友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか? 作:オティンティン大明神
「んじゃ次の例文で間違っているのは?」
勉強は正直言って好きではない。雄英高校入ったのはヒーローになりたいから、でもヒーローになる為には勉強も必要。したくないからしないでは通らないのだ。
「おらエヴィバディヘンズアップ!盛り上がれーッ!」
「はい!先生!はい!」
「ナイスボイスだ引合!それじゃあ答えて貰おうかセイヘイ!」
「3番!」
「うーん…見事に引っ掛かったな。それでもナイスファイト!正解は4だ。4番だけ関係詞の位置が違うだろう?」
それでも日本から出るつもりはないから英語の一つや二つ知らなくても問題はないじゃ駄目だろうか?
「午前中発言したの大体間違えてたけど…もしかして引合って勉強出来ないのか?」
馬鹿をいうな。天才でイケメンな引合君が勉強出来ない訳がないだろ。全く失礼な奴め、これは敢えて間違う事により先生の深い解説を聞く為にだな
「…今やっているのは中学校の頃の復習みたいなものでしてよ」
えっ
「─午前中にクラスの皆から馬鹿だと思われた場合の打開策はあるのだろうか?」
「ないから諦めろ。お前は馬鹿だ」
「校庭に埋めるぞモテキング」
昼食。この雄英高校の食堂には全ての学科の生徒が集まる為、人が溢れる。呑気にショートを誘い食堂に来たのは良かったのだが、あまりの生徒の数で座るところが全く見当たらず困っていた所を現在普通科の信条大和、別名モテキングの誘いに乗り、一緒に食事を取っている。
「わざわざ俺達の席とっておくとか聖人かよお前。何が目的だ?」
「この信頼のなさよ。まぁ目的があるからこっちに呼んだんだけどな」
コイツが態々俺達と食べる為に前の席を用意するなんて考えられない。そう考えていたらやはりその通りだったらしい。
「お前らにコイツの紹介をしたくてな。新しい俺の友達、心操人使って奴だ。よろしくしてやってくれ」
「…ども」
「よろしく!渾名はスーパーひとし君で良いか?」
「それは止めてくれ」
「蕎麦うめぇ」
どうやら大和に男友達が出来たようだ。全く信じられん、だが一緒にいるという事はそういう事なのだろう。心操人使、めんどくさいから『人使』と呼ぼう。そして一人優雅にざるそばを啜るショート、コイツほんと人の話聞かねぇな。
「良し。引合にはコイツの個性の事を聞いて貰いたいんだ」
「おい、待て大和。本気で言ってるのか?」
「安心しろ。コイツ全然気にしない馬鹿だから」
本当に失礼な男だ。人使の個性は心底どうでも良いけどお前を校庭に埋めたくて仕方ない、この感情は一体どうしてくれようか。
「コイツの個性なんだが…俺達の中で一番すごい」
「それは聞き捨てならんな。早く話したまえ」
前言撤回だ。俺の個性より凄いと言われたら聞くしかない、俺よりすごい個性は女神の個性以外認めるつもりはない。因みに中学校の頃の担任は別次元の存在だからカウントしていない、停止とかマジチートだろ。これで弱い個性なら大和を鼻で笑ってやる。
「コイツの個性は『洗脳』コイツに返事を返したら人を操れるんだとさ」
…はっ
「大和のフェロモンも似たようなもんだろ。俺達からすれば普通だな」
「お前ならそう言うと思ってたよ馬鹿」
「よーし放課後中学校に電話してドS召喚してやる。楽しみにしてろ」
「マジで止めろ。すまん、俺が悪かった」
分かれば良いんだよ。分かれば。
「…なぁ。引合とか言ったか?」
「どうかしたか?一緒に大和埋めるか?」
どうやら新入りの人使も一緒に大和を埋めたいらしい、なんて将来性のある少年なんだ。今度一緒に奴を埋めよう。
「いや…埋めるつもりはないが…怖くないのか?」
「…何がだ?なんか怖いものでもあるのか?確かに大和のモテッぷりは慣れている今でも怒りと妬みと恐怖を感じるがそれほど怖くはないだろ。ここまでとは言わんがメチャクチャモテる奴とか世の中には山ほどいる。気にしてないぞ」
