「おっはっヨーソロー!!」
「さむっ!!」
布団を取られて俺は目が覚める。目の前には幼馴染であり、俺の恋人である彼女、渡辺曜がいた。
「おはよう優真。朝ごはんできたよ!」
「おうそうか。……寒いから布団返しておくれ」
「だから朝ごはんできたって言ってんじゃん。なんで二度寝しようとするの?」
「曜が言ってることは御尤もなんだがいかんせん寒くて動けなくてな」
3月ももう終盤だがここ内浦はまだ寒い。
「そんなこと言わないで起きてよぅー」
「いーやーでーす。返してください僕の布団」
俺は布団を奪い返そうと引っ張る。
「だーめー。早く布団からでーてーよー」
俺が布団を引っ張ると曜も負けずと布団を取ろうと引っ張ってくる。しばらくお互いに引っ張りあっていたが俺が少し力を入れて引っ張ると
「あ、………………」
曜は俺に引っ張られベッドに倒れ込む。するとどうなるか。無論俺の目の前には曜の顔が。
「………………」
「………………」
お互いに気まずい空気が流れる。俺は内心相当パニックになっていた。
ヤバイヤバイ。曜の息が当たって俺の理性が少しずつ削れて行く。
「ね、ねぇ優真はさ。その、私とキスしてみたいとか思うの?」
「思ったり思ったり思ったり?」
「……そっか」
「曜はしたいのか?」
「…………したい」
ヤバイ。朝から曜が可愛すぎる。曜は俺の肩に手を置くと目を瞑り顔を近づけてくる。
「…………っ!?」
「動かないで!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待った待った」
「ん?なーあーに?」
曜はつぶっていた目を開けて俺を見た。
「あなた今何をしようといらっしゃって?」
「え?キスだけど?」
きょとんとする曜は可愛く、今にも抱き締めてしまいそう。
「そっかー。キスかー。…………いや、ちょっと待って」
「優真は嫌だった?」
曜は目をうるうるとした目でこちらを見ている。そんな目で見ないでくれ。我を忘れて目の前にいる曜をめちゃくちゃにしてしまう。だがここで断らないと本当にヤバイのでなんとか保った理性で返事を返す。
「…………いや、じゃないけど……」
すみません。口が勝手に。
「じゃあ、いいでしょ」
「………………はい」
曜は再び目を瞑り俺に顔を近づけてくる。俺も覚悟を決め目を瞑る。ええい、もうどうにでもなれ。
「んっ………っ…………んん//」
キスの味は甘く、俺の理性を容赦なく削る。俺は曜とキスしているんだよな。今でも実感が湧かない。キスは数秒を超え気が付くと、俺たちは数十秒間の長いキスをしていた。
「ぷはっ………………優真好きぃ」
曜は肩で息をしながら言ってきた。斯く言う俺もこんなに長いキスは初めてなので、少々息が上がっているのだが……。
「……俺も曜のこと、好きだよ」
「ほんとっ!えへへー嬉しいなぁー」
「俺も曜に好きって言ってもらえて嬉しいぞ」
ダメだ可愛すぎる。気がつけば俺は曜を抱き締めて、頭をなでなでしていた。
「んんっ。ねぇ優真」
「お?なんだ?」
「こうやってお互いで抱きしめてるとさ、その……あ、暖かいねっ」
「っ!?」
キスのことで頭がいっぱいだったがよく考えたら布団の取り合いをしてこうなったんだっけか。曜の言う通り先程までの寒さは何事もなかったかのようになく、代わりに心から暖かくなっていた。それは恥ずかして体が暖かくなっているのか、朝から曜とキスをして俺が勝手に発情して暖かくなっているのかは分からない。
「そうだな。このままずっと曜を抱き締めて俺のものにしたいな」
「わ、私はね優真と離れたりしないよ。ずーっと一緒だよ。だから優真もずーっと私のそばにいてね//」
今日の曜はとんでもない爆弾を容赦なく落としてくる。
「おう。あたりめぇだろ」
俺たちは再びキスをした。
「曜ちゃん、遅いよ。早く優真くんを起こし……て」
俺たちは再びキスをしたが先程のように長くはなくほんの数秒でお互いの口を離した。いや、正確には驚いて離してしまったの間違いだが。
「あわわ。ち、違うの千歌ちゃん。これはその……」
「ち、千歌これはだな……」
「ごめんね曜ちゃん、優真くん。そうだよね、この年になったらそういう事にも興味が出ちゃうもんね。じゃあ、千歌はお邪魔みたいだからここで失礼して……」
「ま、待ってよ千歌ちゃん。これは誤解だからぁー」
千歌はゆっくりと扉を閉めて部屋を出ていく。
「…………」
「…………」
お互いに気まずい雰囲気が流れる。
「……着替えて朝ごはん食べるか」
「う、うん。そうだね」
俺は寝巻きから着替えて朝ごはんを食べに一階に向かった。食事中はお互い恥ずかして、何一言も発さなかったのはまた別のお話。
「さ、曜ちゃん。優真くん。そろそろ行こ」
「は?どこに?つーかなんで千歌が俺の家にいるんだよ」
曜はよく俺を起こしに朝来てくれたが、千歌が来たことは一度もない。
「なんでよ!今日は東京に行くって話でしょ」
