清滝一門の長男   作:Rokubu0213

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この話を書いてわかったこと……

俺はラブコメを書くのが絶望的に下手だった(泣)


バレンタイン特別編
【バレンタイン特別編1】何気ない日常


昨日の公式戦は白熱して夜中の1時まで続いた。

 

 

フラフラで家に帰って風呂にも入らず死ぬように眠りについた。

 

 

寝ぼけ眼で時計を確認すると時刻は午後1時。

幾ら昨日が遅かったとはいえ寝すぎたか。

 

寝たい気持ちを無理やり抑え込んで布団から這い出てくる。

 

 

布団から出て居間のドアを開けようとする。

 

 

「おはよ……」

「まだ入らないで!」

「えっ!?」

 

 

銀子がドアを押さえつけてくる。

 

 

「なんで?」

「いいからまだ入らないで、昨日風呂入ってないでしょ。まずは風呂入って来て。」

「えー、まぁいいけど……」

 

 

何か腑に落ちないけどこう言う時の銀子は絶対に譲らないと知っているので素直に風呂に行く。

 

 

✳︎

 

 

「もう入っていいか?」

「うん。どうぞ。」

 

 

風呂から入ってきて銀子からのお許しを得て俺は居間に入った。

 

 

・・・ぱっと見おかしいところはないなぁ。

 

 

俺が風呂に入っている間、居間ではカランコロンと激しく物音が鳴っていたが銀子は何をしていたんだろう……

 

 

俺が遅めの昼ご飯を食べ始めると銀子は部屋着から外出用の服へと着替えていた。

 

 

将棋にしか興味がないと思っていたが意外と銀子の私服はセンスがいい。

 

 

まぁ、本人が人類最強レベルで可愛いので何を着ても似合うのだが。

 

 

「どこか行くのか?」

「うん。ちょっと買い物。」

「そうか。遅くなる前に帰ってこいよ。」

「うん。」

 

 

✳︎

 

 

ーーーピンポーンーーー

 

 

銀子が買い物に行き一人でまたウトウトしだしていると突然インターホンが鳴った。

 

 

「はーい。」

 

 

ドアを開けるとそこには八一がいた。

 

 

「どうしたん八一?」

「それがJS研のみんなが兄弟子にどうしても会いたいって言うんで、止めたんですけど聞かなくて……」

「いいよ。どうせ暇だったし。」

 

 

俺と八一が話しているとドタドタとJS達が俺の家へと入って行く。

 

 

「あらあらみんな。勝手に入っちゃダメよ。」

「あれ、桂香さんもいるの?」

「八一くんの部屋に行ったらたまたまみんな勇気くんの部屋に行くところだったのよ。」

 

 

桂香さんの目が泳いでいる。

長年の勝負師の勘が俺に告げる怪しいと。

 

 

「ほ、本当にたまたまなんですよね……?」

「そうよ。そうなのよ。たまたま、たまたま。」

 

 

怪しい。

いつまでも玄関で話しているわけにもいかないので部屋へ通した。

 

 

居間に行くとJS達が話しかけてくる。

 

 

「山橋先生お久しぶりです!」

「うん。久しぶりだね、澪ちゃんだったよね。」

「私の名前覚えてくれてたんですね!?嬉しいです!」

 

 

澪ちゃんは両手を振り回して喜んでいる。

澪ちゃんは今日も元気いっぱいだなぁ。

 

 

「こんちちわ、ちぇんちぇー。」

 

 

シャルちゃんは挨拶もそこそこに俺の足にしがみついてくる。

ここが余程気に入ったみたいだ。

目の前の天使を見ていると自然と頬が緩んで頭を撫でてしまう。

 

 

「ウフフゥ〜」

 

 

シャルちゃんも嬉しそうに笑うのでずっと撫でていたくなる。

シャルちゃんは今日も可愛いなぁ。

 

 

「お久しぶりです。貞任綾乃です。」

「綾乃ちゃんもこんにちわ。」

「先日は姉弟子のデートに付き合っていただきありがとうございましたです。」

「「!?」」

 

 

八一と桂香さんが一斉に俺の顔を見る。

 

 

