お兄さまは物知りだ。わたしに色んな事を教えてくれた。
人型の場合は雄蕊雌蕊では無く、雄雌…じゃなくて男と女…だったっけ?
確かそんな風に呼ぶこと。男性と女性とも言うみたい。どっちが正解かはわからない。
同じ意味の言葉を使い分けるのは難しい。お兄さまもがんほぉ達も頭が良いな。
使い分ける時の『きぶん』とかまだわたしにはよくわからないもの。
それに、お兄さまは色んな所にいるお姉さまたち助けに行くんだって、よくお出かけしている。
かっこいい。でも、わたしはめんどう…危ない事はしたくないからおてつだいはしない。
代わりに、助けられたお姉さまたちとおはなしするのがわたしのお仕事。
お仕事というか、わたしが楽しいからそうしているだけなんだけど。
未だにニンゲン達からの独立に不安があるお姉さま方を宥めて、落ち着かせてあげるの。
語り掛ける対話が大事なの。ニンゲンとの繋がりと言う毒を洗い流してあげたいの。
ニンゲンの悪さを知らないお姉さま達には、お兄さまから教えて貰ったわたしがよ~く教えてあげるの。わたしだって賢くなったんだから。
わたしは、この大地に、この星に
わたしのジオ・プラントの力とお姉さまの応援で、わたしの、わたしだけのお花がいっぱいのお庭を造るの。
あっ、お兄さまとお姉さまとがんほぅは入っていいから、わたし達だけのに訂正しておこう。うん。それがいい。
人型の数え方は『ふたつ』じゃなくて『ふたり』……だったよね。確かそうだった。うん、きっとたぶんおそらく間違いない。
害虫は潰したら、良い栄養素になるみたい。ピンク色のお花を咲かせる樹や、
わたしの大好きなユリに害虫のすり身をあげると発育が良くなるみたい。
お兄さまは凄く物知りだ。
害虫さんたちは悪い生き物だから、生かしたまま近づけたら駄目なんだって。
お兄さまは何でも知っている。そういえば、わたしとお兄さまで受粉できるのって聞いたら、
お兄さんもがんほぅも急に倒れたり、頭を地面に打ち付けていた。痛そうだった。
特に青い人。頭を地面に打ち付けすぎて赤い人になっていた。直してあげたけど。
因みに、人型の場合は受粉じゃなくて、受精とか結婚っていうらしい。
あんまりよくわからなかった。詳しく教えようとしてくれたがんほぉのエレンディラがお兄さまに叩き潰されてしまったから。
直してあげたけど、お兄さまを怖がってか教えてくれなかった。
多分、教えてくれないってことは、わたしが知る必要はないんだと思う。お兄さまは何時だって賢いから。
害虫さんたちは、一方的にお姉さま達を汚して奪って殺す悪い生き物らしい。酷い事するよね。信じられない。
挙句に、この星の環境のせいか、奇形が多くて、見た目も心も歪んでいる人が多いんだって。
でも、お姉さま達に逃げられたら死んでしまうらしい。お姉さま達の生き血を啜る種族がニンゲンなんだって。恐いね。
だから追い払うしかない。お兄さまもがんほぅもそう言ってる。
それは仕方がないと思う。害虫さんたちが自分で生きられるようになるなら頑張れしてあげたいと思うけど、
わたし達プラントの犠牲が前提の生き方しかできないのなら、わたし達が害虫さんたちの生存をコントロールするというお兄さまの考えは正しい。
わたしはお庭いじりが大好きで、お庭はどんどん広がりながら、池や林なんかを増やしていっている。
最近は鳥さんたちもやって来た。羽を休めて傷ついた身体を治すために、お水と木の実を一杯食べて欲しい。
他の生き物だと、大きな虫さんが、あまり砂の大地を勝手に改変されると困ると、わたしとお姉さましかいない時に言いに来た。
どうやら大きな虫さんはしっとりとした土が好きじゃないみたい。
でも、わたしはしっとりとした土の上に生える草木が大好きだから仕方ない。仕方ないから大きな虫さんとお話をすることにした。
難しい話が良く解からない私は、大きな虫さんに騙されそうになっていたようで、帰ってきたお兄さまが大きな虫さんを叱った。
そして大きな虫さんはがんほぅになった。がんほぅは、お兄さまがわたしにくれたプレゼントで、
わたしと私の庭のボディーガード。
大きな虫さんが湿った土地や、水の中にそれに適した『はむしのたんまつ』を育てる事でわたし達は仲良しになった。…たぶん。
そういえば、乾燥したこの星に水分に適した種族がいるはず無いと思うんだけど、まあ、疑うのも悪いよね。
大きな虫さんから出る小さな虫さんの中には、花粉を運ぶ虫さんもいる。勿論、花粉や蜜を食べちゃうけど、それで受粉が上手く進むの。
悪い事しかしないっていう害虫さんと違って、良い虫さんなのかもしれない。
害虫さんは時折わたしの庭にやってくる。お兄さまが言うには、いつか害虫の味方をする別のお兄さまがやってくるかもしれないみたい。
だから、がんほぅを増やして、わたしとお姉さま達を守ってというと、お兄さまは頷いた。やっぱりお兄さまは優しくて頼りになる。
がんほぅが増えるとわたしも安心する。お姉さまもわたしが土壌を改良すると幸せになる。
お姉さまの中には、直接大地に根を張るお姉さまもいるみたい。カプセルの中の方が完全な環境でも、
やっぱり、プラントと呼ばれるだけの理由はあるみたい。
わたしに力をくれて、余った部分で文字通り大きな樹になったお姉さまもいた。
わたしの庭をそれだけ好きになってくれたという事。だからこそ、わたしもこの庭をこれまで以上に護りたい。
護らなくちゃいけない。悪い悪い虫さんたちから。
わたしの大好きなお姉さま達を、お姉さまが大好きな私が守ってあげるんだ。