それでは15話をどうぞ!
「優真何見てるの?」
先ほどポストに入っていたチラシを読んでいると声を掛けられる。
「これか?ポストの中に入っていたんだ。映画の宣伝があって、よく考えたら曜とまだ映画見てないなって思ってさ。曜はどんなジャンルの映画が好きなんだっけ?」
「私?私はホラー映画以外なら何でも大丈夫だよ!そうだ、優真一緒に映画館に行って映画見ようよっ!」
曜は目を輝かせて言う。たまに千歌に似ているなと思う時がある。やはり幼馴染だからだろうか。
「ああ、いいぞ」
「ホントっ!ありがとう優真!ねぇねぇどんなのがいいかな?」
曜は俺に抱きつきながら言う。
「俺は曜が見たいものならなんでも……」
「もうっ!その優しさ嬉しいけど今は優真が気になってるやつを私も見たいのっ!」
曜は頬を膨らませながらこっちを見ている。曜の言いたいことは分かったが如何せん俺が映画についての知識があまりにもないので今の状態では答えられない。
「分かった分かった。明日までには考えておくよ。曜はこれから学校だろ?」
「明日までにだよ?絶対」
「絶対な。約束するよ」
俺は曜の頭をくしゃくしゃと撫でる。すると曜は目を細めて嬉しいそうにする。
「えへへっ、では行ってくるであります!」
「おう!行ってらっしゃい」
曜は笑顔で敬礼して出ていく。さて、映画の知識を豊富に持ってそうなのは…………
「それで私を呼んだの?」
「そうそう。詳しそうだったから」
「自分で探してみたりとかは?」
「するわけないじゃん。と言うかそれができないからこうして梨子に手伝ってもらおうとしている!」
俺は腰に手を当てて誇らしそうに言った。曜が学校に行ったあと俺は携帯を取り出して梨子を呼んだ。理由は先程も言ったとおりなんとなく詳しそうだったから。
「そんな自信満々に言われても困るんだけど」
「そこをなんとか頼む!」
「……はぁ、分かったわ。じゃあ、一緒に選びましょ」
梨子は呆れた顔で言ってくれた。
「本当にこれでいいの?榎本くん」
梨子は玄関で自分の靴を履きながら言う。
「まぁ、俺が見たいものでいいって曜も言ってたしな。こっちの方が可愛い曜を見ることが出来る。そんなことをしなくても曜は可愛いけど」
梨子と色々と話し合って早1時間。ようやく曜と見る映画を俺は決めた。これパッケージ見られたら怒られるかな。あと適当に中身だけ別のパッケージに入れ替えておこう。
「あなたの曜ちゃんへの愛はよく分かったから。ほんと曜ちゃんが羨ましいわ」
「まぁ、そう言うなって。梨子も可愛いからきっといい人が見つかるさ」
「……そ、そう?……ありがとう」
梨子は少し顔を赤らめて言う。ちくしょう少しドキッとしてしまったじゃないか。
「じゃ、じゃあまたな梨子」
俺は俺の嫁は曜、俺の嫁は曜と自分に言い聞かせて言う。
「うん!また今度、曜ちゃんがいる時に来るね」
「おう!待ってる」
梨子はバイバイと言いながら小さく手を振る。俺もそれに応えるように手を振り返した。
「ただいまー」
梨子が帰ってから体感的にそんなに時間が経たずに曜が帰ってくる。
「おかえり曜。お疲れ様」
「ただいま優真」
曜は俺に頭をぶつけてくる。これは撫でて欲しいというサインだ。
「曜、外暑くて汗かいてるだろ?風呂沸かしてあるから先に入っちゃいな」
「うんっ!ありがとっ!優真」
俺が曜の頭を撫でながら言うと曜は嬉しいそうに目を細めて言った。
「あのねあのね優真…………」
それから曜の話は止まらなかった。取り敢えずシャワーに入れて、残りは夕飯の時に聞くことにした。
「そう言えば優真。今日千歌ちゃんと帰ってる時、ある人に話しかけられたんだけどさ」
「ある人?」
それは俺と曜が向かい合って夕飯を食べている時、曜が
突然言い出してきたのだ。
「うん。サングラスをかけていて髪の色は赤色だった。
この前のあれありがたく使わせてもらうわって言えば優真が分かるって」
「あれ?赤色?…………あいつか?いや、でもあいつなら何としてでも自分から言いに来そうだしなぁ……」
俺がボソッとつぶやきながら考えていると曜が首をかしげて聞いてきた。
「どうしたの?優真」
「あ、いや、何でもない。名乗ってはくれなかったのか?」
「うん。それだけ言ったらすぐにどっか行っちゃった」
どうして名乗らなったのか謎だが、取り敢えず曜と千歌には何も被害はなさそうだ。一安心一安心。
「なるほど心当たりはあるけど、現状その人とは話す機会もないし、取り敢えず保留かな」
まだあいつ|からとは決まった訳でもないしな。
「そうだね。あと優真。朝話した映画の話覚えてる?」
曜は少し不安そうに聞いてくる。
「ああ、ちゃんと覚えてるぞ。曜が学校に行ってる間に見つけておいた」
