⦅子作りがしたい!?⦆
弥勒と珊瑚はそれぞれ別の場所で驚きの声を上げた。
「弥勒...そんな驚かなくたっていいだろうがよ...」
犬夜叉が軽くイラついた表情を見せる。
「何たって犬夜叉、また急に...」
「いや...あのよぅ...」
弥勒が驚くのも当然だった。犬夜叉がそんな悩みを持っていたとは...。
「とりあえず...何でそう思うように?」
「いや...一応俺とかごめは結ばれた、ただ...ただ子が欲しいと思っただけだ...。かごめとの子が欲しいだけだ...!」
言いづらそうに口を開いた。
「俺はずっとかごめを待ち続けた。忘れようとも思った。でも忘れられなかった。かごめの笑顔、匂い、声...全部忘れられなかった。そしたら...かごめは戻ってきてくれた...」
かすれた声で犬夜叉は続けた。
「もう2度と離したくない。俺がこれからずっと守ってみせる。そう考えた中で...なんか芽生えてきたんだ。かごめの子が欲しいって...自分でもよくわかんないけどよ...。」
これが犬夜叉の本音だった。
「なるほど...では行為に移ればいいのではないですか?相手が犬夜叉ならかごめ様も受け入れてくれるとは思うのですが」
「違ぇ...」
犬夜叉は続けた
「かごめは...俺と確かに一緒に旅をした。一緒に気持ちを共有してきた。妻になった。だがよ...俺をそこまで受け入れてくれるかはわからねぇ...もしかしたら交尾が嫌いな可能性だってあるだろ。あと...」
「あと?」
「...心配なんだ。生まれてくる子が俺みたいにいじめにあったりかごめを非難するやつが現れたりするのが...」
犬夜叉の声は普段の威勢のいい声とはかけ離れた弱弱しい声をしていた。
「そうでしたか...」
弥勒が立ち上がる
「犬夜叉らしくないですな。」
「んだとぉ!?」
犬夜叉が声を荒げる。
「確かに心配な気持ちもわかります。犬夜叉の過去を考えれば当然のことでしょう。しかし...」
「なんだよ?」
「この村であなたを嫌な目で見ている人が1人でもいますか?」
「わかってる...わかってるけどよぉ...」
「実は皆かごめ様との子を楽しみにしているですよ。」
「なんだと...?」
「皆、犬夜叉の境遇を理解しています。過去人間にいじめられたことも、妖怪として認められなかったことも。でもあなたはこの村を守ってくれた、そして大切な人と結ばれた。皆半妖であるあなたのことを慕っているのですよ。」
「...」
「そして皆が望んでいること。それは犬夜叉に家族が出来ること。あなたの父上と母上はずっと前に亡くなっている。真の家族の温もりを知らない犬夜叉に、そして子どもに...幸せになって欲しいのです。」
「そんなことを皆が...」
「同じ気持ちを共有してきたかごめ様です。必ず受け入れてくれるでしょう。」
「そうだな...俺が弱音吐いてちゃ駄目だよな...」
「ちょうど明日は山に傘がかかってますので雨になるでしょう。かごめ様もお仕事が無いと思いますし、ゆっくり出来ると思いますよ。
「そうか...じゃあ今日...」
「あ、行為の感想、待ってますよ(ニコっ」
「てめぇ...覚えてろよ...」
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その頃、かごめと珊瑚ーーー