友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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動乱 USJ編 チキチキ地獄絵図とキチガイ引合仕立て~魔王様を添えて~
バス 上


「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイト、そしてもう1人の三人体制で行う事になった」

 

(なった…? 特例なのかな? )

 

PM0:50

 

午後の授業はヒーロー基礎学。担任である相澤消太がやる気のなさそうな声色で生徒に語り掛ける。その言葉に緑谷は心の中だけで首を傾げ、そんな中。彼の隣に座っているしょうゆ顔の少年、瀬呂範太が手をあげ疑問を相澤へと問い掛けた。

 

「ハーイ! なにするんですかー? 」

 

「災害訓練なんでもござれ『人命救助訓練』だ」

 

相澤が『rescue』と書かれたカードを生徒達に見せ付けると、生徒達は思い思いに話始める。

 

「おいおい。つまり俺の独壇場って事では? 」

 

「人命救助!? ヒーローにおいて一番大切な事っすね! 燃えてきたぁぁッ! 」

 

「……燃えたら救助出来ないだろ」

 

ドヤ顔で話し出す引合、1人盛り上がる夜嵐、燃えるという意味を勘違いして突っ込みをいれる轟。

 

「レスキュー……今回も大変そうだな」

 

「ねー! 」

 

「バカかおめーこれこそヒーローの本分だぜ!? 鳴るぜ! 腕が! 」

 

「水難なら私の独壇場。ケロケロ」

 

そんな三人以外にもレスキューに忌避感を感じる者や夜嵐のように盛り上がる者、引合のように救助に自信がある者。様々な思いが教室を駆け巡り。

 

「おい、まだ途中」

 

相澤の睨みで静まり返る。その様子は

まさに蛇に睨まれた蛙といったところだろうか。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を制限するコスチュームもあるだろうからな」

 

「訓練所は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」

 

ピッという電子音が鳴ると同時に壁から生徒達のコスチュームが入った箱が現れ、生徒達はその箱を持ち更衣室へと移動した。

 

今日のヒーロー基礎学は救助訓練だ。

 

「おっ! 俺以外の体操服ボーイ発見! 」

 

「俺以外って……そう言えば引合君のコスチュームって指ぬきグローブだけだっけ? 」

 

更衣室。体操服に着替えた緑谷に引合が近寄っていく。指ぬきグローブ以外のコスチュームを用意しておらず必然的に体操服を着る事になる引合は、自分以外がコスチュームではなく他の誰かが体操服を着ているのを見て、仲間意識を感じ話し掛けた。

 

「おっ? 俺のこのスーパー指ぬきグローブのスペック知りたい? 」

 

「えっ! 教えてくれるの!?」

 

引合のそんな言葉に緑谷は目を輝かす。元々重度のヒーローオタクである緑谷にとって他人の個性やコスチューム云々を知る事はとても楽しい事。そんな緑谷の態度を見た引合は機嫌良さそうに話し始める。

 

「良かろう! 先ずは俺の手袋だが……出せる物がなんやかんや結構ある! 」

 

「一つは針! 即効性の麻酔薬が染み込んだ針がこの手の甲の出っ張りにいっぱい入ってる! 」

 

「当然針は俺が触っているから自由自在に操れる! 戦闘訓練で見せたアレだな」

 

トントンと自分の手の甲の出っ張りを叩く引合の言葉を聞き、緑谷は己の世界に入りブツブツと呟き始める。

 

「そうか……!? 引合君の個性は簡単に言うと触れた物を対象にして引力と斥力を操る力! 針の動きは引合君の自由自在! 単純だけど被害を出さずに敵を無力化させるのには凄く最適なコスチュームだ! 」

 

「だろ? 俺凄いだろ?」

 

緑谷の言葉に満足したように笑顔で話す引合に、緑谷は満面の笑みを浮かべ返事を返す。

 

「うん! 凄いや引合君! 」

 

「ぐはぁ! 」

 

「たっ……倒れたぁぁぁっ!?」

 

緑谷が誉めの言葉を放った瞬間、引合は変な声をあげながら地面に突っ伏す。

突然の事態に困惑する緑谷を尻目に引合は立ち上がり緑谷に話し掛ける。

 

「……ワンモアプリーズ」

 

「えっ……『たっ……倒れたぁぁぁっ!?』」

 

「ノー! その一つ前! 」

 

緑谷の言葉に不満があったのか引合はどの言葉を言って欲しかったのかを要求する。

 

「えーと……確か『うん! 凄いや引合君!』だっけ? 」

 

「それだぁぁぁ!」

 

ハイテンションで緑谷を指差し、引合は言葉を続ける。

 