「兄弟子、万智さんとデートしたんですか!?そういう仲だったんですか!?」

「い、いや俺たちは決して八一の思っているような関係じゃなくて、あれも普通のデートじゃなくて……」

「デートはしたのね?」

「は、はい。」

 

 

桂香さんからいつもの優しい雰囲気が消え去ってなんか怒ってる時の銀子みたいなオーラ出てるんだけど……

 

 

「おじさん、こんにちは。」

「あ、あいちゃん!こんにちは。最近将棋の調子はどう?」

 

 

あいちゃんが話しかけてきてくれたので無理やり話題をすり替える。

 

 

「おじさんはあの記者さんと恋人なんですか!?」

「だから違うって!」

 

 

なんでこんなに俺と万智さんの仲を疑うんだよ。

 

 

「ふんっ。あなたが誰と付き合おうが私には関係ないわ。もう帰りたいからこれだけあげとくわ。」

 

 

天衣ちゃんはそう言うと俺に高級感のある黒い箱を渡してくれた。

 

 

「あ、ありがとう。……これ何?」

「な、何って!?……ちょ、チョコレートよっ!!言わせないでよ!」

「チョコレート?……あっ!?今日バレンタインかよ!?」

 

 

急いで携帯で日付を確認する。

2月14日、確かにバレンタインだった。

 

 

昨日の対局で頭いっぱいで完全に忘れてた。

 

 

「ありがとう。めっちゃ嬉しいよ。今年は一個ももらえないと思ってたよ。」

「あんた私のが最初なの!?……ふんっ、感謝しなさい!!」

 

 

哀れみの目で見るの止めて!!

 

 

「あ〜天ちゃん!勝手に先に渡しちゃダメだよ!!」

「そうです。一緒に渡す約束だったです。」

「シャルもわちゃすの〜」

「おじさん私もあります!」

 

 

そう言うとJS達は一斉にチョコレートを俺に渡してくる。

みんなからチョコレートを貰うのは嬉しくないわけはないんだけど……なんだろうこの背徳感は。

 

 

「みんな、ありがとうね。感謝して食べるよ。」

 

 

その後はみんなと雑談をしてあっという間に時間が過ぎていってしまった。

 

 

「もう、結構暗くなってきたからみんな帰ろうか。」

 

 

八一が提案する。

意外と八一はしっかり保護者してるみたいだなぁ。

 

 

「そうだね。またいつでも来ていいから今日は帰ろうか。」

「「「「はーい。」」」」

 

 

JS達はせっせと帰り支度を始める。

 

 

「なんだかんだで、最後までいてくれたんだな。」

 

 

ゴスロリ服のJSに話しかける。

 

 

「なっ!?、別に晶が来ないから待ってただけよ。」

「でも、池田さんなら呼んだらすぐ来そうな……」

「う、うっさい。黙れ!!!」

 

 

そう言うと天衣ちゃんは俺の足にローキックを入れてきた。

まぁ何度も言うようだけど全然痛くない、むしろカワイイ。

 

 

JS達はワイワイしながら俺の部屋から去って行った。

JS達がいなくなると急に静かになってなんか寂しいなぁ。

 

 

「なにぼーっとしてるの?」

 

 

肩をツンツンと叩かれる。

 

 

「あれ?桂香さん一緒に帰ったんじゃないの?」

「勇気くんに渡さなきゃいけないものあるから。」

「え?まさか桂香さんも……」

「いやチョコレートじゃないけど。」

 

 

ですよねー

ちょっと期待した自分が恥ずかしい……

 

 

「そ、そうだよね……」

「はい。どうぞ。」

 

 

桂香さんは赤い包装紙に包まれた箱を渡してくれた。

 

 

「チョコレートじゃなくてチョコレートケーキをあげるね。」

 

 

桂香さんはイタズラっぽい笑みを浮かべている。

 

 

「俺で遊ばないでよ……」

「手作りだから、あんまり自信はないんだけど……」

 

 

桂香さんは俯いて恥ずかしそうに笑う。

その姿に見惚れてしまう。

 

 

「義理じゃないからね。」

 

 

桂香さんは俯いたまま顔を真っ赤にして言った。

 

 

「えっ!?」

 

 

これって告白というやつか!?

