なかなか文章が出来ずに先延ばしてたら1週間です、時が経つのが早いです。
「…高瀬っ、逃げろっ。」
「っ!村長っ!」
そこにいたのが村長だとわかったのは唯一顔が無事だったからだ。がっちりしていた体の大半は潰され、今や見る影もない。
「あいつは…化け物だ…。みんな一瞬でやられた。お前さんでも勝てる相手じゃ…」
「んー。うるさい爺さんだねぇ。」
ぐじゅ、と音を立てて村長の体が風に押しつぶされた。
「ふう、これでやっと話が出来る。」
男の顔が闇夜に隠れる。
「…話?」
「俺はお前と話に来たんだよ、柏高瀬くん。率直に言おう。俺たちと共に来ないか。」
「…なら、先に聞かせてくれ。」
「ん?なにかな?」
「なんで、この人達を殺した?」
怒りも、憎しみもあったが真っ先に口をついたのはそんな言葉だった。
「なぜ?君は変わったことを聞くのだな。」
月明かりが彼を照らす。そこに映るのは不気味に笑う男の顔。
「俺はただ君のことを聞いただけさ。こいつらが答えてくれなかったんで一人づつ殺したんだがな。」
「そうか。」
「分かってもらえて何より。じゃあ本題に――」
「お前を殺すっ!」
懐にしまったうちわを取り出す。消耗してはいるが対白雪姫用に用意したうちわの残りはまだある。
大きくうちわを振った瞬間、うちわから小さな氷結の数々が飛んでゆく。が。
「ーーおいおい、話をしに来たって言ったのに酷いじゃないか。」
氷結は風の前に砕け散る。ただ、気になったのはそれよりもそれを行った男だ。彼の全身は赤く染まり、大きな口からは鋭い牙をのぞかせる。強靭な四肢と図太い体の猛虎は野生を思わせ、しかし、背中から生えた両翼がそれを否と示す。
「っ、魔獣族…!」
「ほぅ?知られているとは、俺たちの種族も有名になったものだ。」
「知らねーわけないだろ。お前らはこの国1番のお尋ね者だぞ?」
魔獣族。高い戦闘能力に加え、凶暴な性格から現れては街ひとつを壊滅させ、現れる度征伐隊が組織される。
ただ、何より厄介なのは彼らがどこからやってくるのか、全く分からないということだった。
「残念だよ、君なら来てくれると思ったんだけどね。」
「何がっ…!」
「まぁいいさ。来てくれないならここで死んでもらうしかないな。」
風の流れが変わる。彼へと向かう風は強まっていき、
「雷鳴魔法っ!」
電撃とともに風が断ち切られる。
「高瀬、無事っ!?」
電気を体にまとわせるかぐやをその目に捉えると、異形の虎は凶悪な笑みを浮かべる。
「これはこれは珍しい。第2王女様とは。しかも。」
その双眸は彼女の隣に立つ少女、アリシアを見るとさらに笑を深める。
「今はなき四皇族とこんなところで会うことになるとは思いませんでしたよ、アリシアさん。」
「お前、アリシアを…!?」
虎の体が消え、そこには元に戻った男の姿があった。
「…思わぬ収穫だ。俺一人で相手するには忍びないし、今日はこの辺でいいだろう。」
ひょい、と地面を蹴ると、男の体は風に乗り崩れかけた屋根の上に立つ。
「待てっ!逃げるのかっ!」
「事情が変わったのだよ。来るなら来てくれ。君達なら夢見る都市で歓迎するよ。」
暴風が瓦礫をふきあげる。彼の姿は消えていた。
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「これからどうするの、高瀬。」
かぐやの不安そうな声が響く。
「…ここにいても仕方ない。それに、あいつを見逃すわけには行かないしな。」
あの魔獣は夢見る都市で待つと言っていた。なら、たとえ鬼が出ようと蛇がでようと決意は揺るがない。ただ。
「…お前達は正直分からない。このまま神竜都市にいた方が安全だ。」
かぐやとアリシアは一瞬ポカンとした表情を浮かべ、顔を見合わせると笑いだした。
「まさか私たちの心配をしているの?私は王家の人間だしアリシアは竜族よ。あなたに心配されずとも大丈夫よ。」
「そうか。じゃあ3日後、夢見る都市に向かう。それで構わないか。」
「構わないけど、3日間で何するの?」
「こうなった以上柏工房は一時休業だからな。色々準備しなきゃならない。フローラさんに伝えなきゃいけないしな。それに、白雪姫との戦闘でうちわの数が足りない。その事でちょっとシーナに頼みたいこともあるしな。」
「ふぅん、分かったわ。」
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4畳間の作業場から少し離れ、寝室の床をめくるとそこには地下室へと続く階段がある。ランプを持ち、真っ暗の部屋に向かう。
「なに、ここ。」
かぐやとアリシアは不思議そうにこちらを見つめる。
ここには京うちわを始めとした貴重なうちわを収納している。その数約500個が所狭しと並べられ、見るものによっては異様とさえ思えるだろう。
「こいつらは量産できなかったり製造に必要な魔力が多すぎたりと商品化するには問題があるものばっかなんだ。置いていても仕方ないし今回持っていこうと思う。」
「これ全部?さすがに重くない?」
「いや、半分くらいはフローラさんに売るつもりだ。持ち歩くのは特に便利なやつだな。」
地下室内のうちわの性能を確かめ、販売と常備の仕分けをしていく。終わるのに2時間もかかった。アリシアは途中で寝た。かわゆす。
