清滝一門の長男   作:Rokubu0213

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突撃!竜王のお宅訪問

訳あって寝不足の俺はまだ寝ぼけた状態で、布団から抜け出しケータイを確認する。

 

 

八一からメール来てる。

 

 

ーーー

兄弟子盤王防衛おめでとうございます!

 

それで今日、お祝いしたいんで明日の朝10時に兄弟子の部屋行きますね。

 

あと、兄弟子に会ってもらいたい人もいます。

 

ーーー

 

時計を確認すると既に午前10時。

 

 

 

 

「兄弟子、入ってもいいですか?」

 

ヤバイヤバイヤバイ、八一はまだ銀子が俺の家で生活していることを知らないはず。

もし銀子が俺の家で生活していることを知ったら・・・八一は俺を軽蔑するだろう。

それは絶対ダメだ、俺は何としても兄としての威厳を保たなければならない。

 

 

「悪い八一、少し待ってくれ。」

「どうかしたんですか兄弟子?」

「何というか今動けない状況にいるというか何というか・・・」

「動けない、アッもしかして兄弟子昨日の盤王戦で疲れて倒れてるんですか!?今すぐ助けに行きますね。」

 

 

八一が合鍵を使って鍵を開けようとする。俺は必死にドアを抑える。

 

 

「大丈夫だから八一!だから一旦帰ってくれ、準備ができたら呼ぶから!」

「兄弟子さっきから様子が変ですよ。!?もしかして昨日の対局に疲れて幻覚を見てるんですか!?今すぐ助けないと。」

 

 

ぜんっぜん読み間違えてるから八一!?何一つ合ってないから八一!?

 

 

俺と八一がドアを挟んで一進一退にの攻防を続けていると、その騒動で目を覚ました銀子が和室から出てくる。

 

 

「何を騒がしくしてるの。」

 

 

起きちゃった。

銀子の登場に動揺した俺はついにドアはこじ開けられ八一とに真っ黒の服に身を包んだ見知らぬ幼女が部屋に入ってきた。

 

 

「姉弟子!?」

「あなたの一門はみんな家に女連れ込んでるの!?」

「違うからぁぁぁぁ。」

 

 

俺は全力で弁明を開始した。

 

 

✳︎

 

 

「つまり、姉弟子は棋力を向上させるために兄弟子の家で勉強しているんですね。」

「そ、そうだなそういうことになる。」

 

 

銀子のために本当の理由は伏せてある。

 

 

「はぁ、中盤の鬼なんて言うからどんな凄い奴なのかと思ったらまさか中学生を家に連れ込む性犯罪者だとは思わなかったわ。」

 

 

この子には全く誤解が解けてないんだが・・・というかこの子誰!?

 

 

「兄弟子!紹介し忘れたんだけど俺の新しい弟子の夜叉神天衣9歳です。」

 

 

目の前の新しい八一の弟子と八一を交互に見ながら俺は弟を信じるために聞かなければならないことを聞く。

 

 

「本当にロリコンじゃないんだな?」

「違いますよ!?」

 

 

 

俺と八一がやり取りしている横で、別の戦いが勃発している。

 

 

「ふんっ、あなたが女王の空銀子ね。まぁ見てなさい、私が女流棋士になったらあなたのタイトルなんてすぐに全部奪ってあげるわ。」

「だまれ小童。」

 

 

夜叉神天衣とかいう子、銀子をいきなり煽りやがった!

一応平静を装ってわいるけど、背後から立ち上る黒いオーラがドンドン増してきている。

 

 

「あ、そ、そうだ兄弟子!いきなりで悪いんだけど、天衣に指導対局を1局さしてくれません?」

 

 

八一も危険な雰囲気を感じ取って銀子と天衣ちゃんを引き離そうとする。

 

 

「ん、いいぞ!そうだな今すぐやろう。やろう!」

 

 

急いで将棋盤を持って来る。

 

 

「八一が私をここに連れてきた理由はこれ?私は別に八一との対局だけで十分なんだけれど・・・」

 

 

天衣ちゃんは八一の方をちらりと見る。

 

 

「強くなる為には、色んな人と指すのが一番の近道だぞ。」

「言われなくてもわかってるわよ。バカッ!!」

 

 

これがツンデレというやつか!