「東京?」
「そう。トーキョー」
「ッ!?」
「やっと思い出してくれた。まったく早く準備……」
「ッ!?俺、千歌より遅く起きたのか。屈辱」
「そういう事!?というか千歌だってやればできるんだから」
あの千歌が、俺より早く…………成長したな千歌。東京?ああ、それ今日か。俺たち三人は同じ東京の大学に通うことになっている。今日は東京に引っ越ししようと言うわけなのだが、忘れてた。
「アーソウダナ。さて、早速準備しないとな」
「なんで片言なのー」
俺はその場から立ち上がり早速家を出る準備をした。
「優真くん、荷物軽そうだねぇー」
「し、仕方ねーだろ。色々整理してたら着れる服があまりなかったんだから」
あの後服の準備をしていたのだが、先日服の整理をして何枚か売ったりしてしまったので、持ち物がとても少なくなってしまった。向こうに着いたら服の調達をしないとな。
「優真。向こうに着いたら一緒に洋服を買いに行こう?」
「おう、曜がいると安心するぜ!」
俺は親指をグッと立てて言った。曜が一緒なら大丈夫のはずだ。
「おーい。早くしないとバス行っちゃうよー」
千歌が早く早くと急かす。俺たちはゆっくりとバス停に向かった。
「すぅーすぅー」
「千歌ちゃん寝ちゃったね」
「朝早くから起きたからだろ」
沼津から東京に向かう電車の中、千歌は疲れたのかぐっすりと寝てしまった。こうゆう所は相変わらず可愛いよな。曜には勝てないけど。
「私も眠くなって来ちゃった」
「寝ててもいいぞ」
「ねぇ、優真」
「ん?どした」
「隣で寝ていい?」
「おう、いいぞ」
曜はその場から立ち上がり俺の真横に来る。
「んー」
曜は俺の手を握って肩に頭を乗せて目をつぶる。俺も曜の手をしっかり握り返して窓の外を見た。
「……優真、……好き……」
曜は寝顔も可愛いな。
「着いたぁー」
「久しぶりに来たね東京」
「そうだな」
俺たちは以前スクールアイドルをやっていて何度か東京にやってきたことがある。いや、まぁ俺はマネージャーとしてだけどね。
「じゃあ、千歌はこっちだから。曜ちゃんに優真くん。また学校で会おうねー」
「おう、またな」
「バイバイ千歌ちゃん」
千歌は走ってその場から去っていく。
「俺たちもここでお別れだな」
「う、うん」
「それじゃあな曜。また学校で会おうな」
くるりと振り向き歩きだそうとした時、後ろから強い力で袖を引っ張られる。
「ん?どうした?」
「あ、あのね優真。その……」
曜は体をもじもじさせながら何かを言いたそうにしてい
る。
「ん?あ、そうだな。普通は俺が曜を見送ったりするよな」
「ち、違うの。その、この後一緒に買い物に行かない?」
曜は目をうるうるにして上目遣いがこちらを見て来る。
「ああ、そうだったな。俺の服も見てくれんだもんな」
「う、うん」
「じゃあ、また後で集合しよう」
「ヨーソロー!!」
そう言って俺たちはお互いの帰路をたどる。
「ここを右に曲って、そのあとも右に曲がると……」
ただいま俺は新しい住居に向かって歩いているところだった。俺の両親は普段は海外をぐるぐると飽きることなく回っているので俺と会う方が少ない。親としてどうなんだ。新しい住居も曜の両親のおかげで見つかったようなものだ。お金関係は俺の親と曜の両親とでなんかお話があったらしいが俺はそこまで詳しいことは知らない。
「と、ここか」
「え?」
「ん?」
ふと横をみるとさっき分かれたはずの曜がいるではありませんか。
「優真、どうしてここに?」
「いや、曜こそ。道に迷ったのか。案内してあげようか」
「いやいや、合ってるよここで。優真こそ道に迷ってんじゃない?」
「俺は迷ってなんてな……まさか」
俺はひとつの答えに辿り着いた。
「やっぱり…………書いてある住所同じだな」
「ッ!?」
その表情だと曜も初めて知ったようだな。
「曜も初めて知ったのか」
「う、うん。優真はいいの?私と同居で」
「俺か?俺は大丈夫…………だと思う」
一瞬本当に大丈夫か気になったが大丈夫なはずだ。だよね、俺の理性。
「曜の方が大丈夫なのかよ。男と一緒に暮らすんだぞ」
「私は、私は大丈夫だよ。優真とずっと一緒にいられるし、それに…………一緒に暮らすって夫婦みたいじゃん((ボソッ」
「ん?悪い最後の方が聴こえなかった」
「なんでもないよ!?さ、さ、早く入って買い物行こ」
「お、おう」
俺は曜に押されながら新居に入っていった。なんで最後の方聴いてないんだよ俺。こうゆうのって大体めちゃくちゃ可愛いこと言ってるのにくそう。俺は少し残念な気持ちになった。
まずはお礼から前回の1話、たくさんのお気に入り登録とコメント、高評価ありがとうございます。1話から告白シーンでちょっとやりすぎた感があったのですが皆様に好評で良かったです。今後ともよろしくお願いしますね。
般若猫さん、RioWyさん、アーセナルさん高評価ありがとうございます。
高評価、感想お待ちしております。