 

 

「お礼チョコ。いつも将棋教えてもらってるお礼のチョコだよ。」

「う、うん。そうだよね。うれしいなー。」

 

 

気付くといつものイタズラっぽい笑顔に戻っていた。

 

 

✳︎

 

 

桂香さんも帰って再び部屋には俺一人。

 

 

そういえば銀子からチョコもらってないなぁ。

銀子からしてみたら俺は兄なんだし、俺にチョコあげる義理なんか全くないなら仕方ないんだけど……やっぱり欲しい。

 

 

モヤモヤする気持ちを振り払うように台所に向かって夕食の準備を始める。

 

 

流し台の方を見ると無造作に置かれた紙袋が一つ目に入った。

さすがの俺でもこれが何かは容易に想像ができた。

 

 

「ただいま。」

 

 

最悪のタイミングで銀子が帰ってきた。

 

 

「あっ......」

 

 

銀子は俺と紙袋を交互に見て恥ずかしそうに俯いた。

何かフォローしないと。

 

 

「お、お帰り。結構遅かったな。何買ってたんだ?」

「え!?それは......」

 

 

銀子は焦って持っていた紙袋を後ろに隠す。

 

 

「「......」」

 

 

気まずい沈黙が続く。

 

 

「い、今からご飯作るからちょっと待っててな。」

 

 

そそくさと準備を始める。

冷蔵庫から野菜を取り出して、まな板も取り出す。

明らかに挙動不審に台所にやってくる。

 

 

「ど、どうした?」

 

 

俺が聞くよりも早く、一瞬の早業で台所の紙袋を銀子が持ってた紙袋とすり替えた。

 

 

「これ......あげるから。」

 

 

銀子はそう言うと和室に戻って行ってしまった。

 

 

料理する手を止めて、その紙袋に見る。

中を確認するとやっぱりチョコレートだった。しかもデパートで売ってる高いやつ。

 

 

「多分もうひとつの紙袋もチョコだよな......」

 

 

料理を再開する。今日のメニューは味噌野菜ラーメン。

麺を湯掻きながら今日一日の銀子の行動をおさらいする。

麺が湯掻きあがると同時に俺が出した結論はは至極単純なものだった。

 

 

✳︎

 

 

銀子とラーメンを食べ終わった後なんとなく気まずい雰囲気が漂う。

 

 

「なぁ、銀子。」

「なに?」

「チョコレートありがとうね。」

「ああそれ。いいわよ。......住まわしてもらってるお礼だから。」

 

 

ここまではOKだな。

俺は次の話題へと繋ぐ。

 

 

「ついでにもう一つの紙袋も欲しいなぁっと思ってるんだけど......」

「い、いや......それはダメ。」

「いやね別に中身に興味がるんじゃなくて紙袋いいなと思ってね。」

 

 

さすがに無理があるか......?

 

 

「......あれスーパーの紙袋だけど。」

 

 

さすがに無理があったか......

 

 

「酷い出来よ……」

「え?」

「だから失敗したの!」

 

 

銀子が今日一盤大きな声を出した。

 

 

「別に出来なんてどうでもいいよ。銀子が作ってくれたってことが嬉しいんだよ。」

「……ホントにいいの?」

「うん。」

「チョコレートに見えないよ。」

「どんな物でもいいよ。」

 

 

銀子はゆっくりと和室に戻り紙袋を持ってきた。

 

 

「ほ、ホントに酷いからね!」

「わかったって。」

 

 

紙袋を開けて中を見る。

チョコートなんだが……なんだが……アメーバみたいな……

 

 

でも銀子の手作りってだけで凄く嬉しい。

 

 

「食べて見るね。」

「う、うん。」

 

 

チョコートを口に運ぶ。

味は……普通に美味しかった!

 

 

「美味しいよ!これ!」

「ホントに!?嘘!?」

 

 

銀子が昔のようにニッコリと笑った。

 

 

「食べてみろよ。めっちゃ美味いぞ!」

「ほ、ホントだ……」

 

 

チョコートは作った本人も驚く会心の出来だった。

 

今年のバレンタインは恋とは全く無縁だったがこういうのもいいなぁと思った。

 

 




原作4巻の話を今書いているんですけど話が広がり過ぎて上手く畳めるか心配です。
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