「俺は褒められるのが大好きだ! という訳で緑谷! 君にはこれをプレゼント! 」

 

「えっ?」

 

困惑する緑谷にマス目が沢山ある紙が渡される。そしてそのマス目の一番最初に『引合』の二文字が書かれた判子が押されており、例えるならばラジオ体操で判子を押してもらう紙に酷似していた。

 

「これは『引合スタンプ帳! 』俺が素晴らしいと感じた事をした人にプレゼントする紙だ! 」

 

「マス目に判子が全部溜まると景品が手には入るぞ! 頑張って君も景品ゲットだ! 」

 

「あっ……ありがとう? 」

 

(夏休みのラジオ体操で見たことある紙だこれー!? )

 

困惑する緑谷を尻目に、引合はバスが到着している場所へと移動する。貰った謎の紙を捨てるに捨てれず困惑する緑谷に、後ろから声が掛かる。

 

「……お前も貰ったのか」

 

「あっ……轟君。これどうすれば」

 

轟の声に緑谷は振り返る。いきなり渡された謎の紙、善意で渡された物を捨てるのは忍びない。ならば誰かに譲ろう、そう考え轟に話し掛けると。

 

「……負けねぇからな」

 

そう言いながら、轟は緑谷にあるものを見せ付ける。轟が見せ付けているものは、緑谷の持っているのと同じ『引合スタンプ帳』強いて違う部分をあげるとするならば、轟の紙には全体の半分まで判子が押されている事だろうか。

 

(轟君……集めているんだ)

 

クラスメイトの意外な一面を知った緑谷は渡された紙をロッカーの中に片付けバスが到着している場所へと足を進めた。

 

「──で、オールマイトがそこで言ったんだよ『辛いときこそ笑え』ってな! 」

 

「やっぱオールマイトは凄いな! 俺もあんなカッコいいヒーローになりたい! 」

 

「分かってるな夜嵐! 」

 

バスの中で二人の男が意気投合する。1人は引合石、もう1人は夜嵐イナサ。彼等は話をし始めると直ぐに意気投合し、自分の好きなヒーローの話題で盛り上がり始めた。語り合うヒーローの話題は勿論No.1ヒーローオールマイト。どんな人でも盛り上がる事が出来る鉄板ネタ、そんなネタを彼等が使えばどうなるのかは火を見るよりも明らかであり。

 

「……俺を挟んでベラベラ話してんじゃねーよ! 殺すぞモブ共! 」

 

その結果、彼等の真ん中にいる爆豪が怒りのままに吠えたてた。何故爆豪が彼等の真ん中にいるのか、簡単に説明すると引合が相手の意見を無視して、無理矢理隣に座らせただけだ。そしてその爆豪の隣に夜嵐が座り、彼等は無意識的に爆豪の逃げ道を防いだ。

 

「どうした爆豪! うんこか!? 」

 

「違うぞ夜嵐。爆豪は俺達の会話に混ざりたくて仕方ないんだ」

 

「なるほど! 」

 

見当違いの意見に爆豪の苛立ちが頂点に近付く。嫌いな奴の隣に無理矢理座らされた挙げ句、自分を間にして会話された爆豪の気分は不機嫌絶好調だった。

 

「微塵も混ざりたくねーわ! 死ねカス! 」

 

「ハブったりしてごめんな! 爆豪も混ざっていいぞ! 」

 

「聞けやカス共! 」

 

両手を爆発させながら爆豪は凄むが、引合と夜嵐にそれが通用する事はなく。

 

「それじゃあ爆豪の好きなヒーローは誰だ!?」

 

「いねーわ死ね! 」

 

「えっ……オールマイト好きじゃないとか。お前ヴィランなの?」

 

信じられないと言った様子で呟く引合の姿を見て、爆豪は自分の切れてはならない部分が簡単に切れたのを感じた。

 

「……誰がヴィランだ。ぶっ殺すぞナメプ野郎! 」

 

その容貌たるや。まさに怒髪、天を突く。夜嵐と引合に良いように扱われた爆豪は阿修羅すら凌駕する顔へと変化していた。この顔を見た赤子はひきつけを起こし、犬は震えあがり服従を誓うだろう。そんな顔を見た引合は。

 

「その顔。どうみてもヴィランだろ」

 

遠慮なく爆豪を煽り倒した。

 

「……死ねぇッ!」

 

爆音と共に引合の顔面に小さな爆破が放たれる。が、引合には当たらない。

 

「フハハハハ! 止まって見えるぞ! 」

 

「避けんな死ね! 」

 

(かっちゃんが弄り倒されてる……流石雄英高校! 信じられない光景だ! )

 

バスは走り続ける、彼等を乗せて。

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