友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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HR 学級委員長 上

「昨日の戦闘訓練おつかれ。Vと成績は見せて貰った。爆豪、お前もう子どもみたいな事をするなよ」

 

「……分かってる」

 

朝のHRは相澤先生のお小言から始まった。最初に注意したのは緑谷に喧嘩売ってなんか落ち込んでた爆豪。コイツの性格からして『うるせぇ! 分かってんだよ殺すぞ! 』くらい言いそうだが、何やら返事は神妙な声色だった。腹でも痛いのかコイツ?

 

「緑谷、お前はまた腕をぶっ壊して解決か。いつまでも個性の制御『出来ない』じゃ通さねぇぞ」

 

「うっ……」

 

「俺は同じ事を言うのが嫌いだ。それさえクリア出来ればやれることは多い。焦れよ緑谷」

 

「はい!」

 

昨日の戦闘訓練でビルと腕をぶっ壊した緑谷が注意を受ける。昨日、生身で食らったらミンチより酷くなりそうな一撃を放った緑谷は、腕をへし折り無事保健室に運ばれていた。昔から個性を使い続けていたら今は使いこなせているだろうに、勿体無い。

 

「ついでに引合」

 

「……はい?」

 

何故か俺まで呼ばれる。何かやらかした覚えはないが一体何を言われるのだろうか?

 

「相手を煽りすぎだ。やるなとは言わん。だが、そこそこにしろ。ヒーロー志望じゃなくてヴィラン志望にでも変更するつもりか? 」

 

「後。お前の持論的には正しいんだろうが、戦闘が始まる前に攻撃を仕掛けるのはやめろ」

 

……色々言いたい事はあるが恐らく無駄だと思われるので一言だけ言いたい事を言う。

 

「言葉攻めで相手を顔真っ赤にさせるのはセーフですか?」

 

「セーフだ。相手の思考を乱すのに言葉攻めほど合理的なものはない」

 

それさえセーフなら問題ない。これもアウトだったら無言クール系に路線変更する所だった。

 

「さてHRの本題だが……急で悪いが君達にはやって貰いたい事がある」

 

その言葉にクラス中に緊張が走る。相澤先生はいきなり入学式参加させず個性把握テストとか始めた前科がある。正直『えー。これから君達には殺し合いをしてもらいます』とか言い始めても何一つ違和感がない。

 

とりあえず……前にいる峰田を盾にするか。

 

「……後ろから悪寒がするんだけど気のせいだよな?」

 

勘の良い奴め。と心の中で舌打ちしていると相澤先生が言葉を続けた。

 

「学級委員長を決めて貰う」

 

「「くっっそ学校っぽいのキターッ! 」」

 

『学級委員長を決めて貰う』という言葉に歓声が響き渡り、クラスメイト達が口々に立候補し始める。

 

「委員長!俺それやりたいです!」

 

「ウチもやりたいっス」

 

「リーダー! やるやる! 」

 

学級委員長という事は先生から渡される雑務の全てをやらなければならないという事。つまりは雑用係と同義であり、中学校の頃。抑えられないテンションのままに委員長になった俺は、その後委員長の面倒くささに後悔した事がある。委員長は遠慮したい。俺的には自分でやりはじめた事なら出来るが、他人に押し付けられた事はやりたくはないのだ。

 

「僕の為にあるようなもの☆」

 

「俺にやらせろ! 」

 

「学級委員長! 皆のリーダーって事だな! 俺も立候補するぞ! 」

 

次々にあがる立候補に驚きながら辺りを見渡す。凡そ学級委員長に向いていないと思われる奴らも元気良く手をあげており、流石は上昇志向の高いヒーロー科だと感心する。

 

「僕も…」

 

「私も立候補致しますわ 」

 

「私もやりたーい! 」

 

「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm! 」

 

手があがるだけで何一つ進まない現状。

後、峰田は後で泣いたり笑ったり出来なくする。そんな中、相澤先生の顔を見ると『何でも良いからさっさと決めろ』と言わんばかりの表情をしていた。

 

