ロクでなし魔術講師と戦闘民族   作:カステラ巻き

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 部屋で筋トレを始めましたが2日で辞めてしまいました。…3日坊主ですら無い……


きっかけと選択

 

 

 

 

 あれから一週間が経った。ライオンに変身した俺は、あの後庭を歩き回ることおよそ三時間。やっと自分の身体だと認識した。それから人の姿への戻り方が解らず、一日その姿で過ごした。

 

 

 両親(いわ)く、胸の疼きが来るきっかけは自立心が芽生えた時などらしい。恐らく俺の場合は外の世界を知りたいと思った事がきっかけだろう。

 

 

 一つ不思議なのが、獣化を解いた時、俺が着ていた服や、装備していた武器などに全く変化が見られないことだ。普通変身したら服は破け、装備していた武器などは地面に落ちてそのまま放置…という事になると思っていたが、何回試しても服は破けることもなく武器も装備したままだった。仕組みは分からないままだが、取り敢えずこの件に関しては保留にしておく。

 

 

 一週間経った今では、もう自由に変身できる。獣化(じゅうか)してとても便利なのは、やはり移動速度だろう。あれから森に行き、色々試しているが走るスピードがハンパじゃない。余りの速さに驚き、木に激突したのは一度だけでは無い。…たんこぶの数もハンパじゃない…

 

 

 身体能力もかなり上昇していて、7メートルくらいなら軽くジャンプできる。身体の大きさは、だいたい人を二人乗せれるほどだ。全長3.5メートルくらいか。俺の知っているライオンよりかなり大きい。

 

 

 そして属性だが、俺はどうやら炎のようだ。何回か変身して試した結果、身体に炎を(まと)う事に成功した。炎の温度は、好きに変えることが出来る。温度を上げると、赤い炎から青い炎に変わったが、自分が出している炎だからか、熱くは感じない。意識すれば、他の人が触っても熱くないようにも出来るし、爆発させる事も出来た。かなり自由度が高くて驚いた。

 

 

 戦う時は、基本は獣化せずに戦おうと思う。俺の属性は目立つし変身する所を見られたら面倒な事になりそうだからだ。

 

 

 現在の俺は獣化して森を歩いている。本物のライオンの嗅覚や聴力はどのくらいなのかは知らないが、俺の嗅覚や聴力はかなり良い。集落の方から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

 

「ウィリー!珍しいお客さんが来たわよ!帰っておいで」

 

 

 それに対し、俺は吠えて返事をする。

 

 

「ガオオォ」

 

 

 獣化した時の難点は、喋れなくなる事だな。まぁ、集落以外では獣化するつもりは無いし、いいか

 

 

 そう考えながら、今はもうすっかり慣れた四本の脚で集落へと走る。集落の手前で獣化を解き、家に向かう。

 

 

 …それにしても、こんな所にお客さん?誰だろう?

 

 

 今は父さんは外出中だ。だとしたら母さんのお客さんかな?そう思いながらも家のドアを開け、中に入る。するとそこに居たのは一人の豪奢な金髪の女性だった。その人は黒いドレスローブを着ていて、かなり整った顔立ちをしている。俺はなんと言えばいいのか分からず、取り敢えず挨拶する。

 

 

「こんにちは」

 

 

 するとその女性は俺を見てニヤリと笑い、

 

 

「そんなに緊張しなくてもいいぞ。大きくなったな、ウィリアス」

 

 

 と言った。この人は俺を知っているのか?と疑問に思いつつ、椅子に座る。その間、女性は俺を面白そうに見つめていた。母さんがお茶を運んできて、女性に差し出しながら言う。

 

 

「セリカさん、前に手紙で話した息子のウィリアスです」

 

 

 え…何を話したんだ?

 

 

 と疑問に思っていると、向かいに座った女性…セリカさんが言った。

 

 

「ふむ…確かにこの子には…」

 

 

 と呟いた。え、何だ?なんの話をしているんだ?

 

 

「一度見せて貰えないだろうか?」

 

 

 とセリカさんが言うと、母さんは俺とセリカさんを庭に連れて行き、そして俺に獣化し、炎を適当に操ってみて、と言った。言われたとおりに俺は獣化し、炎の温度を上げ、赤い炎を出したり青い炎を出したり、爆発させたりした。勿論、母さんとセリカさんが火傷しないように二人には熱く感じない様に設定してある。俺が炎を操作している間、母さんとセリカさんは何かを話している様だった。

 

 

 一通り見せた後に獣化を解き、二人を見ると、静かに俺を見つめている。戸惑っていると、セリカさんが口を開いた。

 

 

「ウィリアス、お前…魔術に興味は無いか?」

 

「え……魔術?」

 

 

 初めて聞いた言葉に俺はポカンとした表情を浮かべた。セリカさんは続ける。

 

 

「お前には魔術の才能がある。自分では気づいていないようだがな。…ここから少し遠い都市に、魔術を学ぶための学園がある。その学園に通い、魔術を学んでみないか?」

 

 

 それに続けて母さんが言った。

 

 

「ウィリー、最近の貴方が他の世界を見てみたいって思ってるのは知ってるわ。私達の事を思って言い出せなかったのも知ってる。でもね、私もお父さんも貴方の事を思ってるの。貴方にはもっと沢山の経験をして欲しいと思ってる」

 

 

 知らなかった。俺の考えは全てお見通しだったのか。俺の呆けた顔を見て、母さんは優しい笑顔を浮かべた。セリカさんが再び俺に聞いてきた。

 

 

「どうだ?お前の母親はこう言っているが…」

 

「俺は…」

 

「ええい、まどろっこしいな。行きたいか、いきたくないか、どちらか選べ」

 

「……行きたいです!!」

 

 

 そう答えた俺に、母さんが嬉しそうな笑顔を浮かべた。セリカさんは、

 

 

「よし!そうと決まれば荷作りだ。お前の父親が色々と買い物に行ってくれているから、持っていく荷物を選べ」

 

「え、俺が行きたいって言わなかったらどうしてたんですか?」

 

「いや、その時はその時さ。現にお前は行くことに決めたしな」

 

 

 父さん……いや、もはや何もいうまい。俺は準備をするために自分の部屋へと向かった。

 

 

 

〜〜セリカサイド〜〜

 

 

 

 いやはや、この私が直々にスカウトする事になるとは…そう思いながら隣に立つウィリアスの母親…レティを見やると彼女はこちらに向き直り、深々と頭を下げてきた。

 

 

「セリカさん、本当にありがとうございました」

 

「いやいや、私は特に何もしてないぞ?せいぜい、後押しをしたくらいだ。」

 

 

 そう言う私に、レティは微笑みながらこう返してきた。

 

 

「家族二代にかけて、この御恩は必ずお返しします」

 

 

 昔、私はまだ幼かったアレクとレティを偶然助けた事があった。そのことを今でも恩義に感じているのだろう。少し気恥ずかしくなってきた私は、こう返した。

 

 

「まぁ、同じ母親同士だからな、お互い様って言うやつだよ」

 

 

 そう言った私にレティはただ黙って頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 やっとセリカさん出せました。次はいよいよ本編ですね!頑張ります!!
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