「お前は――――テスラ!?」
驚愕する雄蕊……もといお兄さま。多分、お兄さま。わたしより長生きしているだろうからお兄さま。
でも、テスラと言うのは何だろう?
磁気の単位? それなら知っている。この部屋の沢山の
でも、それだと話が噛み合わない。
じゃあ名前かしら? それなら納得がいくわ。わたしはテスラと言うの?
「…わたしが、テスラなの?」
よくわからない。わたしは沢山のお母さまたちから生まれた、一粒種の
お母さまたちがわたしが生まれる時にそう教えてくれたから間違いなんてないハズ。
今はみんなわたしの
この部屋にはたくさんの
ずいぶんと慣れはしたけど、せっかくだし。
はじめての
わたしはわからないことをもう一度聞いてみた。
「わたしは、テスラなの?」
「………お前に良く似た姉の様な存在がいた。彼女がテスラだ」
つまり、わたしじゃなくて、そっくりさんがテスラ?
そう問いかけるとお兄さまは頷いた。
「じゃあ、わたしはお兄さまのお姉さま?」
わたしがそう言葉を続けると、お兄さまは頭を抱えた。…何かまちがっていたのだろうか?
「お姉さまだから弟は甘えていいんだよ?」
そういって両手を伸ばすが、弟くんは抱きついてくる様子も無い。やっぱり何かまちがっていたみたい。
「ナイブズ様に失礼なっ!!」
代わりに青い髪のニンゲンがわたしに強い口調でせいしてきた。そんなに大声を出さなくても聞こえるよ。
「――失礼なのはお前だ」
直後、青色の髪のニンゲンが弟くんに叩き伏せられた。
一応、生命活動はしているし、重大なけっそんは見られない。だいじょうぶだろう…多分。
でも、手足がおかしな感じに曲がっているから、わたしの『ちから』で直してあげようと思う。
わたしの足先から根の様に伸びる…まあ、実際似た様なモノだけど。
それを使って動けなくなったニンゲンにからませて、その身体を直す。
「やめろっっ――――…まさか、僕を治そうとしているのか?」
わかっていなかったのだろうか?
たぶんそうなのだろう、最初はずいぶんとあばれていたが、大人しくなった。
キモチイイはずだとおもう。わたしのちからの方向性はそのようなものだから。弟くんにもやってあげようか?
と聞いたら断られた。キモチイイことしたくないんだ。照れ屋さんなのかもしれない。
弟くんは、しばらくニンゲンの修理を見てから、
自分の方が年上なので、弟くんではなく、せめてお兄さまと呼べといった。
それを聞いたのか、何時の間にかいたニンゲンの雄蕊……雌蕊?
まあ、生物的には雄蕊のようなニンゲンが、お兄さまに、
「そういう趣味に目覚めたのかしら」
と呟いて、それと同時にわたしの拘束から抜け出した青色のニンゲンに鉄の筒を向けられていた。
多分、暴れるとまたお兄さまにお仕置きされと思うんだけど、それがわからないのかな。
お兄さまはわたし以外誰もいなくなった部屋を見渡した後、わたしについてくるようにいった。
名残惜しくもあったけど、もうわたし以外はいなくなっちゃった場所なので、わたしはゲートを開けてその中に部屋を放り込んだ。
部屋が無くなったせいか、わたしとお兄さまとニンゲン達は細かい粒子の上に立っていた。
「驚いたわね、中にいる私達を例外としたまま外側の宇宙船だけを向こう側に
雌蕊モドキ雄蕊ニンゲンが何か言ってるけど、わたしにはあの部屋の中にあった本の内容以外のことはよくわからない。
もしかして責められているのだろうか? 他の存在とのこうりゅうがなかったので、そういうところはむずかしい。
おこられるのは嫌だったので、一輪のユリを扉の向こうから持ってきた。
雌雄が怪しいニンゲンにあげようとしたら、それをお兄さまに奪われた。
「そうだ、名前が無いのならこの花の名前を名乗るが良い。
お前の名前は―――――――――――――リリーだ」
リリー。それがこの日からわたしの名前になった。
お兄さまは何でも知っている。わたしの名前もわかったんだ。すごい。
お兄さまのお部屋に行く途中、色んなことをきいた。おしえてもらった。
お部屋じゃなくて、大きいばしょはおうちっていうこととか、お兄さまにも弟がいて、
つまりわたしの別のお兄さまがいるってことで…? う~ん、むずかしい。
まあ、よくわからないことはそのままながすことにした。
他にも印象的だったのは、ニンゲンは悪い害虫で、わたしたちプラントを食い物にする滅ぼすべき敵なんだってこと。
でも、お兄さまの周りにもニンゲンがいる理由を聞いたら、がんほぅがんずという良いニンゲンだから大丈夫らしい。
でも今はそのがんほぅがんずってニンゲンは2体しかいないんだって。
お兄さま曰く、良いニンゲンではなく、いずれ滅ぼすべきちりあくたで、りようしているだけらしい。
いまいちよくわからないから、良いニンゲンという事にして頭からながす事にした。
あと一つ。お兄さまと良いニンゲン達はものすごく速くはしるけど、わたしにはたいへんだから、
もう少しゆっくり歩いてくれると嬉しかった。
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