「あれ、これはいいの?ずいぶん汚いけど、使えなくもないわよ?」
かぐやが指さしたのは地下室の奥でホコリをかぶった1本の丸亀うちわだった。
「これは…いいんだ。こいつは失敗作だよ。」
久しぶりに見たがやはり苦笑いしか出てこない。
「ふうん?まぁたしかに高瀬が作ったにしては汚いうちわだしね。」
「…これは俺がこっちに来て初めて作ったうちわなんだ。こっちにはうちわがなかったんでな、思い出しながら作ってた。」
「え、てことは前の世界でもうちわ作ってたの!?偶然ね。」
「俺は作ってないよ、俺の親父と爺ちゃんがうちわ作ってただけだ。」
あの時、じいちゃん達のそばにいながら、俺は何も見ていなかったのだと、自分で作り始めて気づいた。後悔しても仕方の無いことだが。
「じゃあこのうちわは汚いから売れないの?」
「それもあるが…、このうちわは魔法がないんだ。魔法を貰って初めてのだったから調整が上手くいってないのかもしれないしな。」
そこまで言って、かぐやは不思議そうな顔をする。
「そうかしら。このうちわからはとても弱いけど魔力を感じるけどね。」
「う…ん…、なら持っていくか。記念にな。」
「それがいいわね。」
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「…すまない村長、みんな。今はこれしか建てれねえがいつかでっかい墓を立ててやるからな。」
村1番の大ヒノキの元にこんもりとできた山は総勢100人にもみたない小さな村の共同墓地だ。
魔獣の襲来で村は壊滅しており、極わずかな生存者は神竜都市へ避難した。今日をもってこの村は消滅するだろう。
「ひとり立ちしたのがこの場所でよかったと、常々思うよ。いつか、またこの村は蘇る。そうだろ、村長。だからそれまで待っててくれ。」
返事はなく、ただ、顔を吹き抜ける風は嵐の日とは違い心地よく吹き抜けた。
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神竜都市へ出向くとまず向かったのはフローラ運送会社。伝書はしっかり伝わっていたようでフローラさんは真っ昼間から酒を飲んでおり、事務所はワインの匂いが鼻をつく。かぐやが匂いに顔をしかめていた。
「きやがったわねこの裏切り者。」
「ちょっとフローラさん、飲みすぎですよ。」
「うっさいわね!どうせあたしはいつも捨てられる女よっ!トミーとおんなじよ!どこへなりともいってらっひゃい!」
「フローラさん!アリシアもいるんで大人の話はやめてくださいっ!てか誰ですかトミーって!」
「
…………ふん、分かってるわよ。あんたの村も大変だったみたいだしね。しかし、魔獣がなんであんな辺境にでたのか。これまでは王都周辺にしか現れなかったのにね。」
「さぁ。それはなんとも。あ、これはささやかですけど最後のうちわです。今まで出したことの無いものもあるんで確認してください。」
背負ったリュックをおろすと鈍い音がした。
「…残念だけど、今お金ないのよ。最高級ワインでシャンパンタワーした所で。」
「大丈夫ですよ、俺のローンフローラさんに行くようにしてんで!」
「…は?」
「じゃっ、あとのことはお願いしますっ!」
「ちょ、待ちなさい高瀬っ!」
フローラさんが何か言う前に店を飛び出る。あぶないあぶない。
「…これだけの新作出してきて、借金なんて残るわけないじゃない。」
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次に向かったのはシーナ発明所。
その所長である金髪の少女はすぐに見つかった。 彼女は俺を見つけるとルンバみたいな円形の機械に乗った状態で近づいてくる。何をやっているんだ。
「…それは?」
「む、これは全自動掃除機だな。」
ルンバだった。それ乗り物じゃないけどね?と、そんなことを言ってる場合じゃない。
「…シーナ、頼んでたの、出来てるか?」
「もちろんだ。だが、苦労した。ほかの発明品は全て後回しにさせられたぞ。」
彼女が取り出したのはいくつかの鉄の部品。これらを加工する技術は持っていないのでありがたい。
「悪かったな、無理頼んじゃって。」
「かまわん、お前の頼みだしな。これは我からの餞別だ。」
「シーナ…。」
「じゃあ120万な。」
「金取るのかよ。」
「冗談だ。ただ、返礼は頂く。」
「返礼?」
ぐい、と服を引っ張られ、体勢を崩した時、頬に温かく、柔らかなものが触れる。これってもしかして…。
シーナは顔を背けていたが、その首筋は赤く染まっていた。
「返礼は必ず頂く。この我との契約だ。破った時には地獄の底まで後悔させてやる。」
「…約束だ。必ず返す。」
「………うん。」
こちらをむく顔は輝かしい程の笑みで。
「…ロリコン…。」
かぐやの声とは正反対だった。
次からは新キャラを出していきたいです。
候補
☆高飛車なえせお嬢様
☆ボクっ娘
☆モンスター(な)ハンター娘
☆妖精魔女
☆スライム系女子
よりどりみどりです。どれがいいでしょうか。
…なんか性癖が丸出しな気がします。
てなわけで次の更新もだいぶ遅れると思います。ごめんなさい!