そうやって思い返して見ると、天衣ちゃんの今までの言動が全て可愛く見えてきた。

 

 

「何をニヤニヤしてるの気持ち悪い、早く指導対局してよ。」

 

 

明らかに俺を挑発して来る。こういう生意気な子供は嫌いじゃない。

 

 

「わかったじゃあ、4枚落ちでやろう。」

「ふんっ、ハンデをつけすぎたって後悔しないことね。」

 

 

駒を並べようとすると、銀子が俺の肩を掴む。

 

 

「ど、どうした銀子・・・?」

 

 

嫌な予感しかしない。

 

 

「どいて兄弟子、そいつ殺せない。」

「・・・」

 

数々の俺に対する無礼に俺ではなく銀子がキレた。

 

銀子がヤンデレのテンプレみたいな発言してる・・・

殺すっていうのは、天衣ちゃんの玉を殺すって意味だよね?・・・そうだよね!?

 

 

「ま、まずは俺が指導対局するから銀子は八一とでも指しといてよ。」

 

 

銀子と天衣ちゃんを対局させるのは色んな意味で危険だと判断した俺は急いで駒を並べて対局を開始する。

 

 

対局は中盤戦で既に盛り返せないほどに差がついた。

可哀想だが、天衣ちゃんの陣内に飛車を打ち込み、玉を詰ましにいく。

天衣ちゃんの手が止まった。

確かに定石はしっかり頭に入っているが、それ以上のものは感じられない、あいちゃんほどの才能はないのかな。

 

 

刹那天衣ちゃんの雰囲気が一変する。

 

 

「・・・ま・・・だっ、私は戦えるっ!!」

力強く、持ち駒を自陣に打ち付け徹底抗戦の構えを見せる。

 

 

「ほぉ、いい目をしている。」

 

 

一心不乱に見つめる天衣の目は美しく輝いている。それを見て俺の心も熱くなる。

 

 

✳︎

 

 

「グスッ何なのよあんた、人畜無害みたいな顔して、どんだけ私をいじめたら気が済むのよ!!」

投了後、天衣ちゃんはボロボロと涙を流しながら盤上の駒をぐしゃりと潰し、夜叉のような視線で俺を睨みつける。

 

 

--結論から言うと俺の勝利ーー

 

 

ただ天衣ちゃんは、俺の予想よりも力強い受けをした。なるほど八一が認めただけはある。彼女ならあいちゃんのライバルもしっかり務まるだろう。

 

おそらく八一はあいちゃんのライバルを作ってあげる目的で天衣ちゃんを弟子にとったのだと思う。

 

棋士にとってライバルとは非常に大切な存在だ、ライバルがいるからこそ棋士はどこまでも強くなれる。

 

あの名人にもライバルがいたように・・・

 

 

「ごめんよ、天衣ちゃん別に悪気があったわけじゃなくて俺もつい熱くなっちゃって。」

「もういいうるさい!もう騙されないわ、あなたは人狼ね!!怖いから近づかないで。」

 

 

なんかすごい嫌われた・・・

 

 

「すいません、兄弟子、悔しいから八つ当たりしてるだけなんです。」

「いや別に気にしてないからいいんだけど、やりすぎちゃったかな?」

「あれぐらいでちょうどいいのよ。」

 

 

銀子が満足そうに言う。

天衣ちゃんごめんね・・・。

 

 

「ところで八一、お前これあいちゃんに言ったのか?」

「それがまだなんです・・・」

「・・・」

 

 

これは絶対一騒動あるぞ。

 




あいと天衣の一騒動は、偉大なる原作2巻や今絶賛放送中のアニメ『りゅうおうのおしごと』でご確認ください。
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