺と、ビクリと身をすくめるフィーベルさんを尻目に、グレン先生はポケットから半分に割れた様な形の宝石を取り出した。どうやら音はそこからしているらしい。

 

 

 一体その宝石をどうするつもりだろう、とガン見していると、グレン先生はそれを耳にあてた。

 

 

「……セリカか?」

 

 

『あー、遅れてゴメンな?ちょうど講演中だったんだよ。で、いきなりどうした?』

 

 

 どうやらあの宝石は電話が出来るみたいだ。聞こえてくる声からして相手はセリカさんだろう。俺はもちろんのこと、フィーベルさんも耳を傾けて二人の会話を聞いている。

 

 

「学院に侵入者だ」

 

 

『………マジでか?』

 

 

「マジだ」

 

 

 そんなやり取りを()わすとグレン先生は頭をガシガシとかいた。

 

 

「とにかく、短めに説明するぞ。下手人は天の智慧研究会。結界を掌握され、学院は完全に封鎖されちまってる。人質は五十人前後、教室に無力化されて閉じ込められてる。その内一人は保護、一人は黒幕の元に連れて行かれたらしい」

 

 

『アイツらか……また厄介なのが出てきたな』

 

 

 天の智慧研究会?初めて聞いたなそんな名前。でも、あのセリカさんが厄介だと言うんだから、タダの組織じゃなさそうだ。二人の会話に耳を傾け続ける。

 

 

「……それと、ウィルが消息不明だ」

 

 

『……何だと?』

 

 

「白猫が言うには、奴等がくる少し前に教室から出ていったらしい。敵さんが言うには、死んだ…とか…」

 

 

『………そうか…』

 

 

 すいません、生きてます。とは言い出せずに大人しく黙ったまま待機する。

 

 

 

「………敵戦力は確認済みなのが三人、まだ未確認なのが一人以上。確認済みの奴ら二人は無力化した。今俺は白猫と一緒に……いや」

 

 

 グレン先生が俺をチラリと見ながら続けた。

 

 

「……よくわからんやつも一匹、一緒にいる」

 

 

 それは……俺のことですねハイ。

 

 

『うん?一匹……。おいグレン、ソイツってもしかして、黒くて見た感じ首がふわふわしてるデカイ猫に似たヤツか?』

 

 

 ギョッと目を剥く先生。

 

 

「お、お前コイツの事知ってんのか!?俺の【愚者の世界】も効いてなかったっぽいんだが?」

 

 

 宝石に向かって早口に捲し立てるグレン先生。それはそうと、【愚者の世界】って何だ?なんか男子なら必ず発症する(やまい)っぽい。

 

 

 俺と同じく(彼女が中二病を知っているかは不明だが)疑問に思ったのか、フィーベルさんも首を傾げている。そんな俺達を尻目に、宝石を通じた会話は途切れる様子を見せない。

 

 

『ああ、それについても後で説明する。安心しろ、敵じゃない。その黒猫は信頼していいぞ』

 

 

「…本当だろうな?俺はコイツのエサにはなりたくないぞ?」

 

 

『大丈夫だって、噛みつきゃしないから』

 

 

「…信用ならねぇなぁ」

 

 

 ジロリと向けられる視線に対し、この姿だし、信用ないのはしょうがないな、と開き直る俺。

 

 

『こっちでもいろいろ探ってみる。お前は無理をせずに保護した生徒とその猫と一緒に行動しろ。安全第一だ、いいな?』

 

 

「ああ。わかった」

 

 

『本当にヤバイ時は出し惜しみするなよ』

 

 

「わぁーってるよ、んなもん」

 

 

 俺とグレン先生、二重の意味が込められた言葉を最後に通話は切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 カードスラッシュは私の好きなアニメで出てきます。懐かしい…。


 それはそうと、金色ライネルとエンカウントした時の絶望感は異常ですよね……
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