不器曜とヨーソローな日常   作:水無月 楓

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お待たせしました3話でございます。サブタイトルについては誰かに喧嘩を売ってる訳ではごさいませぬ。


3話 主人公補正は決して万能能力じゃないんだよ!!

「うわぁー、広いねぇー」

 

「おい、曜。そんな田舎者みたいな事言うな」

 

「いや、田舎者みたいと言うか田舎者でしょ?私たち」

 

「田舎者言うなや。俺たちは田舎のなかの都会にいた人たちだろ」

 

「それ結局田舎者じゃん」

 

「そんなこと……あるかもな」

 

太陽がちょうど真上に来た頃、俺たちは都内のとあるショッピングモールに来ていた。

 

「認めるんだね」

 

「まぁ、はっきりと否定出来ないからね。さ、サクッと買い物済ませようか」

 

「うんっ!エスコートよろしくね優真」

 

そう言って曜は俺の左腕に自分の右腕を絡めてきた。

 

「おう。正直出来るか心配だが任せろ!」

 

「そこは嘘でも任せろの一言でいいんだよ」

 

「そうだな。任せろ!」

 

「もう遅いよ」

 

俺たちは雑談を混ぜつつショッピングモールの中を進んでいく。

 

 

「ど、どうかなぁ?」

 

「似合ってる。可愛いぞ曜」

 

「ちょっとこんな所でそんな恥ずかしいこと言わないでよ」

 

「いやいや、これを見て可愛いって言わない奴なんていないだろ」

 

「そ、そんなことないと思うけど。でもありがと、嬉しいよ。ねぇねぇ、次は優真が選んでよ」

 

「え?俺?いや、俺が選ぶより曜が選んだ方ほうが……」

 

グイッ!!

 

袖を強く掴まれる。あ、これは絶対ダメな奴だ。俺はゆっくりと振り向くとそこには試着室から出てきた曜が目をうるうるとさせて見つめている。そしてこんな一言を言ってくる。

 

「私、優真の選んだ服がいいな。ねぇ、……ダメかな」

 

「ダメじゃ…………ないけど」

 

ダメじゃないけどさ、俺のセンスじゃ、曜をしっかり目立たせることが出来るか心配だ。

 

「ねぇー、お願いー」

 

「分かった分かったから」

 

曜の頼みじゃ仕方がない。一肌脱いでやるぜ!

 

「……これなんかはどうだ?」

 

「うん!ちょっと着てくれるね。…覗いちゃダメだよ?」

 

「安心しろ。そうゆうのはマイホームでしかやらないから」

 

「いや、そこでもやらないでよバカ!」

 

「バカって。そもそもこの前キスしようとしてきたの曜のほうからだろ」

 

「ナッ、そんなことここで言わないでよ。それにあの時は優真が欲しそうな目で見てきたから」

 

曜は顔を真っ赤にして言った。欲しそうな目って。それは曜だろって言いたくなるが、何となく俺にブーメランが返ってきそうなので

 

「ウッ、は、早く着替えてくれ……」

 

「お?お?認めたなぁ~」

「早くしなさい」

 

「ヨーソロー」

 

悔しいぜ。いつか覚えてろよ曜。俺はやられっぱなしじゃねーからな。

 

 

「着替え終わったよ」

 

「お?楽しみだな。どんだけ可愛くなってんだろうな~」

 

「聞こえてるよ!」

 

アルェー?おかしいな?心の声が。そんなくだらないことを考えていると試着室のカーテンがゆっくりと右に動く。

 

「ど、どうかな?」

 

「おおー。いいねぇ~。可愛いぞ曜」

 

出てきた曜はピンク色のワンピースにシンプルなガーディアンをまとっていた。

 

「さっきと同じ事しか言ってないじゃん」

 

「それは曜が可愛くて他にかける言葉が見つからないからな」

 

「ほ、本当に似合ってる?」

 

「ああ、本当に」

 