つまり……ここは俺の出番。

 

「先生! 俺が司会進行をしても良いですか!? というかします! 」

 

「……何でも良いからさっさと決めてくれ」

 

先生のお墨付きを貰い、意気揚々と教壇に立つ。俺が前に立っても元気に手をあげるクラスメイトを一瞥し、教壇に拳を振り下ろす。ダァン! と大きな音を響かせ、その音で騒いでいたクラスメイト達は沈黙する。

突然の俺の行動に驚いて動かなくなった奴らを見渡し、声高らかに宣言する。

 

「お前らァ!学級委員長になりたいかァァ!?学級委員長になってこのクラスを支配したいかァ!?」

 

突然の事についてこれなくなるクラスメイト達。当然だ、いきなり教壇をぶっ叩いてこんな事言われたらドン引きするだろう。というか俺ならする。

だが、ドン引きしているという事は俺の声が届いているという事。こちとら中学校時代に一つの団体を率いた男。この程度の視線、集められない道理はない。

 

「だったら馬鹿みたいに手をあげるだけじゃ誰もついてこねぇ! 本当にやりたいなら俺達に自分の思いをぶつけてみせろぉ!」

 

「脅迫! 恫喝! 賄賂! 何でもありだ! 司会進行である俺が許す! 学級委員長という栄光の為に己の全てを使い、掴め!」

 

「いや……それは許すなよ」

 

先生の言葉は華麗にスルーし言葉を続けていく。ここからが良い所なんだから全部終わってからにしてください。

 

「学級委員長はこのクラスを率いる者! つまりはこのクラスの頂点! どいつもこいつも簡単に手をあげやがって! その覚悟がお前らにあるのか! 」

 

「いや……覚悟とかは」

 

「シャァラップ!覚悟がないなら黙って手を降ろせ!この場では俺がルールだ! 王である学級委員長は、皆を引っ張っていく責任がある! 王になる気概がない奴は引っ込んでな! ウジ虫野郎が! 」

 

基本、ヒーロー科に入ってくる奴は上昇志向が高い奴しかいない。そんな奴らにこうやって焚き付けてやれば

 

「んだと!誰がウジ虫野郎だ! あるに決まってんだろうが! お前ら全員導き殺したるわ! 」

 

「オイラこそ学級委員長として皆を導ける存在だ! 」

 

「常に下学上達! 当然その覚悟はあるに決まっています! 」

 

「お前ら三人だけかぁ!? 他の奴らはただやりたかったから、手をあげただけか!? 」

 

こうやって三人が俺の声に反論し宣言する。ぶっちゃけ一人でも釣れたら御の字だったが、三人も釣れた。ここからは簡単だ。

 

「ノブレスオブリージュ☆覚悟なら当然あるよ☆」

 

誰かが釣れたら他の奴らも釣れていく。大声を張り上げ、雰囲気的に盛り上がないと空気が読めていないみたいな空間を作ればあら不思議。

 

「お前らァ! 学級委員長がやりたいかぁぁぁッ!? 」

 

「「おおおおおおおッ! 」」

 

「もっと腹から声出せぇ!他の奴らを蹴落としてでもやりたいかぁぁぁッ!? 」

 

「「おおおおおおおッ!!」」

 

「だったら争え! 皆の共感を得る事でも恐怖で支配するでも何でも良い! これから始まるステージで勝ち残った奴が頂点だ! 」

 

そう言いながら黒板に殴り書きをしていく、空気には鮮度がある。開幕の宣言さえしてしまえばこっちのもの。後は流れだ。

 

「『第1回! 学級委員長争奪! 選挙大会』かいっまくだぁぁぁッ!」

 

「「うおおおおおおおおっ! 」」

 

教室が皆の声でビリビリ震えるのを感じながら大仰に頷く。こうも簡単に扇動出来る自分の才能が恐ろしい。やはり俺は天才だ。

 

「…ここまで出来るならお前が学級委員長したほうが合理的だろ」

 

嫌ですよめんどくさい。




また長くなりそう
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