もののけの子   作:雪谷

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書き溜めがあるうちは18:00投稿です。


聖騎士と捨て子の出会い

 空の神様に連れていってもらったのは、大きな祠だった。

 

 今は人も何も来ないと言って、息を一吹きすると雑草や汚れが消え失せお供えものが現れた。

 

 

『山の麓には村があっての、そこに新たな祠を建てたようじゃ。腹が立ったゆえこうして供物を貰い受けておる』

 

「うわぁ、A5ランクのお肉ですよ!大切にされてますね」

 

『うぬ、たまに夢に出てやっての、嵐を教えてやるのだ。そうすると暫く逃げるのだが、帰ってきおるとたんまり美味なる供物を供えおるのじゃ』

 

 

 そのあと、特別に祠に入ることを許してもらえた。これからも会いたくなれば来るとよい、と許可も貰えてとても嬉しいです!

 

 そのあとは、悪い悪魔が封印されている場所を教えてくれて、気を付けるのだぞ、と心配してくれる。

 

 

『ぬしには護身術なるものを授けようのぅ』

 

「ありがとうございます!」

 

 

 この山に住む新入りだから、気を掛けてくれているのかも。空の神様は神様の鑑だな!

 

 あとなぜかお供えに上がっていた、拳銃や狙撃銃を譲ってくれた。

 

 ご飯のあとは空の神様と訓練するようになりました。

 

 

 

 

 

 この山に捨てられ一月、初めての嵐以来大きな天気の崩れはなく平穏に暮らしていた。

 

 一月もたてば五感も人外と化してきて、空の神様に教えてもらった体術や聖法もいたについてきた。

 

 聖法とは、諸説あるけどこれは語感で付けただけらしく、聖なる力を使って行使するものだ。簡単に言うと光の魔法みたい。

 

 

「遅いなぁ……」

 

 

 ひとり呟くが返答はない。いつもであればこの時間帯だと空の神様がいらして夕飯を食べている時間なのにいらっしゃる気配もない。

 

 それに今日はやけに静かだ。

 

 動物たちの鳴き声や足音、羽ばたく音がない。聞こえるのは潜めた息と水の流れる音や葉の擦れる音だけだ。

 

 何かおかしい。

 

 人が山に入ってきたのか?

 

 家から飛び出して五感を研ぎ澄ます。

 

 聞こえるのはこもった轟音、地から涌き出る血と硝煙のの臭い。肌で感じる恐怖と殺気。

 

 何かが起きている。

 

 

「"すぐ行く"ね、空の神様」

 

 

 

 

 

 それより少し前、空の神様とよばれる猫又は祓魔師と対峙していた。

 

 

『何のようじゃ、人の子。わらわは忙しいのだぞ』

 

「いやー、悪いな。俺ぁ藤本獅郎、白鳥家の子供捜してんだ」

 

『子供とな。それは知らぬ、捨て子ならおるが』

 

「あん?」

 

『自ら申しておったの、己が悪いとも』

 

 

 藤本獅郎は己の持つ情報と猫又の言葉に思うところがあるのか、片方の眉を上げ少し考え込んだ。そのとき、藤本獅郎の後ろで警戒していた祓魔師たちが痺れを切らし発砲した。

 

 

「おい待て!俺が良いと言うまで待機と言っただろう!!」

 

『聞こえておらんな、この辺には悪い悪魔がようでおる。その影響よのぅ』

 

「呑気にしてねーで、手伝え!」

 

『やれ、横暴な』

 

 

 そう言いながらも手伝おうと背筋を伸ばした。そのとき。

 

 

 ガサガサ、バキ、ガサ

 

「ん?」

 

 

 何かがものすごいスピードで近付いてくる音が響き錯乱していた祓魔師たちも、何事かと静かになった。

 

 場に静寂が訪れた時、その空気は幼い声にぶち壊された。

 

 

「空の神様ー!!」

 

『おお、雪。寂しかったかや』

 

 

 飛び出してきたのは5歳ほどの幼児。さすがに正気に戻るが、逆に混乱し始める祓魔師たち。

 

 それもそのはず、巨体を誇る上級悪魔の猫又に幼児が抱き付いて離れないのだから。

 

 

「空の神様、もう夜なのに来ないから心配しました!」

 

『すまぬ、こ奴等がなかなか帰らぬのでな』

 

「俺のせいかよ」

 

 

 幼児はその時初めて藤本獅郎率いる祓魔師たちに目を向けた。その目は今まで猫又に向けていた親愛などかけらもなく、まるで不審者や略奪者でも見るような殺伐としたものだった。

 

 

「……おじさんたち"帰って"よ」

 

 

 大きくも小さくもない幼い声があたりに響いたとき、幼児の真っ赤な瞳孔と光の加減で虹色に光る虹彩が怪しく瞬く。

 

 そしてその一瞬あとに祓魔師たちは麓の村へと、ほおり出されていた。

 

 

「!?、なんだこりゃあ。あのガキ、許さん!」

 

「ええ!またいくんですか?聖騎士様ぁ……」

 

「たりめーよ!」

 

「「「はぁ……」」」

 

 

 村人たちの怪訝な目などないかのように、広場に張ってあるテントへといそぐ。

 

 この村人たちは、あの猫又をいまだ崇拝している。

 

 そのため祓魔師たちを邪教の乱暴者だと影で囁きあっては、早く出ていけ今すぐ出ていけと目で語るのだ。

 

 新しい祠を建てたことで怒った神は、悪魔に堕ちてしまったがいまも関係は変わっていない様子に藤本獅郎は、感心しながら翌日に備え眠りについた。

 

 

「しかし写真通りのガキだったな」

 

 

 取り出したのは無表情の幼児の写真。

 

 赤い瞳孔に光の加減で虹色に光る虹彩。一度も切られたことのない背までのびる藍色の綺麗な天然パーマは、先ほど見た幼児と一致していて決定的に違うのはその表情だった。

 

 事前に教えられていた白鳥 待雪の情報では、一度も表情を動かすことはなく自分から何かを求めることもなく、ただ静かに生きてるだけ。

 

 それがどうだろうか。

 

 猫又の巨体に向かって飛び付き、心配したと言い、空の神様となついている悪魔を守ろうと祓魔師たちを追い出した。

 

 

「こりゃあ要検討だな」

 




ご読了ありがとうございます。
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