むしろ曜に似合わない服なんてあるのだろうか。

 

「そっか。じゃあ、これ買うね」

 

曜は再び試着室のカーテンを閉めて言った。

ちなみに曜は宣言通り俺が選んだ服を購入し、その後俺の服を見に行ったが、すぐに服を選んで何ごともなく終わった。まぁ、男の洋服選びなんてすぐ終わるからな。

 

 

「ねぇ、ねぇ、優真これ……やりに行こ」

 

曜が出してきたのは2枚の紙切れ。だがただの紙切れではない。

 

「それはさっき貰ったガラガラ抽選券か」

 

そう。その紙切れは先程服を買った時に貰った2枚の抽選券。1等はなんと旅行券。

 

「うん。私、優真と一緒に旅行に行きたいなぁ」

 

「俺も行きたいが、意外に当たらないぞ。こうゆうの」

 

「当たるかもしれないじゃん」

 

「いやいや、それはあれだろ。主人公補正のかかった架空の人物だからだろ」

 

なんで絵の中の人物はこう運がいいんだよ。小さな頃からの疑問だったよ主人公補正。

 

「そんなのやって見なきゃ分かんないじゃん。ほら着いたよ」

 

「おん?」

 

どうやら抽選場所に到着したみたいだ。

 

「すみませーん。これでガラガラやりたいんですけど」

 

曜が店員を呼ぶ。

 

「あいよ。2枚だね。それじゃあそこの2回、ガラガラを回しておくれ」

 

「はーい。……優真やる?」

 

「曜がやっていいぞ」

 

「優真もやろうよー」

 

「曜が言うなら、いいけど」

 

「ほんとッ!?」

 

「ああ、だから先に曜が回していいぞ」

 

「うん!!」

 

曜はパァっと表情を輝かせた。

 

「えいっ!」

 

曜はいきよいよくガラガラを回し始めた。いや、それは勢いあり過ぎだろ。

しばらくして白色の玉が出てきた。

 

「はい。ティッシュだね。じゃあ、もう1回どうぞ」

 

「うーん悔しい。優真いいの引いてね」

 

「できるだけ頑張る」

 

出来るだけってこれもう運だからどうこう出来ないけどなと言うツッコミはなしで。

 

「ホイッ」

 

「赤玉。おめでとうございます!!1等京都2泊3日旅行券でーす!!」

 

『え?』

 

カランカランとベルの音が止まらない中、俺と曜はあまりの出来事にその場から動けずにいた。

 

「…………曜」

 

「ど、どうしたの優真」

 

「当たっちった」

 

「当たったね。ビックリしてる所。でも良かった。これで優真と一緒にどっかに行けるね!」

 

曜は俺に抱きつくと顔を埋めて喜びを表現してくれた。

めちゃくちゃ嬉しいけど同じくらい恥ずかしい。その仕草が可愛らしくて、俺は恥ずかしいからやめてくれとは言えず

 

「こんなんなくても、そのうちどっかに連れて行ってやるよ」

 

「ほ、本当に?じゃあ、待ってるね//」

 

曜は顔を少し赤くして言った。

 

「二人の世界に入ってるところ悪いけど、後ろが詰まるから少しスペースを作っておくれ」

 

「ご、ごめんなさい」

店員さんの声で俺たちは周りから見たら恥ずかしいことをしていることに気づき、その場をそそくさに去った。

 

 

「ねぇ、優真」

 

「おん?今度はどした?」

 

「あそこのゲームセンターに寄ってこ?」

 

「ああ、いいぞ」

 

俺たちは曜の指差したゲームセンターへ向かう。

 

「わぁー。やっぱり沼津と比べると大きなゲームセンターだね」

 

曜の言う通りこのゲームセンターにはクレーンゲームを初め、リズムゲーム、メダルゲームなど多種多彩な機会が揃っていた。俺は曜と特に何もやらず店内を歩いていた。

 

「なぁ、曜なんかやりたい……あれ?」

 

ふと横を見るとそこには曜の姿はなかった。辺りを見回すと曜はひとつのクレーンゲームの前で立ち止まっていた。

 

「そこにいたのか。どうしたなんかいい物でもあったのか?」

 

「え?う、うん。このクマの人形可愛いなぁ~って」

 

「一度やってみたらどうだ?」

 

「うん!」

 

曜は100円を取り出しそれを投入する。このクレーンゲームは人形をそのまま取って無事に取り出し口まで持っていけばいいのかな?最近のクレーンゲームって沢山あって困るぜ!