「ホントっ!」
曜は俺の言葉を聞いて一気に笑顔になった。曜は反応が良くてこっちも見ていて楽しい。時々笑顔が眩しすぎる時もあるんだけどね。
「じゃあ、見よう見よう!」
「食器洗い終わったらな」
「あ、私も手伝うよ」
俺たちは席を立ち台所へ向かった。
「優真、どんな映画を選んだの?」
「それは見てからのお楽しみってことで」
「それもそっか。さ、優真ここっ!」
曜は笑顔でソファを叩いている。だが映画を選んだ俺は知っている。このあと曜が笑顔でいられなくなるのを。
「なぁ、曜」
「どうしたの?」
「せっかくだし電気を少し暗くして見ないか?そうした方が雰囲気があるだろ?」
俺が曜に言うと曜は「たしかに」と言って部屋の電気を消した。
「気づかなかったけど外、雷鳴ってるね」
「大丈夫だぞ曜。俺はずっと曜の隣にいるからな」
俺は曜の隣に座って言う。曜は安心したように笑顔で頷いてくれた。それからすぐに映画が始まった。
序盤は何とも優しそうな感じだったが、物語が中盤に入るとこの映画は本性を表す。俺はそれを待っているんだが……。
「…………ね、……」
どうやら始まったな。これから可愛い曜が見られるぞ。
「……ねぇ、ゆ、ゆうまぁー」
「ん?どうした?」
隣にいた曜は俺の服を少し引っ張って涙目でこちらを見ている。
「これって、……ホラー映画?」
「確かホラー映画」
間違いなく俺が選んだのはホラー映画。曜がホラー苦手なのも知っている。では、なぜ選んだのか……それは
「………………」
「…………ヒィ!」
「…………キャッ!」
「……うぅ…………」
曜の反応は見てて楽しい。時間が経つにつれて曜は繋いでいた手に力が入る。しばらくすると曜は俺の腕に抱きついてきた。
「曜?大丈夫か?」
「……ダ、ダイジョウブ?ナニソレオイシイノ?」
「……ほれっ、もっとこっち来な曜」
「…………」
映画はすでに終わっており、部屋の電気をつけて改めてソファに座り直す。俺が声をかけると曜はすぐに抱きついてくる。
「…………」
「……んっ……」
俺は無言で曜の頭を撫で続ける。さっきからずっと曜のいい匂いが充満していて、頭がクラクラしそうだ。それにしても曜がここまで俺の願った行動を取ってくれるとは思わなかった。奇跡的にも外の天気も雰囲気を出してくれたし。だけど曜には悪い事をしたな。明日一緒にどこかに出掛けよう。ふと曜を見たら……
「曜、明日暇……」
「……すぅ、すぅ」
曜は寝息を立てて寝ていた。もちろんホールドした腕をほどかずに。
ぷにぷに。
ぷにぷに。
何度触っても曜の頬は柔らかい。ずっと触ってられる。
しばらく触ってから俺は曜を起こさないようにゆっくりとお姫様抱っこをして布団に寝かせる。
「おやすみ曜」
俺はそう言って自分の布団に潜り込むのだった。
「おっはヨーソロー!!起きて優真」
「……おう、曜。おはよう」
俺は眠い目をこすりながら曜に挨拶する。
「おはよう。優真……デートしよっ!」
曜は俺の体を揺さぶりながらいう。
「分かった分かった」
俺がそう言うと曜は満面の笑みで言った。
「ホントっ!じゃあ、すぐに準備するねっ!優真も早く準備するんだよ?」
曜はすぐに笑顔になってくれるから色々と助かる。それにしても曜のこの笑顔はいつも可愛い。曜の可愛さに上限があるのだろうか?そんな疑問も出てくる。
「はいはい、ちゃんと準備するよ。悪いが曜、朝ごはん作ってくれ」
「でも今日は優真の担当だよ?」
「デートの時何でも買ってやるから」
「本当?」
「俺が嘘を言ったことがあるか?」
「分かった。私が作るから優真は絶対デートの準備してね?」
曜は俺に問いかけるようにいう。
「あいあいさぁー!……あ、そうだ、曜」
俺が敬礼のポーズを取りながら曜を呼び止める。
「どうしたの?優真」
「エプロン着用で頼むな」
「マニアックだね優真。……いまさらか。うん、いいよ。愛妻な朝食作ってあげるね」
曜は笑顔で言ってくれた。
「……さて、準備を始めますか」
俺は布団から出て、デートの準備を始める。
それにしても
「昨日のことは怒ってないのか?取り敢えず曜にホラー映画を見させるのは辞めておこう」
俺はそう心に誓ってその部屋をあとにした。
次回はもう言わなくても分かると思います。そろそろ最終章に向けて色々と布石を打っていきますよ?多分。
そしてこの作品はなんと半年も立っていたんですね。
ここまでやって来れたのは皆さんのおかげです。お気に入り登録して下さったからのお名前を記載したいのですが、流石に200名以上の方を記載するのはちょっと難しいので皆様にここでお礼を申し上げます。ありがとうございます。
高評価、感想お待ちしております。