友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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あと少し!あと少し!頑張れオティンティン!負けるなオティンティン!シリアスなんてあと少しで終わりだ!


ウソの災害や事故ルーム 6

『人を助けるって……つまり、その人は怖い思いをしたって事だ。命だけではなく、心を助けてこそ真のヒーローだと私は思う』

 

師の言葉が脳裏に響き渡る。理解していた筈だ、全てを守る平和の象徴となると覚悟したあの日から。この『力』を引き継いだあの時から。

 

眼前に映るのは、宙に磔にされ四肢を有らぬ方向へと曲げた後輩と、恐怖に支配された自分の弟子の姿。余程恐ろしい目にあったのだろう、正気とは言えぬその姿を見て、怒りが身体の奥底から湧き上がる。

 

「嫌な予感がしてね……校長の話を振り切って来たよ」

 

「どうやら……正しかったみたいだ」

 

この怒りの対象はヴィラン達か? 確かにヴィランに対する怒りもあるだろう。だが、それ以上に腹立たしい存在がいる。

 

「来る途中……飯田少年から事のあらましは聞いてきた」

 

身を焦がす怒り、その対象は。

 

「もう大丈夫! 私が来た! 」

 

皆の心と身体を守れなかった愚かな自分自身だ。

 

『どんだけ怖くても「自分は大丈夫だ」って笑うんだ。世の中、笑ってる奴が一番、強いからな』

 

 

今、師の言葉を守れている気がしない。

 

 

「来たか……オールマイトッ! やれ! 脳無!」

 

その瞬間、大地が悲鳴をあげる。凄まじい踏み込みと共にオールマイトと脳無の拳が交錯したのだ。ぶつかり合う拳圧だけで突風が幾度となく吹き荒れる。

 

「オォォォオオォッ! 」

 

脳無の咆哮が木霊する。全ては命令された通り眼前の存在を討ち果たす事、

それ以外の行動など脳無に必要はない。

 

「……私と同等のパワーを持ってるみたいだが、それだけで私を倒せると思ったら大間違いだ! 」

 

拳を放つ脳無の腕を持ち、オールマイトは回転を始める。その回転により発生する現象は正しく台風そのもの。自然災害を人間の純粋な筋力だけで起こす神の御業。

 

「Delaware……hurricane……ッ! 」

 

「SMASH! 」

 

掛け声と共に人知を超越した筋力で放り投げられ、脳無は宙を舞う。視覚不可能な速度で投げ飛ばされ、そのまま水難ゾーンに存在する巨岩を粉砕した。崩壊する巨岩に目もくれず、オールマイトは大広間へと向かう。踏み込みだけで地面が悲鳴をあげた。弾丸を彷彿とさせる、常人では目視すら不可能な速度で大広間へと辿り着いたオールマイトは、主犯と思われるヴィランに向かって拳を構える。

 

「Detroit……」

 

(コチラに背中を向けるとは……その慢心、後悔すると良いッ! )

 

拳がヴィランへと放たれる。その瞬間、オールマイトは見てしまった。

 

振り返り、微笑みを見せてくるヴィランの顔を。

 

「久しぶりだね。オールマイト」

 

「……ッ!? あっ……貴女は!? 」

驚愕と共にオールマイトの拳が止まる。そして、その隙を逃す者はいない。

 

「……それが君の弱点だ」

 

瞬間、ヴィランがオールマイトの体に触れる。それだけでオールマイトは地に伏せる事となった。突然感じた圧力にオールマイトは対処出来ず動けなくなる。

 

「黒霧」

 

「はい」

 

黒霧と呼ばれたヴィランから放たれる黒い靄がオールマイトの全身を包み込む。

 

「1回戦は君の勝ちだ。だが……脳無は特別頑丈でね、まだまだ戦える」

 

黒い霞に視界が包まれる中、オールマイトの脳は驚愕に支配されていた。一体何故、それだけが彼の思考を支配し、現状把握を拒む。

 

(何故なのです……何故、貴女が……生きているのですか!? )

