異世界なのにうちわ職人になりました。   作:柊彩

20 / 21
更新遅れました。
この物語お気に入り数は過去最高なんですけど感想がない…。どの辺が面白くないのか教えて頂けると改善したいのですが…、なかなか上手くいかないものですね。
愚痴るのはこの辺で、本編スタートです。


嵐の夜に。

「よしよし、だいぶうまくなってきたな(パシッ!ヒュッ)」

「えへへー、そうかなー(パシッ、ヒュ)」

「おっ(ポロッ、コロコロ…)」

 

コツン、という軽い音とともに高瀬の靴に軽い球体の何かが当たる。

 

「すまんすまん、取ってくれ。」

 

グローブ(?)を掲げながら、神竜がこちらに手を振っている。そして今まさしく仲むつまじくキャッチボールをしている相手は緑色の長髪をポニーテールにまとめたロリっ子、アリシアだった。なるほど。俺達が戦っていた間にこの神竜様はうちのアリシアとイチャコラしてたのか。

 

ならばお礼をしなければなるまい。ボールを強く握りしめ、大きく振りかぶると、狙いを一点に絞る。狙うは股間。回避されないようストレートではなくフォーク。うなれ俺の腕っ!くらえっ俺の全力投球!勢いよく放たれたフォークボールは神竜の目の前で下方向に曲がり、到達点へと至る。

 

パシィッ!快音が響く。ただそれは神竜の股間からではなく彼の持つグローブから出た音だった。

「悪いなー。」 

そういう彼には全く敵意が感じられない。

 

