「そんで。お前は一体なんなんだ?」
今朝作ったはずのうちわを作り直しながら、高瀬は目の前にちょこんと座る金の衣をまとう女子高生程の女の子に尋ねる。腰まで伸びたさらさらの黒髪と淡い緑色の目を持つ彼女からはどこか妖精の雰囲気を持っている。
「だから言ってんじゃん。私はかぐや姫。名前ぐらい知ってるでしょ?」
もちろん知っている。だが。
「俺が知っているかぐや姫は竹の中から赤ん坊が出てきたし緑目なんて聞いたことないぞ。」
「赤ん坊で出てきたら成長するのに何年かかんのよ。あと、この目はカラコンよ?」
「そんな…!かぐや姫はもっと清楚でおしとやかな子だと思ってたのに!おしとやかだったのは胸だけだったなんて!」
ヒュカッ!と音を立て俺の頬を何かが飛び去る。見ると壁には深々とカッター(刃出し)が刺さっていた。
「…次は当てるわよ?」
「…はひ。」
こええ。こんなかぐや姫は嫌だっ!
「あんたもしかしてだけどなんか女の子に変な幻想持ってないでしょうね?おっさんじゃあるまいし。」
お前には言われたくねーよ!仕方ないだろ前世でも今世でも付き合ったことねーんだよ!…おい、バカ、これは涙じゃない、竹の切屑が目に入っただけだ!
「しっかし。狭い家ね。もう少しマシな家は立てられないの?まぁうちわ職人なんて仕事じゃお金が入ってこないのは分かるけどさ。」
かぐや姫(自称)は家を見回しこんなことを吐いてくる。
「うるせえな。俺だってそこそこ金はあるんだぞ。このうちわなんてプレミアもので10万で売れてんだぞ。というかというかそもそもなんでうちに来たんだよ?」
そこでかぐや姫は邪悪な笑みをこぼす。
「…だって。あんたは私を匿ってくれそうだから。
パギャッ、と音を立てて握っていたうちわが割れる。
ああっ!おれの10万円!
…じゃなくて。今なんて言った?元日本人?なぜこいつが知っている?
「そんな怖い顔しないでよ。
「おまえも?まさかお前も転生者なのか?」
「ええ。」
驚いた。暗黙のルールとして転生者は1人だと思っていた。でもよく考えればこのすばとかは転生者もいるんだっけか。
「でもなんで俺が日本人だってわかったんだ?誰にも喋った覚えはないぞ。」
「ふふっ。誰かを伝ってきたわけじゃないわ。千里眼を使って調べたのよ。」
「なるほど、千里眼。便利な魔法だ…、ってちょっと待て。さっき家直してたじゃないか。」
この世界では魔法は一種類しか使えない。てっきり時間操作系の魔法だとばかり思っていたが。
かぐや姫はない胸をはり、得意げに口を開く。
「ああ。だって私の魔法はこの目で見た魔法を再現するコピー魔法だからね。」
「コピー魔法!?」
なんだそのチート魔法!それはつまり、NARUTOの写輪眼とか黒バスの黄瀬の能力とかか!かっこよすぎだろ!俺なんてNARUTO要素はうちわってことだけだぞ!しかもあっちはうちはだし!
「あんたの能力は?」
それ聞くのかよ。なんなの強者の余裕なの?
「…うちわ魔法…。」
超小声で言ったのだが奴さんにはしっかり聞こえたらしく。
呆然(5秒間)➡顔が歪む(7秒後)➡爆笑(10秒後)
と、きちんと段階を踏んできっちり笑われた。
「うちわ職人なんてやってるからまさかとは思ってたけどほんとにうちわ魔法なんてね!そう言えばなんで死んだの?私は交通事故なんだけど。」
なんで俺の急所えぐってくるかなこの女はっ!
「…フグ毒に当たった…。」
先程と同じ工程を辿りまたも吹き出す。
「ハハハッ!ちょ!フグ毒て!笑わせないでよ!」
ほんとに笑わせなくしてやろうかこの女っ!
一通り笑ったあとで再び口を開いた。
「あんたも不運ね。そんな死因でおまけにそんな地味な能力なんて。」
「余計なお世話だ。そんで。お前は今何してんの?コピー魔法なら就職先なんていくらでもあるだろ?」
羨ましい限りである。
「わたし?そもそも働く必要なんてないわ。私王女だもん。」
「は…?」
王女?王女といったか?もしかして王宮で紅茶片手にパンがなければケーキを食べればいいじゃないって言うのが仕事の?(偏見)
なんだその人生勝ち組ルート!
「ふふっ。まぁ私の高貴な血筋がそうさせるのでしょうね。私どうやら王者の気品を持ってるのよ。」
「そんなばかな…!」
同じ転生者なのに…、同じ転生者なのに…!(大事な事なので2回言いました。)
ふてくされて作業に戻る。
かぐや姫は勝ち誇った顔で勝利のダンス・阿波踊りver.を披露していた。
その日のうちわの出来は酷いものでした。
かぐや姫なんですが容姿は完全作者の趣味です。緑目っ子が好きなんです。悪いか!戦艦少女のニューオリンズとかが好きなんです。一度でいいから現実で緑目っ子に会ってみたいものです(無理)誰か流行らしてほしいものです。
絶対人気など出るわけないと思っていたのですが1話だけでお気に入りに加えてもらったのは初めてでとても興奮しております。感謝!