ロクでなし魔術講師と戦闘民族   作:カステラ巻き

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 なかなか進まない…


変化

 

 

 時が流れるのは早いもので、気づけば俺は15歳になっていた。身長も伸び、175センチくらいになったし、筋トレも毎日欠かさずしてきたので、筋肉もしっかりついている。

 

 他に変わったことと言えば、最近の俺は、自分で考えてトレーニングメニューを組める様になった事。父さんが言うには、自分に足りていない所を自分で考える事が大事だそうだ。

 

 加えて、近くの町に出て、傭兵たちに混ざって魔物を討伐したり、商人の荷物の護衛などが出来るようになった。そんな時は泊りがけになったりする事が多いし、怪我をすることもある。

 

 今の俺の左眉には、3センチ程の傷が眉毛を断ち切るかのように残ってしまった。魔物と戦っている時についた傷だ。あと1センチずれていたら失明していたかもしれない。油断は禁物だ、と俺に教えてくれた傷でもある。この傷がついてから、俺はどんな相手でも気を抜くことは無くなった。

 

 何度か一緒に仕事をこなした傭兵たちは、最初は俺の事をあまり信用していなかったが、だんだんと打ち解けていった。今ではかなり仲が良い傭兵仲間でもある。

 

 俺は近、中、遠とどの距離でも戦えるオールラウンダーなので連携が取りやすいらしい。俺が顔を出すと、いつも酒盛りに誘われる。現に今日も誘われたが勿論断っている。そもそもまだ俺は未成年です。

 

 現在の俺は、夕方の暗くなりかけた集落の自分の家の庭で木から吊り下げた丸い的に、投げナイフを投擲(とうてき)している最中だ。的の中心にはナイフが綺麗に刺さっている。考え事をしながらも、手に持っていた3本のナイフをヒュッと的に投げる。

 

 カカカッと心地よい音を立てて的にナイフが刺さる。最初の頃は真っ直ぐに飛ばせなかったそれを今ではまとめて投げても的に当たるようになった。

 

 投げナイフだけじゃなく、今まで練習してきた武器は、殆ど(ほとんど)自由自在に扱えるようになった。素手での対人戦も、かなり上達した。それはいい。素直に喜んでも良いことだと思う。イェーイ!

 

 ただ、最近の俺は、できる事が増えた代わりに、する事が無くなりつつある。要するに、暇になったのである。勿論町に出れば仕事は幾らでもあるが、俺は  

 

    外の世界を知りたい。

 

 そう、新しく何かを学びたい。別に俺は勉強熱心とかそういう人種じゃない。ただ、毎日同じことを繰り返すだけの日常に飽きてしまった。起きて、日課の筋トレをこなし、仕事に行き、帰って寝る。このサイクルをこなす事が苦痛にすら感じてしまう。どこか新しい所に行ってみたい。新しい世界を見てみたい。

 

 そう考えた、その時。

 

 ドクン…

 

 俺の胸が(うず)いた。疼いたというより、何かの生き物の鼓動のようだった。

 

 そこに最近怪我をした覚えはないし、ましてや投げナイフが刺さっていたりとかもない。いや、逆にあったら怖すぎだろ。そして俺、鈍すぎだろ。

 

 少し前から、この現象は起きていた。あくまで勘だが、悪い物ではないと思う。これは何かは前々から気になっていた。明日あたり両親に聞いてみよう。

 

 そう決めた俺は、的に刺さったままのナイフを抜こうと歩き出した。投げるのは楽しいんだけど、抜くのが大変なんだよな、コレ。

 

 苦心してナイフを抜きながら、俺は大きくため息をついた。

 

 

 

 次の日。

 

 

 

 俺は早速、胸の疼きについて両親に話しかけた。

 

「父さん、母さん、ちょっと話があるんだけど」

 

「うん?どうしたウィル」

 

「話って?」

 

 二人とも寝起きなので寝癖がついている。母さんは台風が通り過ぎたかのような髪の乱れ、父さんは頭がニワトリのトサカのように髪が逆立っている。見ていて面白いけど、俺の頭は爆発したような有様になっているので笑えない。

 

「実は、最近胸が痛むんだよね……いや、痛むって言うよりは疼くっていうか……」

 

 そう言うと、二人はポカンと口を開けた。そして、矢継ぎ早に質問を投げつけてくる。

 

「ウィル、それはいつからだ?」

 

 父さんのいつになく真剣な表情に、少し驚きながらも、記憶を探るが、ハッキリとは思い出せなかったので、曖昧に答える。

 

「えーっと…少し前から気付いたら疼くようになった」

 

「どれくらいの頻度かわかる?」

 

 今度は母さんが尋ねてきた。えーと、確か……。

 

「……大体…1日か2日に1回くらいかな?」

 

 そう言うと二人は暫く呆然とした後に、ちょっと待ってて、とだけ言い残して、何も持たずに家から飛び出していった。

 

「え、ちょっと!」

 

 俺は訳がわからないまま、家に取り残された。もしかして、本格的にヤバイ病気…? かなり不安だが大人しく待機することに決めた。……この世界の医療レベルがどれくらいなのかはわからないのも不安だ。……詳しく調べておけばよかった。

 

 俺は家の中をグルグルと落ち着きなく歩き回った。

 

 椅子に座って、適当に本を読んで過ごしたり、ベッドの上に寝っ転がって本を読んだり、庭の芝生に寝っ転がって本を読んだりするが、本の内容がちっとも頭に入ってこない。

 

 駄目だ。本の文書が理解できない。

 

 読む手を止めて、パタリと閉じると、本が逆さまになっていることに気づいた。

 

 ……これじゃあ内容が理解できないのも当たり前だ。我ながら何やってんだか。

 

 ちょっとだけ笑って冷静になった俺は、大人しく家で両親を待つことにした。

 

 

 

 

 




 次の次くらいで本編に行けるよう頑張ります!
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