友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか? 作:オティンティン大明神
学生の日常としてあるあるのネタを使いましたがそれが嫌な人はバック推奨です
『なーんか轟って何時もつまんなそうな顔してるよな』
初めて言われた言葉だった。アイツが絡んでくるようになって暫く経ち、クラスで俺が完全に浮いている中、アイツは何故か俺に構ってきた。何時もの様に無理矢理座らされ将棋を打っていた中での言葉、俺はあの時、初めてアイツの顔をマジマジと見たのかもしれない。
『スマイルだよスマイル。あっプリ○ュアじゃないからな』
冗談交じりに両手を俺の口元に当てて上へと向ける。表情筋を無視して作られた笑みを見てアイツは満足そうに笑った。
『これは母ちゃんの受け売りなんだけど……世の中、最後まで笑ってる奴が勝つらしいぞ』
オールマイトも似たような事言ってたし間違いないな、と言うアイツの顔には笑顔が溢れていた。今思えばアイツが笑顔じゃなかった時なんてなかった。冗談交じりに怒ってる時もあったが何時もただ楽しそうに笑っていた。
『だからさ、お前も笑えって。肩肘張らずに生きてた方が人生楽しいぞ』
だから、とりあえず笑っとけ。
あの時の……クソ親父の復讐の為にただ生きていた俺にはその言葉の意味が分かってなかったが、その言葉は深く胸に刺さった。アイツは何時も俺に構っていた……今、何故かと聞いてもきっと笑いながらはぐらかすのだろうが、アイツの本質はきっと……とんでもない程のお人好しなんだと思ってる。
俺は自分が誰よりも大好きだと公言しながら、自分に対して無頓着な部分があって。他人が困っていたら何だかんだ言いながらも力になってやろうとする男、あんな奴だから凝山の奴らは惹かれてたんだ。
これを大和に言ったら『オイオイ。アイツを神聖視しすぎだろ』と笑われたが、俺にとってはアイツは……石は底にいた俺を引き揚げてくれた大切な親友だ。
『──クラスメイトを守るのは委員長様の特権だ! 分かったらどけカス共! 』
『なんで来た……?お前本当に馬鹿だな。あのなぁ……お前は知らなかったかもしれないが友達ってのは助け合うのが当たり前なんだぞ? 』
『それに俺はクラス委員長様だからな。お前らを守るのは俺の仕事だ』
──思い出す、今の俺を作り出す原点の一つを。親友との大切な思い出の一つを。
───
あの時の俺は周りの視線を気にする余裕がなかった。誰にどう思われようが知ったことではない、クソ親父を超える為にはこんな事をしてる暇はない。と思い過ごしていた。
「轟ってさ……なんか近寄りづらいよな」
「あー……なんか分かるわ。エンデヴァーみたいだよな、確か身内なんだっけ? 」
いつもの様に聞こえる雑音。エンデヴァー、不動のプロヒーローNo.2。悪くいえば永遠の2番手、それが俺の父親であり、何奴も此奴も俺を通してエンデヴァーを見ていた。正直不快ではあったが気にする事でもない、そんな輩は無視すれば良い。そしたら俺に近寄ることは無い。
「マジ!?俺エンデヴァーのサイン欲しいな 」
「やめとけやめとけ。お前、轟と関わりたいか? 」
「……そりゃ無理だ。俺は引合みたいな物好きじゃない」
そう言って雑音は聞こえなくなる。いつもの様に下らない学校が終わるのを待つ、すると。また雑音が聞こえた……何時もの奴らだ。
「おーす轟! デュエルしようぜ!デュエル! 俺ブルーアイズデッキ使うからお前ブラマジデッキな! 」
「……将棋しか知らない奴に何やらせようとしてんだよ。馬鹿か?馬鹿だったな。すまん」
コイツらはこの中学校に入ってから毎日のように俺に関わってきた。関わった最初に無理矢理将棋をやらされて、そこからずっとコイツらはずっと俺に関わろうとしていた。
「将棋で俺に勝てない雑魚がなんかほざいとるわ。というかお前ってゲーム全般くっっっそ弱いよな! 」
「……デッキ貸せオラァァッ! 」
「ふぅん。貴様ら凡骨デュエリストが何人束になろうとも最強デュエリストである俺に勝てると思うな! 」
「「……デュ○ル! 」」
今日は何時もとは違う事をするらしい。馬鹿馬鹿しいと思い、俺は本へと意識を落とす。耳に高笑いする声が聞こえるが無視する。
「○ルーアイズよ!眼前の敵を粉砕しろ! 滅びの爆裂疾風弾! 」
「甘いぜ引合! トラップカード発動! 『攻撃の○力化』その攻撃は無効だ! 」
「おのれぇ……カードを2枚伏せターンエンドだ」
「いくぜ。最強デュエリストのドローは
……」
暫く俺が本を読んでいると、俺の周りが盛り上がっているのか歓声が湧き上がっていた。何事かと思い顔を上げるとそこには信じられない光景が俺の視界に広がっていた。
「無窮の時……その始源に秘められし白い力よ! 鳴り交わす魂の響きに振るう羽を広げ、蒼き深淵より出でよ!」
「ディープ○イズホワイトドラゴン! 」
アイツらがカードを広げていた机の上で小さな怪物達が出てきて戦っていたのだ。いや正確には知らない男子の目が光り、そこから放たれた光が虚空にその映像を映し出していたというべきなのだろうか。兎に角良く分からない状況だった。
「甘いぜ引合! 『異次元からの帰還』だ!来い三幻神!オシリスの天空竜! 」
三口を持つ赤い竜が机の上に降り立つ。その竜を見ていたアイツは笑い、声高らかに叫んだ。
「来るが良い!我が魂の下僕。ブルーア○ズホワイトドラゴンよ!」
「 召 雷 弾 ! 」
「貴様ァ! 」
兎に角良く分からない状況だった。クラスは湧き立ちアイツらの一手一手に合いの手を入れ、その中にいた俺はただ困惑するしか出来なかった。
「今……ファラオの名の元に神を合わせる! 光の創造神。ホルアクティ! 」
『ジュゼル! 』
「イワァァァクッ! 」
どうやら終わったらしい。盛り上がっていた奴らはここから離れていき、残ったのは机に突っ伏す奴と変なポーズをする奴だけだった。
「……どうだ? やりたくなったか!? 」
「やらねぇ」
「……ウッソだろお前。リアルソリッドシステムだぞ? 全男の子の憧れじゃないのか? 」
荷物の整理を行い席を立つ。こんな無駄な事に付き合ってられない、そう思い帰る為の準備をしている中、アイツらは何かを話していた。
「だーかーらー。知らない奴に見せても無駄だって言っただろうが。そこら辺がお前は駄目なんだよ」
「失礼な。何も知らなかったとしても俺ならウキウキで参加するぞ」
無視して教室を出る、そんな俺の背中にアイツの声が掛けられた。
「じゃあな轟!また明日な! 」
明日になればまたこれの繰り返し。この現実にウンザリして俺は家へと向かった。
「……しっかしアイツ。何をしても笑わないなぁ」
そんな声が聞こえた気がした。
新キャラ(今話限りかも)
ソリッドビジョンの代わりをした男の子
名前
色屋 映像
個性 ビジョン
脳内にイメージした映像を目を通して空中へと映し出す事が出来るぞ! イメージの緻密さが文字通り映像のリアリティに直結する!
使い過ぎるとお目目が痛い痛いになる