 

「第二回戦だ。無様を晒せ、オールマイト」

 

(お師匠様! )

 

黒い靄が霧散していく。大広間に現れた筈のオールマイトは、黒い靄によって姿を消した。

 

「そっ……そんな……オールマイトが……」

 

「クソッ! 」

 

絶望に打ちひしがれる緑谷の声と激情を抑えきれていない相澤の声を聞き、魔王は堪えきれない愉悦を顔に浮かべ嗤う。

 

「ハハッ……残念だったね。折角オールマイトが来たのに……彼は何一つ出来ずに消えたよ!」

 

「次は誰が僕の敵になってくれるのかな? 後継者、君か? それともイレイザーヘッド? そこで震えている子ども達? 」

 

緑谷、相澤、蛙吹、峰田を順に見渡し魔王は笑う。彼女は魔王、魔王は勇者と対峙してこそ意味がある。

 

「それとも……先程の状況を全く知らない別の子ども達かな? 」

 

魔王が何気なく呟くと同時に、四人の勇者達が姿を現す。

 

「動くんじゃねぇ霧野郎! テメェが動いたと俺が判断した瞬間、俺がお前を即、爆破する! 」

 

黒霧の背後から襲い掛かり。そのまま組み伏せ、手から己の個性である『爆破』を使い脅迫する少年、爆豪勝己。

 

「なっ……ッ!? いつの間にッ! 」

 

そして……そんな姿にドン引きする少年、切島鋭児郎。

 

「ヤベーよ爆豪。言ってる事とやってる事がモロにヴィランだよ」

 

「黙ってろクソ髪ィ! 」

 

吠えたてる爆豪の声に呼応するかの如く、氷結の壁が魔王と緑谷達を分断する。

 

「遅くなっちまったみてぇだな」

 

辺り一面に冷気を巻き散らかしながら呟く少年、轟焦凍。

 

「大丈夫ですか先生……って! 不味いぞ轟! 先生と緑谷。全然動かん! 」

 

暴風を纏いながら宙で磔になっている2人を助けようと奮闘する少年、夜嵐イナサ。

 

「任せた」

 

「存外適当だな! だが、任された!」

 

味方である黒霧を抑えられ、子ども達に包囲されても尚、魔王に焦りなぞ存在しない。

 

「ハハッ……これはやられたよ、黒霧。君が子どもに遅れを取るとはね」

 

「申し訳ありませんッ! お手を煩わす事になってしまい! 」

 

「良いんだよ。別に……むしろ感謝しているんだ」

 

震える黒霧に、魔王は優しい声色で返事をかえす。

 

「この子ども達を殺しておけば……オールマイトの矜恃とイレイザーヘッドの矜恃。そして後継者の心を叩き潰せるからね」

 

その言葉を聞き、相澤と緑谷は声を張り上げる。逃げろ、勝ち目がないと。

 

「駄目だ……駄目だかっちゃん! お願い逃げて! 」

 

「黙ってろ糞ナード! 役立たずは黙って死ね! 」

 

緑谷の悲鳴にも似た懇願は本人よって切り伏せられる。

 

「お前ら! 速く逃げろ!ソイツはお前らでは足元にすら……いや、足の爪にも及ばない存在だ! 分かったらさっさと! 」

 

「無理です先生、もう狙われてます。それに傷付いた味方を置いて逃げるなんて男じゃねぇ! 」

 

相澤の言葉に不退転の意思を持って宣言する切島。そんな彼等の声を聞き、魔王は声高らかに笑う。

 

「……そうかそうか、立ち向かってくれるのか。魔王であるこの僕に」

 

「 君 達 も 僕 の 敵 に な っ て く れ る ん だ ね ? 」

 

魔王から放たれる空間すら歪める威圧感を感じながら、恐怖を押し隠すように轟焦凍は声を張り上げた。

 

「来るぞッ! 」

 

魔王と力なき勇者達、ここに相対す。




逃げろよお前ら(真顔)
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