 

「…………ここかなぁ?」

 

曜がボタンを押すとアームが伸びてクマのぬいぐるみをキャッチするがアームが重さに耐え切れずぬいぐるみを落としてしまう。

 

「あー。クレーンゲームってここが難しいんだよね」

 

「まぁ、そんな簡単に取れたら苦労はないからな」

 

「次は優真がやってみてよ!」

 

「俺が?俺がクレーンゲーム苦手なの知ってるでしょ」

 

「もしかしたら出来るかも知れないじゃん。さっきも1等当ててるんだから」

 

先程も言った通り、俺はクレーンゲームが大の苦手だ。

けど、先程と同じように奇跡が起きるかも知れない。そう願い俺は100円を投入する。

 

「……この辺りか」

 

頼むぜと願いながらボタンを押す。しかし曜の時と同様にアームが重さに耐え切れずぬいぐるみを落としてしまう。

 

「やっぱり難しいね」

 

「もう1回。もう1回だけ」

 

「あんまりやりすぎは良くないよ」

 

「大丈夫。ラスト1回だから」

 

秘技ラスト1回を俺は使い、100円を再び投入する。ラスト1回って大抵ラスト1回じゃないけどな。

 

 

 

「優真。そろそろやめよう」

 

「や、ダメだ。曜が悲しむだろ。絶対取ってやる!」

 

「……優真」

 

曜は少し驚いた顔をした後少しムッとしてでもラスト1回だからねと言ってきた。

 

「おう、任せろ」

 

既に俺はこの機会に2000円近く使っている。これ以上は普通に買うのと大差なくなってしまう。俺は最後の100円を投入する。

 

「タグを上手く狙って」

 

何回かやってタグを引っ張る方法で取る必要があることが分かった。思い返してみれば高校時代もそんなこと誰かが言ってたような気がする。

 

「よし!ここだァー」

 

俺は覚悟を決めボタンを押す。するとぬいぐるみは取り出し口近くまで来た。

 

「おお?行けるんじゃないか?」

 

「うん。どうだろうね」

 

人形は優しい音を立てて落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても残念だったね」

 

「あそこで落としてしまうとはな」

 

結局最後は取り出し口に落ちたのではなく、その手前でアームからぬいぐるみが離れてしまった。

俺たちはショックを受けていたのだが、店員がまさかのAqoursファンだったようでそのぬいぐるみをゲットすることができた。その店員は俺に向かって邪悪な何を放って何か言っていたが聴こえなかった。もうあそこに行けねぇ。

 

「優真はもう少し考えてゲームをするんだよ?お金の使いすぎは良くないからね!」

 

「はいッ。おっしゃる通りで」

 

「でも……」

 

曜は貰ったぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて言った。

 

「でも私のために必死にぬいぐるみ取ろうしてくれてありがとう。とーっても嬉しいよ」

 

曜は照れて伏し目になる。

 

「そうか。喜んで貰えたら良かった」

 

俺たちは雑談をしつつゆっくり自宅に向かった。

お互いの手をしっかりと握って。




Twitterでも言ったのですが評価バーに色がつきました。これ次第は大したことではないのですが私にとっては正直ビビってます。ここまで読んでくださる方がいらっしゃるとは……。ありがとうございます。次回もなるべく曜ちゃんの良さを出せるように頑張るぞい。

なたはまはたさん高評価ありがとうございます。

感想、高評価お待ちしております。

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