「ま、負けた…。」

全力の一撃を軽々とあしらわれた。そんな。おれにはアリシアを守れる力がないというのか。自分の無力さと情けなさに膝から倒れこんだ。そして

「邪魔よっ!」

かぐやに蹴られた。

 

~~~~~~~~~~~

 

「おーおーおー、おまえが勝ったのかそうかそうか。ではそなたの願いを許してやる。」

大して面白くなさそうに椅子にもたれ、神竜は話を聞いている。なぜだろう。彼のおかげで生きていられるのだが素直に感謝する気になれない。

 

「神竜様、少しお願いが。」

と、そこで口を開いたのはフッドだった。なんだろう?

「なんだ。まさか勝負をやり直せと言うわけではあるまいな?」 

冗談じゃない。次に戦って勝てる自信などない。

「いえ、そうではなく、今回拘束した男を我々に引き渡してほしいのです。」

 

拘束した男、というのは確か王都から逃げてきた妖精族の男か。

 

「ふむ?別にかまわんが。しかし理由を説明して貰おうか。」

「…我々がこの地に赴いたのはただあなた様の建国記念日を祝いに来ただけではありません。王の命によりこの地に逃げ込んだ盗賊をとらえるため馳せ参じたのです。」

「…何を隠している。」

「は?」

「とぼけるなよ。たかだか一匹の抜け者に王が動くはずなかろう。もう一度だけ問う、何を隠している。」

 

フッドの顔に様々な感情が入り乱れる。おそらく話していいのか悩んでいるのだろう。

 

かれのかわりに口を開いたのは白雪姫だ。

 

「…昨月王都で憲兵隊の一中隊が一夜にして壊滅したのです。犯人は未だ捕まっておらず、我々は全力で追跡しているのです。」

 

中隊が壊滅?そんな話は…

 

「そんなこと聞いたことがないな。」

 

神竜も聞いたことがないらしい。戦争期は終わり、今は平和な時代だ。争いがあれば話題になりそうなものだが。

 

「そうでしょう。この隊の名前は「影」。そもそもこの隊は公にはされていません。影の所属者はみな戦死として扱われた死者で構成されています。王国への反逆者を秘密裏に始末する隊です。」

「その者達の腕は立つのか。」 

「腕利きのみの部隊です。一夜にして壊滅など普通の者のできることではありません。」

「で。殺ったやつは分かっているのか?まさかこの男ではあるまい。」

「影が全滅する前に調査していたのは王、つまり私のお父さんの摂政です。政治の腕は確かでしたが黒い噂の絶えない人で当時影はその男を追っていました。」

「ではその男が犯人なのか。」

「いえ、事件日は公務で宮殿にいたのでその男がやったとは思えないのです。ただ。」

「ただ?」

「事件日の翌日その男を含め王都から二十人ほど抜けているのです。しかもその者達はすべて影の追っていた者達ばかりでした。」

「つまりおまえ達はそれを追ってここまで来たと?」

「ええ。まぁ神竜様のいるこの土地で暴れるとは思えませんがね。」 

それは確かに。こんなところで暴動を起こしても余計な敵を作るだけだ。

「ならば夢見る都市に行くべきではないのか。」

 

夢見る都市。

ここは幻獣種や妖魔種など少数民族の集まった都市で、王国から度重なる遠征を受けるも抵抗を続け、ほんの十数年前に併合されたばかりだ。

王都のように圧倒的な人員を持っているわけでもなく、神竜都市のように絶対的な存在がいるわけでもないその都市がそれでも強国としていれたのはひとえに彼らが大国に焦がれ、その夢をひたすら願い続けたからだ。

少数民族の夢の国(マイノリティ・ランド)。彼らの愛国心はどこよりも強い。

ただ、それゆえに排他的で支配を拒んでいる都市でもある。

 

「明日、私達は王都に帰る途中に立ち寄るつもりです。どうか神竜様もお気をつけください。」

「ふん、誰に向かって言っているのだ。」

 

 

「柏、と言ったかしら?」

 

神竜との対面を済ませた後、俺は白雪姫に呼び止められた。嫌な予感しかしなかったが断れるわけもなく渋々従う。かぐやもついてこようとしたが止められた。ますます持って嫌な予感しかしない。

 

連れてこされたのは彼女の部屋だった。初めての女性の部屋なのにここまでドキドキしないのは何故だろうか。

 

「えと、なんで俺呼び出されてんすかね?お礼参り的な?」

「…そんなに怯えなくていいわ。ただ、少しだけ忠告してあげようと思ってね。」

「忠告?」

 

白雪姫は重々しく首をふる。そこに敵意はなく。少しの沈黙の後、彼女は口を開く。

 

「悪いことは言わない。かぐやから離れなさい。」

「…その話なら、俺の勝ちで無くなったはずだろ?」

「そうね。だからこれは忠告なの。あの子は、かぐやはあなたが触れていいものじゃない。」

「ふん。なんだよそれ。」

今更忠告?そんなもの聞けるはずがない。

「かぐやはね、もともとは魔法を持っていなかったわ。」

「…は?いや、あいつはコピー魔法を…」

「いいえ。あの子には魔法はなかった。少なくとも固有魔法を与えられた時はね。そしてあの子は出来損ないとしてかぐやの存在は秘匿されてきた、と私は聞いていたわ。でも現実は違う。かぐやはコピー魔法という力を持っていた。」

「…、でも、それがどうしたって言うんだ。そんなの、あんたらのお父さんの話だろ。」

「そうかもしれない。でもね。かぐやが王都を抜けた日。それは事件の翌日よ。あなたならこの意味、分かるでしょう?」

苦々しく、白雪姫はかたる。つまり、彼女が言わんとしているのは。

「妹を…疑ってんのかっ!?」

返答はない。ただ、伏せられた目は雄弁に彼女の心を語っていた。

「まだ、決まったわけじゃない。でも、お父様はかぐやにも目をつけている。分かったでしょう?かぐやと関わらない方がいい。私なら上手くやる。だから、私に渡しなさい。」

彼女の目はこちらに縋るようで、そこに嘘はない、ないが。

「悪いができない。」

それでも、渡すつもりは無い。その言葉を聞き、白雪姫は一瞬顔を落とすと、俺から離れる。

「…そう。なら仕方ないわね。幸い、居場所もしれたことだし。」

 

と、そこまで聞き、少しだけ違和感を抱く。

「なぁ。かぐやの居場所を知ったのは昨日なのか?」

「そうよ。それが何か?」

 

おかしい。なら、、ならかぐやと初めてあった時、彼女は一体誰に追われていたのだ?

 

