東京遠征3日目、今日の俺の予定は・・・
銀子とのデートである。
デートって言っても銀子が行きたいスイーツの店を回るだけなんだけどね。
「今日はどれくらい行く予定なんだ?」
「ここに書いてあるところ全部。」
銀子は俺にケータイを見してくる。
ケータイの画面には店の名前がズラリと並んでいる。
「これ、全部か!?」
「うん。」
「ホントに大丈夫か……?」
銀子は俺の手を握って歩き出す。
「お、おい銀子危ないぞ。」
「今日は私のものだから……」
✳︎
昼の3時を過ぎるまでに既に10軒制覇。
「もう俺これ以上食べられ……ない。」
「まだ行く。」
「えー!?」
銀子は昔から一度決めたことは絶対に辞めない奴だから絶対に許してくれない。
これはもうスイーツ拷問だ!
銀子に引っ張られながら次の店へと連れていかれそうなる。
「あ、あそこにいるの桂香さんじゃないか?」
地獄へと引きずり込まれる途中に救世主を見た気分だ。
「あっ!銀子ちゃん、勇気くん。」
桂香さんも俺たちに気づいてやって来る。
「どうして一人なの、桂香さん?確か今日はあいちゃんの友達の東京観光の付き添いだったはずだよね?」
「そうだったんだけど……、あいちゃんがね、八一君のところに行くって……」
「八一のとこって今日はあいつ、棋帝戦の解説だろ。」
「そうなんだけど……」
「今日は独り占めできと思ったのに……」
心配になってスマホでニコ生を見る。
そこには……
八一にキスするシャルちゃんの姿がアップで映っていた。
「あいつ何やってんの!?」
「八一君まさか本当に……」
「ロリ王」
みんな程度は違えど八一の状況に驚いている。
銀子よ、驚くのはいいんだが俺の足をガシガシと踏み続けるのやめてくんない!?
「女はべらして楽しそうだな盤王。」
驚きで固まっている俺たちの前にゴツいバイクが止まった。
見覚えのある赤髪の女性が話しかけて来た。
「月夜見坂女流王将!?」
女流タイトルホルダーにいきなり遭遇して桂香さんは驚く。
「なんで燎がこんなとこにいるんだよ。」
「まぁ、東京在住なわけだし会ってもおかしくわないだろ。」
「また増えた……」
「いやー、にしても間近で見ると一層でかい乳してるなー」
燎が桂香さんに詰め寄ってくる。
「え!?え、えっ?」
桂香さんは怯えるように後退りしていく。
桂香さんを庇うようにすかさず燎と桂香さんの間に割って入る。
「昨日からなんでお前そんなに桂香さんのことで俺に絡んで来るんだよ?」
「私はお前のこと考えて手引いてやったのによ。なんでもねーよ、面白いからだ。」
この時俺は何となく桂香さんと燎はこれ以上一緒に居てはイケナイないように思った。
俺の直感が警鐘を鳴らしている。
「始めまして月夜見坂女流王将。」
さっきまで俺の後ろで怯えていた桂香さんが、俺の押しのけて前に出てきた。
「清滝桂香と言います。勇気くんの
なんか弟子の部分を妙に強調してるんだけど……
というかそもそも俺は桂香さんの師匠じゃないんだけど!?
燎は桂香さんの顔をジッと見ると不敵に笑った。
「あんたの昨日の将棋は良かった。俺好みだった。」
「え!?あ、ありがとうございます。」
予想外のお褒めの言葉に桂香さんが動揺している。
「だかな!あの程度の将棋なら私も指せる。」
「!?」
桂香さんの顔から戸惑いが消える。
いくら女流王将相手だとは言っても自分の将棋を否定されたらカチンと来るだろう。
「今のは訂正して。」
その言葉にキレたのは桂香さんではなく、銀子だった。
銀子が怒って燎に詰め寄る。
「悪い。悪い。別にあんたの将棋を否定したかったわけじゃない。あのタイプの将棋は私も指せるってことだよ。」
「「?」」
銀子も桂香さんも言っている意味がわからず首をかしげている。
「やっぱり、あの事二人に言ってないな?」
銀子と桂香さんが話を振られた俺に顔を向ける。
「……」
俺は黙ったままでいる。
「なら私が教えてやろう。俺は昔、勇気に将棋を教えてもらっていた。」
「「!?」」
全く予想外の告白に銀子と桂香さんは固まっている。
俺と燎の関係はおそらく俺ら二人しか知らない。
八一も師匠ももちろん知らない。
というか八一には絶対知られちゃいけないのだが。
「本当なの、勇気くん?」
「あー、本当だね。」
「いつから?」
銀子がメチャメチャ不機嫌になってる……
「うーんと、俺と燎が小5の時、小学生名人戦の後。」
そうして俺は過去の記憶を思い起こす。
アニメのおかげでモチベーションアップしました。