もののけの子   作:雪谷

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初めての学校生活

 入学して一月、私たちはいつも3人で行動していた。いや、最初はそこまでではなく自由にクラスメイト達に混じっていたのだが、いつのまにか目を離すと燐君は不良に絡まれて怪我をするし、雪男君は女の子に囲まれて授業に遅れるし、私は持ち込んだノートパソコンで仕事を始めるので3人で話し合った結果こうなった。

 

 かたまっていると絡みづらいし、あからさまに3人とも他と態度が違うので身の程を知るらしい(先生談)。

 

 さて、今は数学の時間だ。

 

 私たち3人とも居眠り中である。最前列教卓の目の前で、堂々と。

 

 雪男君は背筋を伸ばして、燐君は腕を枕に鼻提灯、私は枕持参である。

 

 

「……おい問題児トリオ」

 

 

 無論浅くではあるが、私も寝ている。

 

 先生へ返事する気などないので意識をさらに沈める。と同時に敵対心を感じて拳を出すとその先には先生の腹があった。

 

 悶える先生。

 

 

「何してるんだ……」

 

「ぐぅ、いたたた……堂々と、居眠りしやがって」

 

「あ、わるい。敵対心向けられるとつい手が出るんだ」

 

 キーンコーン カーンコーン

 

 

 鐘がなり授業の終わりを告げるなか、中途半端な板書をそのままに職員室へ帰っていく先生の背中は、なぜか小さく見えた。本当にすみませんでした。

 

 なんで雪男君まで居眠りしているかというと、昨日おじさんと燐君がゲームをやっていた。居間で。それに巻き込まれた私と雪男君。そこからノンストップデスマッチである。

 

 

「二人とも起きろ、昼だ」

 

「す、スキヤキー?」

 

「おはよう、マツ」

 

「ほら、飯いくぞ」

 

「「おう/うん」」

 

 

 この中学は数年前、給食費を払わない親が続出し給食センターと学校で話し合いが行われた。その結果、対策として給食がなくなり購買が充実。弁当持参となっている。

 

 今日は天気が良いので、中庭でレジャーシートをひいてランチでもしよう。

 

 

「まさか居眠りする日が来るとはね」

 

「マツなんか枕持ってきてるしな!」

 

「いつも寝てる燐君に言われたくないな」

 

 

 燐君は大抵寝ている。が、夜に私たちによって鬼のように勉強内容を刷り込まれるので、勉強が出来ている。

 

 

「マツだってあまり起きてないよね」

 

「小学生時代に勉強しすぎたんだ」

 

「「引きこもり?」」

 

「、ある意味?山から出なかったし」

 

((どういう生活だよ!?))

 

 

 今日はおじさんが弁当を作ってくれた。

 

 男の料理ってかんじだけど美味しい不思議。

 

 

「もう少しで定期テストだね」

 

「その後は球技大会だっけか」

 

「そのあと夏休みだ」

 

 

 夏休みというワードに燐君は目を輝かせ、雪男君はげんなりした顔をした。

 

 

「海いきてー!」

 

「日焼けするから嫌だよ」

 

「「女子か」」

 

「……赤くなって痛いんだよ」

 

「日焼け止め買いにいくか」

 

「「それだ」」

 

 

 こうやって馬鹿やってると、あと3年もしない未来で大人の事情と避けられない運命に弄ばれるのかと思うと、少しやるせない。

 

 柄でもないけど、この2人に絆され始めている私はまずおじさん生存からはじめている。

 

 原作とか、あまり考えていない。さわりしか知らないし。

 

 情報収集は得意分野だから、少しくらい反れたって何ら問題はないんだ。

 

 だからさ、

 

 

「お前らは好きなように生きろよ」

 

「何だいきなり」

 

「突然だね」

 

「いや、馬鹿やってるお前らの方が面白いから」

 

「「どういう意味だそれ」」

 

 

 笑って誤魔化すとタックルされそうだったので避けると、燐君は雪男君を巻き込んでレジャーシートの上で転がった。

 

 

「あーあ、片付けよろしくな」

 

「まてコラー!」

 

「兄さん……オモイ」

 

「「あ」」

 

 

 このあと雪男君に怒られた。

 

 解せぬ……

 

 

 

 

 

「マツ!リベンジだ、ゲームやろうぜ」

 

「燐君、おやつは要らないようだな」

 

「やっぱなんでもねー!父さんさがしてくるな」

 

「さっき悪魔払いしてたからもうそろそろこっちくるんじゃないか?」

 

「んじゃ待ってよ」

 

 

 今日のおやつはカップケーキ。オレンジピールとかチョコチップとかアーモンドなど種類を揃えれば飽きることはないので量産中。おてがるでよく作るお菓子のうちの一つだ。

 

 私の横に立ってじっとこちらを見てくる燐君に居心地が悪くなって、やってみるかと言うと、犬の耳と尻尾が見えた気がした。

 

 

「燐君いれすぎ、あんまりいれると生焼けとか出てくるから気を付けて」

 

「うー、こんなもんか?」

 

「そうそう」

 

 

 このあととんできたおじさんが燐君作のカップケーキを食べ尽くして、皆にボコられてた。

 

 食べ尽くされた燐君は嬉しそうだったから、私のカップケーキで不満かと聞けば大人しくなったので、今度は雪男君もさそって3人で作ろうと思う。




ご読了ありがとうございます。
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