~~~~~~~~~~~~~

 

「はぁ。今日は疲れたわ。フッドと戦うなんてこれ限りにしてほしいものね。」

 

翌日の夜。俺達は炎ゴーレムの手押し車に乗っていた。意外なことに白雪姫は俺たちに神竜都市から柏工房までの帰り道の馬車を手配してくれていた。なぜ炎ゴーレムなどという変なものにしたのかはわからないが、その親切にありがたく甘えておくことにした。

 

「しかし王都も物騒なことになってるんだな。お前知ってたの?」

「いや、私も初耳よ。」

「ふうん?ま、王女の耳に入る話でもないか。」

 

会話の糸が途切れる。静寂とともに、頭が勝手に働き始める。目の前に座るかぐやのことがますます分からなくなってゆく。

 

悶々とした気持ちを心の中で殺してゆく。こいつがどこの誰でも構わない。俺はかぐやを信じると決めたのだ。たとえ。彼女かどんな秘密を隠していようと。

 

気分を紛らわせようと外を見る。だが、神竜都市を出てからというもの、空は鉛色の雲に覆われていた。それは、帰り道ずっと悪くなり続け、途中からは雨が混ざっていた。どうやら雨風になりそうだ。

 

しばらくすると、運転手がこちらにかけて来た。

 

「すみません。この雨で私の炎ジンが動かなくなってしまいまして。少し休ませていただいてよろしいですかね?」

炎ジンってダジャレ?とか思いながら外を見るとたしかに猛烈な雨と風が吹きつけていた。こんな嵐の中では炎など使えない。ただ、ここまで来れば村までは僅かだ。

 

「いいですよここまでで。もうすぐですし。」

「え?ですが代金は既に頂いておりますし。」

「それ払ったの俺じゃないんで別にいいっすよ。」

実際払ったのは白雪姫だ。別に構わない。

「それでいいな、かぐや。」

「まぁ別にいいわ。アリシアもいい?」

「うんっ!」

「うし、じゃあ金はいいから傘あるか?それだけ貰えると助かるんだが。」

「あ、はい!」

渡されたのはプリ○ュアの絵柄の入った傘。可愛いなおい。

 

風に煽られつつも村につく。何故か村に近づくにつれ、風が強くなった気がした。

村は台風被害が大きいようであちこちに突風で飛ばされたであろう瓦礫が散乱していた。だが、それよりも。

 

「…人がいない?」

 

夜に加え、これだけの悪天候なら外に出ているものは少ないだろうがそれにしても人の気配が一切ない。それに、村についてからますます雨足と風が強くなっていた。何かいる。本能的にさとる。

 

その時、ひときわ大きな風が吹き、村の中心部で巨大な竜巻が起こったからと思うと、一瞬で消えた。あれは、自然現象ではありえない。となると、

「…敵 ?」

 

嫌な予感がした。吹き付けてくる雨風は先程より冷たく、身体中から熱を奪っていく。思考が歪み、それでも足を早める 。

「高瀬っ!?」

かぐやの声が後ろから聞こえたが、構わず歩を進めた。

 

そして。

 

 

村の中心部、集会所にそれはあった。

 

先程とはうって変わり、集会所は雲ひとつない満天の星空だ。

ただ、それは周りを取り巻く嵐とは正反対で、不気味さを感じる。ここは、おそらく台風の目。

 

月明かりに照らされるのは赤く変化した地面。そこにあったのは地面に叩きつけられ、原型を止めない死屍累々。数からしてもこの村のほぼ全員とみて間違いなさそうだ。

 

そして。その血溜まりにひとりたつ男の体に一切の汚れはなく。 口には薄笑いを浮かべている。

 

「待っていたよ。柏高瀬クン?」




新章ですね。自分的に好きな都市をこれから書いていくつもりです。名前ぇ…。地名ってなんでこんなに決めにくいんでしょうね。

今更なんですが少しだけ世界観の設定について。
一応王国(名前は決めてない。)と言ってるんですが小さな国の連合体であり、王には王国の他に王都という自分の領地と領民を持っています。イメージとしては江戸幕府とか神聖ローマ帝国ですね。王=徳川将軍、神聖ローマ皇帝です。

それなら帝国じゃねーかばーか。
これ少し悩んだんですけどある学者が曰く、
神聖ローマ帝国は「神聖でも、ローマでもない、そもそも帝国じゃないんじゃね?」らしいんですよね。
じゃあ連合王国にしよう!という安易な発想で王国になりました。
作者の知能指数の低さがうかがえます。

長くなりました。長文読んでいただき感謝です!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。