友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

43 / 82
プププランドを守ったので投稿します


ウソの災害や事故ルーム 3

 

「さて、オールマイトを待つのは良いんだが……少し手持ち無沙汰。暇だな」

 

大広間で魔王は何気なく呟き、美しい黒い長髪を靡かせ周りを見渡す。近くには、魔王を守る従者の如く何も言わず佇む脳無と黒霧が控え、その足元には先程蹂躙したプロヒーロー イレイザーヘッドがボロ雑巾のように放置されている。

 

「必要がない……が。まぁ余興程度にはなるだろう」

 

「……どうなさいましたか? 」

 

「いや……時間潰しに。少しプロヒーローの意地がどれ程なものか試して見ようと思って」

 

そう言い残し、魔王はある場所へと足を進める。その先は水難ゾーンと呼ばれる湖に難破船が放置されている場所、そう記憶していた黒霧は魔王へと疑問を投げかけた。

 

「既に彼等が子ども達を殺してるでしょう。水難ゾーンには水の中で実力を出せる者達を配置しております。恐らく……貴方のご要望に答えられないと思いますが……」

 

「何を言ってるんだい? ちゃんといるじゃないか」

 

「は……? 」

 

魔王は、その言葉と同時にある場所を指さす。その場所には水難ゾーンを生還し、水辺からコチラの様子を伺う子ども達が3人程存在しており、黒霧は子ども達の気配に気づかなかった己を恥じながら直ぐに個性を使えるように準備をする。

 

「あぁ、大丈夫だよ黒霧。必要ない」

 

カツン。カツン。カツン。

軽い足音を響かせ、魔王は子ども達の元へと足を進める。魔王が近付く度に3人の内、一番背丈が小さな少年が身体を震わせ声を荒らげる。

 

「やべーって! おい緑谷! はやく逃げようぜ! なぁおい! 」

 

「それは駄目だ……ここで背中を見せたら間違いなく奴らの思う壺。ここはもう立ち向かうしか……」

 

「戦うとか冗談だろ!? 相澤先生を見ろよ! 先生が勝てなかったのにあんなのに勝てる訳ねぇ! 」

 

緑谷と呼ばれた少年は拳を握り締め魔王を睨み付ける。その姿を見た魔王は嬉しそうに顔を歪ませ、3人へと語り掛けた。

 

「別に逃げるなら止める気はなかったんだけど……そっか……そっか」

 

この瞬間、緑谷は自分の選択が誤りだった事に気付く、だがもう遅い。覆水盆に返らずという諺があるように、一度行った事はやり直しが出来ない。つまり、もう取り返しが付かないのだ。

 

「 君 達 も 僕 に 立 ち 向 か っ て く れ る ん だ ね 」

 

その瞬間、背中越しに魔王を見ていた黒霧ですら震え上がる程の悍ましい気配がこの場を支配する。何故、自分は生きているのか、嗚呼。こんな事になるならいっそ舌を噛みきって死んでしまった方がマシだ。味方である黒霧ですらそう思わせる圧倒的な存在感。

 

「ひっ……ひぃ……」

 

小柄な少年がいる場所が黄色く染まる。魔王の存在感に耐えられず、身体を震わせ尿を漏らしたのだ。だが、他の2人にそれを指摘する程の胆力は存在しておらず。

 

「 君 も か い ? 」

 

「ケ……ケロォ……」

 

魔王がそう問い掛ければ。残った一人の少女は、まるで蛇に睨まれた蛙に身体を動かす事が出来なくなる。その様子を見た魔王は、緑谷を除く二人の子どもの顔面へと手を伸ばす。

 

「……出来ないなら消えて貰おう」

 

その手が二人の顔面へと少し、少しと近づいて行く。手が顔面へと触れる。その直前、緑谷は魔王の眼前へと飛び込み、拳を振るわんと声を張り上げた。

 

「あああああああああ!」

 

悲鳴にも似たその声は、自分の中に恐怖を掻き消すのが目的だったのだろう。恐怖を掻き消し、緑谷は魔王へと拳を放つ。

 

「SMAAAAAAASH! 」

 

しかし……その拳は魔王へと届かない。魔王を庇うように脳無が前に現れ、緑谷の一撃から魔王を庇ったのだ。

 

「は? 」

 

静まり返った大広間に魔王の声が響き渡る。その言葉に篭っていた感情は憤怒と疑問。一体何故、理解が出来ない。そんな感情が入り交じった声が響いた瞬間。緑谷の髪を乱暴な手付きで持ち上げ、魔王は問い掛ける。

 

「……何故お前が『ワンフォーオール』を持っている? 」

 

「───ッ!? 」

 

底冷えする魔王の眼光が緑谷を射抜く。『ワンフォーオール』これは緑谷の大切な秘密であり、他の誰にも知られてはならない言葉。視線を狼狽えさせる緑谷を見て、魔王は整った顔を憤怒に歪ませた。

 

「巫山戯るな……巫山戯るなよオールマイト、こんな餓鬼に渡して何になる。力だけではなく人を見る目も耄碌したか? 何故あの子を選ばなかった……僕の育てたあの子がこんな餓鬼に劣るとでも言いたいのか! 」

 

そう吐き捨て魔王は緑谷を放り投げる。投げ捨てられた緑谷は、宙を舞いイレイザーヘッドが倒れている隣へと落下する。

 

「他の追随を許さぬカリスマに人心掌握!そして……オールマイト。貴様を遥か凌駕する圧倒的な潜在能力!」

 

「その全てが貴様の力を受け継ぐに相応しい存在だ! 僕が彼を導き! あの子はそれに答えた!」

 

「最高の『器』だ!下らぬ感情をかなぐり捨ててでもあの子に力を渡す筈! なのに! 何故!?」

 

絶叫が大広間に響き渡る。一通り叫び終えた後、魔王は幽鬼の如く緑谷の元へと歩み寄り始める。魔王から発せられていた存在感がさらに強くなり、その場にいた者達全員が、魔王を中心に世界が歪んでいるような錯覚に陥る。世界すら歪ませる圧倒的な存在感を放ち魔王は問い掛ける。

 

「……少年。君の名を教えてくれないか? 」

 

「ひっ……みっ……みっ……」

 

名前を名乗ろうとしても声が震え言葉にならない、そんな緑谷の姿を見て魔王は声を荒らげさせた。

 

「答えろ! 」

 

「ひぁ……あっ……あっ……」

 

呼吸すら満足に出来ない緑谷から視線を外し魔王は指を鳴らす、その瞬間。緑谷とイレイザーヘッドの身体が宙へと浮かび、両手を広げ、十字架に縛り上げられたかのような姿となる。

 

「……ここで君達を殺すのは簡単だ。だが、それは少しつまらない」

 

一つ、ゲームをしよう。イレイザーヘッド、君の教師としての意地を見せて貰おう。

 

そして……ワンフォーオールの後継者。君は力を受け継ぐに相応しくない存在だと、その心に刻み付けてやる。

 




──??side

「無理!無理!無理!拳圧だけで窓ガラス割れてビルが揺れたぞ!?こんなの近付けないし勝てる気がしない!一体だけでもあれなのに三体とか頭おかしいんじゃないか!?」

「ショートなら相性ゲーで勝てるだろうが……他の奴らがヤバいな」

「「──オオォォオォッ! 」」

「くっそ……知能のないカスが!俺に勝てると思うなよオラァン!?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。