デザート・リリー   作:蕎麦饂飩

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Vamwolf Cross

害虫(ニンゲン)は恐い。でも害虫を食べる益虫(ガンホー)なら恐くない。

私の大切な守護者たち『GUNG-HO-GUNS』。一人一人が異能持ちの隔絶した戦闘者。

 

レガートは別枠として、

男だけど女性なエレンディラや、

失礼ながら所謂両性愛者の様な気がするドミニク、

余興担当の演奏家ミッドバレイ、

プラントでもニンゲンでもないザジ、

此処に居づらいのか何時も空けているニコラス、

余興担当その2のポジションのレオノフ、

偶に9つある声の一部が変わるグレイ

この中では戦力的に大きく劣る師匠師匠ばかり言う剣士サラム、

自由を得てからボディビルドに嵌り気味のモネヴ、

コロコロと転がったり隅端っこで丸くなっている一番ペット染みたマイン、

そしていずれ来るだろう追加メンバー達。

 

 

最近モネヴに貰った腹筋ロウラァと言うものを試しているのですが、私には膝をついてやってみるのが精いっぱいです。

その点お兄さまは流石です。

片手で、しかも体の横方向にも膝をつかずにやってのけるのですから。

私もお兄さまの様になれるように頑張りたいですが、私はお兄さまとは違い、無知で非力なのでどうにもうまくいきません。

 

身体を動かすと言えば、サラムがライデイという師匠から学んだ次元斬一刀流を私も少しだけやってみた事がありますが、

結果としてはうまくいきませんでした。剣術は凄く難しいです。銃も苦手ですが、剣を振るうのも同じくらい難しいです。

ですが、移動の要であるボール型ローラースケートだけは上手になりました。

ダンスの際に役に立ちそうな特技なので淑女的にはアリなのかもしれません。

 

 

他にもレオノフは私に人形劇を教えてくれまたりしました。

私が情報端末から知ったバレンシアの熱い花という地球の名歌劇を拙いながらも演じた時には、拍手してくれました。

因みに私が特に丁寧に作ったキャラクターの名前がイザベラという名前だと告げると発狂して、お兄さまに殺されかけていたので、

その後私が治してあげました。どうもイザベラと言う名前は禁句だったのかもしれません。理由は解りませんが追求する必要はないでしょう。

 

 

 

 

さて、現在私はお兄さまに連れられてニンゲン達の街へとやってきました。

ついでにコンラッドとレガートとエレンディラもいます。

 

欲望と利己主義の塊である知能の低い獣達が行きかう場所。

よくお兄さまは恐れる事無く足を進める事ができるものです。

私なら一人ではこの場所には来たくありません。

お兄さまとお姉さま達に囲まれた優しい場所で安寧の日々を送りたいのです。

誰が好き好んで野蛮で下卑た猛獣が、お姉さま達から搾り取った産物で生活している場所を観光したいと思うのでしょうか?

理解できませんし、しようとも思いません。

早く、新たな場所で再建しているあの楽園に帰りたい。

その様な事ばかりが頭に浮かびます。

 

恐ろしいニンゲン達の蠢く巣の中を歩くのは身体の震えが止まらなかったので、お兄さまにしがみ付いて歩きました。

そしてある建物の中に入っていきました。

そこには囚われのお姉さまがいました。害虫が養分を摂取するために、無理矢理紫外線や電流を流し込まれて生産するお姉さまがいました。

私とお兄さまが解放してあげようとしていると、其処に居た害虫の一匹が、コレが無いと生きていけないから仕方ないとのたまった後、

『ラストラン』という聞きなれない言葉を発しました。

 

『ラストラン』とは、生産性能の低下したプラントを人為的な暴走状態にした最後の大生産。

レオノフならDIE凄惨とでも言うのでしょう。

これを行ったプラントの末路は文字通りの末路でした。

 

お姉さまは叫び狂いながら以上生産を続けた後に、髪の毛が黒くなり、次いで全身が黒ずんで腐り堕ちる様に弾けました。

あまりのことでしたから、逆に冷静になるしかありませんでしたが、それに遅れて恐怖と悲しみがやってきておかしくなりそうでした。

呼吸が出来なくなり、視界がグルグルと回って、全身が凍りつくような寒気と吐き気、手足の痺れが襲ってきました。

感覚の無くなった私の手を掴むお兄さまが何かを叫んでいる姿を視界にぼんやりと映しながら、

お兄さまが手を握ってくれている事だけを心の支えにしながら意識を手放しました。

 

 

 

それから暫くして、私は何時もの場所で目を覚ましました。

お兄さまは髪の毛が少し黒くなっていました。きっと『力』を使ったのでしょう。

 

私は起き上がるとお兄さまを抱きしめて、その熱を感じながら恐怖を慰める事にしました。

それから暫くして、私の自室に一人の男性をお招きしました。

 

 

その方はビル・コンラッド。

恐らくこの星で現存する中で一番プラントに詳しいニンゲンです。

 

 

「大丈夫か? 恐ろしいものを見たショックはまだ引き摺っていると思ったが」

 

彼はそう言いました。

私の推測が正しいのなら、彼は今とても白々しい事を言った事になるでしょう。

ですので、彼には問いたださなくてはいけません。

 

ベッドに座った足を組み替えてオレンジジュースを飲み干した後、彼に聞いてみる事にしました。

 

「ええ。ですが、恐ろしい事を知らなかったショックよりかは幾分かマシと言うものです。

お姉さま達の苦しみを知らなかった事は貴方が思う以上にとてもショックでした。

ところで――――プラントの黒髪化についての記述にロックがかかっていました。

プラントの接触や融合の件もです。以前一度目次だけを全て流した時にはロックがかかっていなかったような気がしましたが、それはこの際良いのです。

本を読むのはとても得意(・・・・・・・・・・・)ですので、ロックは全て解除しましたが、

どうやらそのロックはコンラッド、あなたの操作による可能性が非常に高いという結果が出たのです。

ですのでこの機会にぜひ教えて頂きたいのです。どうか無知な私に教えては下さらないかしら。

 

――――ねえ、コンラッドあなたは害虫(ワルイヒト)?」

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