大和がモテモテなのは全く気にしてないぞ、いつかは俺も彼女を作ってイチャイチャする。聖夜を彼女と一緒に過ごすんだ。
「…な?こんな奴なんだよコイツは」
「…いるんだな。こんな変な奴が」
このイケメン天才を捕まえて変とはなんだ変とは、失礼な。
この後人使とSNSを交換し、昼食を食べながら普通に話をした。大和と友人になるという行為をしてしまった人使のこれからの灰色の青春に幸あれ。俺はヒーロー科だから大和の世話は君に任せた。因みにショートは我関せずでひたすら蕎麦を堪能していた。そんなに旨かったのか、その蕎麦。
そして、そんな昼休みは終わりを告げ午後の授業となる。午後は英語だのなんだのと普通の授業ではない、ヒーロー科だけの唯一無二の科目『ヒーロー基礎学』の時間だ。
そしてその『ヒーロー基礎学』の教師は
「わーたーしーがー!」
「普通にドアから来た!」
HAHAHAHAと高笑いしながら教室に入ってきたのはあの生きる伝説。唯一無二のNo.1ヒーロー『オールマイト』だ。TVで何時も見ていた存在が目の前にいるとは感動である。後で絶対にサインを貰おう。
「オールマイトだ…!すげぇや本当に雄英で教師やってるんだ!」
「銀時代のコスチュームだ…!画風が違くて鳥肌が…ッ!」
俺と同じような感想だったのかクラスメイト達は口々にオールマイトが来たことを喜ぶ。オールマイトはとにかくカッコいい、筋肉ムキムキで背も高い。そして、プロヒーローの中で圧倒的な実力を持つ希望の象徴。簡単に言えばオールマイトは凄いし強くてカッコいいのだ。
「ヒーロー基礎学!それはヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う科目だ!」
「早速だが、今日はこれ!」
そう言うオールマイトの手にあるのはfightと書かれた小さなカード。つまり戦闘、もしかするとオールマイトと戦闘訓練を行えるのかも、そう考えると俺の気分は昂る。憧れの人に教えてもらえるなんて正しく夢のようだ。
「戦闘訓練!」
「そしてそいつに伴って…こちら!」
ピッという音にあわせて教室の壁から沢山のトランクが出てくる。流石雄英高校、こんな所でも金を掛けてて素晴らしい。倍率300倍の日本一の超名門校というのは伊達ではないのだ。
「入学前に送って貰った個性届けと要望に沿ってあつらえた…」
「コスチューム!」
「「うおおおおおおっ!」」
要望は送ってある、単純なものだからきっと完璧に作られているのだろう。俺の理想のコスチュームがそこにある、そう考えるだけで胸が踊る。
「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」
「「はーい!」」
オールマイトに大きく返事を返しトランクを開く。そこには俺の要望通りのものが鎮座されていた。
「要望通りだ。素晴らしい!」
「引合はどんなコスチュームにしてるんだ?」
「見たいか?見たいよな!見せてやろうこれが俺のコスチュームッ!」
「いや…興味本位だから。男なのに男のコスチュームが気になって仕方ないとかそれもうホモだろ」
前の席で自分のコスチュームを確認していた峰田が俺にそう問いかけてくる。見たければ見せてやる。これが俺のコスチューム!
「指抜き手袋!」
「…だけ?」
「指抜き手袋だけだ!というかこれ以外必要ない!服なんて体操服で上等!」
呆気にとられる峰田を無視してトランクに体操服と手袋を詰め込みオールマイトが去った方向へ走り出す。暫く走ると悠然と前を歩くオールマイトを発見する。チャンスは今しかない。
「オールマイト!」
「…君は」
「引合石です!お願いします!」
神妙な顔をしながら俺の名前を聞くオールマイトに自分のヒーロー基礎学の教科書を渡す。
「これの表紙に『未来のプロヒーロー引合君へ』でサイン下さい!」
「…え?」
その時俺は、テレビで見た事がないオールマイトが心底困惑する顔を見た。
引合石
大艦巨砲主義
自称イケメン天才
オールマイトファン