艦隊これくしょん -raison d'etre-:軍艦艇と人間、その境界で生きる   作:AyLsgAtuhc

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エピローグ

 

「電ー、早くしなさい! 学校遅刻しちゃうじゃない!」

「は、はいなのです!」

 

 私はしばらくの後、お姉ちゃん達と共に鎮守府を去りました。

 今では退役艦保障の下、鎮守府からちょっと離れた街で、お姉ちゃん達とみんな仲良く暮らし、学校に通っているのです。

 

 3人目の司令官さんとは時々、メールでやりとりをしているのです。

 もっとも、戦後処理や深海棲艦側との交渉、艦娘や深海棲艦のメンタルケアなど、各地を奔走していてとても忙しそうでしたけど、ちょっと前に尋ねてきた司令官さんの顔は、戦時中よりもずっと生き生きとしていました。

 

『俺はこの時の為に、流されるまま生きてきたんだってな』

『こうやって人間として生きる事をあの人は許してくれたわ』

 

 ふと、在りし日の軽巡のお姉ちゃんと空母のお姉さんの顔を思い出しました。

 司令官さんの言う生きる意味とは、そういう事なのでしょうか。

 

 私は思いました。

 お姉ちゃんもお姉さんも、例えどんな境遇でも、自分を見失わないように自分のペースで、精一杯生きていたんだと思います。

 

――結末は私にとっては、とても悲しいものでした。

 

 ですが、精一杯生きたからこそ、二人は艦娘として、生きる意味を見つける事が出来たのだと思うのです。

 

 そう考えると、なんだか不思議な気分なのです。

 そう考えると、今、生きている私たちは、そうした皆の生きる意味の積み重ねた上に立っているのです。

 その生きる意味の最果てに、私は生きているのです。

 その最果てを、宙ぶらりんで、私は歩いているのです。

 その最果ての先、私は何処へ向かうのか、今の私には見当がつきませんでした。

 

 結局、あの戦争は私にとっては通過点でしかありません。

 また私は、自分自身が兵器か人間かという答えに自信を持って答えられません。

 でも、少なくとも戦争中、私は兵器でもあり人間でもある、「艦娘」として生きてきました。

 

 だからこそ、戦争が終わった以上は、「艦娘」として生きてきた経験を糧に、そのどちらでもない、あるがままの「電」としての生きる意味を探さなければならないのです。

 正直なところ、それをこんな私が見つけられるのだろうかと、時々不安になります。

 

「電ー、何やってるのよ! 遅れるわよー?」

 

 でも、お姉ちゃん達となら、私はもっとずっと強くなれる気がしたのです。

 

「早く行こう。みんなが待ってる」

 

 お姉ちゃん達となら、私はもっとずっと遠くへ行ける気がしたのです。

 

「まったく、世話が焼けるんだから!」

 

 お姉ちゃん達となら、何時か答えを見つけられる気がしたのです。

 

『どうせ何時か死ぬなら、流されるだけ流されて、ギリギリまで生きてやろうってな』

『焦らなくてもいいわ。一歩ずつ前に進んでいけばいいのよ』

『なぁに、自ずから然るさ』

 

「すぐ行くのですー!」

 

 そして私は、私にいくつもの生きる意味を示してくれた皆の言葉を信じて、今日も玄関の扉を開けたのです。

 

 

Fin.

 

 

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