「…これより、神明裁判を下す。」
気づくと、真っ暗な部屋の中で、後に腕を拘束された状態だった。裁判?何のこと?
「ここに一切の妥協、私情を踏まえることは許されない。よいな。」
「……。」
喋っているのは検察官&裁判長と書かれた机の後に立つ白雪姫。裁判官と書かれた机の上には仄かなあかりがある。自身の魔法である精霊王魔法の精霊を置いているようだ。
「被告、柏高瀬。罪状はかぐや姫に対する不敬罪。よって死刑。異議のあるものは?」
「……。」
精霊は言葉を発さない。つまり…?
「異議なし。これにて裁判を終える。可及的速やかに刑の実行を!」
彼女は俺を見て高らかに死刑宣言を…
「ってちょっと待てっ!!」
「なんですか、意義反論口答え遺言一切認められません。」
「遺言すら許してくれねーのかよ…、じゃなくて、なんで俺死刑になんの!?」
「聞いてなかったのですか?被告ははかぐやと一緒にいました。それも何日も。なんとうらやま…、じゃなくて不敬なことですか。よって死刑。」
「完全に私情挟んでんじゃん!?そんな法律聞いたことねぇよ!?」
「じゃあ問いましょう。あなたはかぐやが好きですか?」
「え、う、ええと、」
そんな急に言われても…
「早く答えてください。」
「…まぁ、嫌いではない。」
「かぐやを好きになっていいのは私だけです。だから死刑。」
「は、はぁっ!?じゃ、じゃあ、かぐやなんて嫌いだっ!」
「かぐやを嫌うやつは私が許しません。死刑。」
「理不尽すぎる!!」
「安心してください。苦しむように、じっくりいたぶってから殺してあげますよ。」
「普通苦しまないようにするんだけど!?」
俺に向け精霊たちがどんどん魔法を食らわせていく。といっても攻撃魔法ではないのか魔法を受けても物理的な痛みはない。ただ、効果がないという訳ではなく、精神系の魔法らしく、ゴキブリを踏んだ感触やら、タンスの角に足の小指をぶつけた痛みなどを感じた。
やばいこれ確実に死ぬ!今はまだ耐えられるが精神的なものも何度もくらえば辛い!必死でロープをちぎろうとするが無理だった。その間にも魔法の嵐は降り注ぎ、リンチを受けていた。
「そろそろとどめです!」
白雪姫の言葉を合図に、数十の精霊が出てきた。それらはすべて炎魔法の精霊らしく、巨大な炎の球が出来上がる。ついに物理的に殺しに来た。だが避ける方法は無い。やば、死んだ…。
「馬鹿なことはやめなさいっ!!」
その時だった。扉が荒々しく開かれ、光が差し込んでくる。そこに立っていたのはかぐやだった。救世主…なのだろうか?
「タスケテー!(裏声)」
声を出そうとしたら自分でもびっくりの超裏声だった。どうやら魔法の中にヘリウムガスの効果の魔法があったらしい。なんでそんなのがあるのか甚だ疑問だ。
「お姉様。なんですかこの騒ぎは!」
「かぐや、これは違うの。お姉ちゃんはね、あなたのことを思ってしてあげてるのよ。」
「私のため?馬鹿な事言わないでしっかり考えて!」
そうだ!言ってやれ!俺はなにかされるいわれはない!
「お姉様が高瀬みたいな小物を殺して殺人罪で捕まったらお姉様に損しかないのですよ!」
…その言い方はないんじゃないかな。泣いちゃうよ俺。
「でも!でも!あの男は…!」
「…わからず屋のお姉ちゃんは嫌い。」
その瞬間ロープが切れ、解放された。妹に対して甘すぎるなこの人。
「はぁ、まだこんなバカやってるなんてね。あたしの姉がこんなに残念なんて認めたくない事実だわ。」
「えへへ、それほどでもないよー。」
「褒めてないっ!」
「ナカイインダナー(裏声)」
「どこがっ!ていうかその声腹立つから喋らないで!」
「全くよっ!私とかぐやの聖なる会話を変な声で汚さないでくれる?」
ひどい言われようだ。ていうかこの声の原因って君のせいだよね?
「でも、これからはずっといっしょだからね、かぐやー!」
「ふざけないで!私はもう二度と帰る気は無いわ。」
「…確かに、あなたにとって王宮は居心地は良くないかもしれない。だから私がお父様に頼んで特性の宮殿を作ってあげるわ!」
え、宮殿ってそんな簡単に作れんの?適当だなこの人。
だがかぐやの顔はどんどん沈んでいった。
「…私は、あの男の力なんて…。」
「……、確かに雫さんの件は不憫だと思うけど、過去の話じゃない。」
「…っ!あなたはっ!他人のことだからっ…。」
雫?なにかドロドロとした話の予感がする。こっそり抜け出したいところだが…。
「どうあれ、あなたは王族よ。いつまでも駄々こねてないで帰ってきなさい。」
「…!今更何をっ!」
いよいよ姉妹喧嘩が本格化してきた。逃げようと立ち上がった時、膝が俺を固定していた木材にあたり音が鳴る。2人の意識が俺に割かれた。
「…っ。一般人のところでする話ではないわね。それとも、あなたは聞かされているのかしら?」
「…何をだ?」
「雫さんのことよ。」
「………。」
かぐやは顔を伏せている。俺は聞いていない。ただ、以前感じた、かぐやが王族なのに逃げ出せた理由はここにあるのだろうか。
「ふむ、ま、あんたも今日でかぐやと会えるのは最後なんだし、知らなくていいことよ。」
「…は?最後?」
「かぐやは私と一緒に帰るのよ。今までどれだけ探索の精霊を使ってもジャミングされてたけどやっと掴めたし。」
「な、、」
薄々感じていた。かぐやはたぶん、帰らなければならないのだろうと。かぐや姫は、月へ帰ると相場が決まっている。ただ。
「…嫌だ。帰りたくない。」
涙をこらえて懇願するかぐやは見ていて辛いものだった。
「…それは、認められないな。」
だから、足掻くしかない。なんとかしてかぐやが帰らなくてもいい方法を探す。
「認められない、とはどういう事かしら。」
「そのままだよ。かぐやはうちの店員だ。勝手に持ち出されては困る。」
「…あなた如きが何を言っても痛くも痒くもないのだけれど。」
ま、それはそうだろう。反論を出すにしても俺など聞く必要すらない。となると。ちらとかぐやの顔を伺う。今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめる。卑怯な女だ。そんな顔をされると、無茶するしかないじゃないか。
「霧魔法っ! 」
忍ばせたうちわを振る。うちわから現れたのは視界を奪う濃霧。今のうちにかぐやの手を掴み、駆け出す。
瞬間、猛烈な風を受ける。風によって霧が強制的に晴れていく。
「…バケモノめ。」
追っ手は、最優の魔法使い。相性が悪いにも程がある、が、何としてでも時間はいただく。
「…反抗的な奴。やはり死刑です!」
相手も、完全な戦闘モードに入ったようだ。
ダンボール戦機の新しいゲームが出たみたいですね。やってみたいものです。
これからすこし更新が遅れるかもしれません。
ちょっとネタ切れ気味です…。深く考えず物語を始めたのがすべての間違いでした。反省してます、後悔はしていないですが。