アリシアは天才だった。
アリシアというのはあのロリゴンの名前である。
彼女の魔法、確か受諾魔法、で俺の魔力をあげればうちわ魔法が使えるようになり、『貼り』の工程の一部を任せた。もちろんうちわ作りではまだまだだったが、彼女が才能を見せたのは魔法構築、つまりうちわに魔法を埋めこむ作業だ。
うちわ作りと魔法構築、このふたつをきっちりこなして初めて魔法のうちわになるのだが彼女が魔法構築をすぐにやって見せたので俺は手直しする時うちわ作りの作業だけでよかった。
ここ数日のうちに、しっかりコツが掴めたらしい。まぁ毎日同じことしてたら当然かもしれないが、目に見えない魔法操作はかなりセンスに頼る面があり、教えるのに自信がなかったから助かった。
…それにしてもこんな幼女にうちわ作りなんて渋いものを…、幼女に…、いや…これはこれで…。
「ふぅん?そこそこさまになってるじゃない?ねぇ、ロリコン。」
「こはっ!?か、かぐや!?」
「あんたが非行に走らないか本気で心配になってきたわ。」
かぐやは機嫌はあまりよろしくはなかったがそんな時は村の特選水ようかんや極上プリンを買ってくれば機嫌を直してくれた。ちょろいぞこいつ。
「それより、お前ここんとこ部屋にずっといるが何してんだよ?」
来た最初の頃は色々うろちょろしてたりしてたのだが最近はご飯を作る以外は基本部屋に閉じこもっていた。
「えと、ネットサーフィンよ。」
「…この村にWi-fiなんて飛んでると思うか?」
「…………。」
「…………。」
「待ちなさい?なんで黙って私の部屋に向かっているのかしら?」
「家主として部屋で怪しいことされてたらたまらん。」
なんか爆発物ありそうだし。
かぐやが必死で押しとどめようとしていたがますます怪しい。
バァン、と勢いよく扉を開いた。まず目に付いたのはピンク色に魔改造された俺のかつての部屋。うーん。かつての思い出は…あれ?なくね?
そして。床に散らばっていたのは…
「うちわ…?」
木とりを終えた竹の棒、そして作りかけのうちわだった。ひどく不格好で歪んだそれらからは、けれど確かに努力が見られた。
…うちわを作っていたのか。意図は分かりかねるが先程のも照れ隠しか。不覚にも可愛いと思ってしまった。
「見たわね?じゃあ消えてもらおうか。」
そして背中に冷たい感触。え?包丁じゃないっすか。やだもー、そんなもの人に向けるものじゃ…、向ける…
「どわぁ!?」
「どうして距離をとるのかしら?」
「命を危険を感じたからだよ!?でもなんでうちわなんて作ってんのさ?」
「…っ。それはあれよ。あんたの知識とか技術とか盗もうかとね。」
「企業スパイ!?」
「…でもこの竹固くないか?ちゃんと水かししてんの?」
「水かし?なにそれ?」
ダメだこの企業スパイ。
「はぁ。ちゃんと教えてやるからこっちに来い。」
「えっ、ちょ、引っ張んないでよ。」
「アイリス、そこ、ちょっと気泡が入ってるわよ?貸してみなさい。」
「わぁ、お母さんすごい!」
『貼り』でのうちわ作りはかぐや、魔法構築はアイリス担当になりました。え、君たち仲良くなるの早くない?あとかぐやも作業になれるの早くない?なんなのうちわ3000年(適当)の歴史なめてんの?
そして、無事、俺の居場所が消えました。
まぁ六畳間なんだから仕方ないよね?ね?(小声)
今回ちょっと少ないですね。
うーん。貼りの作業出そうかとも思いましたがもっさりしそうで。
しばらくは日常系で行こうかと思います。