清滝一門の長男   作:Rokubu0213

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手違いで少し加筆しました。

申し訳ございません。


4月
八一の恩返し


ー俺が盤王になってから2年後に、八一は竜王になったー

 

今日は八一が師匠に恩返しをする日、将棋の世界でいう恩返しとは弟子が師匠に勝つことである。そして八一の兄弟子である俺は今、八一の姉弟子の銀子とともに八一の恩返しを見守っている。

 

「穴熊か、八一勝ちに来たな。」

「焦ってるから、八一。」

「確かになー。」

 

 

八一は竜王になってから現在まで公式戦11連敗中なのである。ネットでは八一のことをクズ竜王というアンチまでいるほどである。

 

 

「清滝一門の他の2人が人気すぎるのが問題なのかもね。浪速の白雪姫さん。」

 

 

俺は悪戯っぽく銀子に言う。

銀子は不敵に笑うと一枚の写真、俺がプロ入りした時の将棋次元の写真を見せて来た。

 

 

ギャアアアア俺の黒歴史。

 

 

「いつまで、その写真で馬鹿にするつもりなんだよ。銀子!!」

「兄弟子が死ぬまでよ。」

「俺、老人になってこの写真見たら恥ずかしさのあまり死ぬ自信あるぞ・・・」

 

 

ホント俺をいじめる為だけにあの写真をずっと持ってるってどんだけドSなんだよ・・・。

 

 

 

俺がプロ棋士になった直後は俺もプロの世界で生き残ることに必死でひたすら将棋に打ち込んでいたからあまり八一や銀子に会えなかったが、最近は少し俺も心に余裕ができて八一や銀子と会える時間も増えてきた。

 

俺が盤王になってから2年の間に八一はプロ棋士、銀子は女流棋士へと成長し二人ともタイトルを獲得するほどに強くなった。

 

しかし二人とも現在大きな壁にぶち当たっている。

 

八一は竜王らしい将棋にとらわれて、自分の将棋を見失っている。しかし、八一の才能が将棋の歴史上でも類を見ないものだというのは疑いがないし、八一なら自力でも復活するだろうと思う。

 

銀子は奨励会に入会し現在2段。女流では敵なしの銀子も男子しかいない奨励会では、必ずしも勝てるわけではない。むしろ、銀子の才能の限界が近づいてきていることに俺は気付いている。銀子は頭のいい子だ、おそらく才能の限界にも彼女は既に気付いているのだろう。才能の違いに立ち向かわなければならない苦しさは俺も痛いほどわかる・・・。だからこそ銀子が心配だ。

 

 

「応援してるぞ・・・」

 

 

無意識に声が出てしまった。

 

「!?な、なにが?」

 

 

銀子は一瞬驚いたがすぐに無愛想な表情に戻る。

俺も意識的に重い雰囲気を壊すように話題を変える。

 

「銀子はもうちょっと兄弟子に対する敬意が欲しいものだなぁ。昔みたいにお兄ちゃんって呼んでくれてもいいんだよ。」

「ぶちころすぞわれ」

 

 

銀子は顔を真っ赤にして怒る。

今はまだ、この話をするべき時ではない。本当に銀子が助けが必要になるまでは見守っておこう。

 

そうこうしているうちに対局は終わり八一が勝った。

 

 

ーーー師匠はおもむろに立ち上がりーーー

 

 

「オシッコォォォォォォォ」

 

 

「「あのバカ師匠」」

 

急いで対局室へ向かうが既に時遅し。

 

 

将棋会館から一筋の聖水がビルの外へと流れた。

 

 

その後、桂香さんに将棋会館まで来てもらい、かろうじてパンツのみ履かせることに成功した師匠をタクシーに押し込んで強制送還と相成った。

俺と八一と銀子にはこれから飛び散った尿を洗い流す苦行が待っている。

苦行を開始しようとすると、通行人がざわめき出す。

 

 

「あれ?あんた・・・もしかして浪速の白雪姫!?」

「・・・」

「テレビで見ました!サインしてください!!」

 

 

あっという間に取り囲まれる銀子、さすが俺の自慢の妹だ。

 

 

「あれ、あっちに山橋くんもいるよ!」

「ホンマや、山橋くんや!」

 

 

他の通行人が俺に気付いて騒ぎ出す。

名人に勝った俺は、メディアでは将棋界の新世代の旗手のような扱いを受けているため、将棋をしない人の知名度もそこそこある。

あと、注目され始めたのが中学生だったこともあり、ファンからは『山橋くん』と呼ばれて何歳になっても子供扱いされている。

それが最近の悩みだったりする。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

イメージを崩さないようにできるだけ爽やかに受け答えする。

 

 

突発的に始まったサイン会のせいで結局、世間の知名度が低い八一だけが、苦行を行うことになってしまった。

 

 

ごめんよ八一。今度飯奢ってやるから。




アニメは5巻までやるつもりなんでしょうか?
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