友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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さらばシリアス。暫く会うつもりはない
あっ因みに今回爆豪くんが可愛そうです(シリアス並感)
それが無理な人は最後だけ見れば良いと思うよ(良心)


ウソの災害や事故ルーム 7

「まぁ……この程度か」

 

地面に倒れ伏す勇者達を眺め、何気なく魔王は呟く。実力差が天と地ほど離れているのだから当然の結果だと結論をつけ、偶然見つけた面白い存在に思考へと移した。

 

「抑えられない自尊心。己が最強であるという慢心、自負。ふむ……肥大し歪んだ自尊心に実力が追い付いていない半端者と言ったところか」

 

足元に倒れている少年の頭を踏み付け、魔王は言い切る。魔王が見つけた面白い存在の名は爆豪勝己、緑谷出久と同じ中学校出身であり、雄英高校ヒーロー科を首席で合格した才能に溢れたヒーローの卵の一人。

 

「てっ……テメェ……フザけるな……」

 

横目で睨みつける姿を見て魔王は嗤う。滑稽だ、こんな事があるのかと心底愉快そうに。

 

「目が語ってるぞ『何故俺が負ける? 巫山戯るな、俺以外は全員端役。お前は俺の華々しい将来への踏み台になるべき存在。だからさっさと俺に殺されやがれ』と、な」

 

「残念ながら君は特別な存在ではないし運命に定められた勇者でもない。少し凡庸から外れた程度の、何処にでもいる唯の少年だ」

 

魔王の言葉の一つ一つが爆豪勝己の心の底にある何かを崩していく。それは彼にとって最も大切なナニカ、彼の膨大な自尊心が隠している弱くて脆い部分。

 

「老婆心みたいなものだが。恐らく……僕が言わなければ誰も君に言わない、だから最後に教えてあげるよ」

 

やめろ、それに触れるな。

 

「常に頂点でいたいんだろう? 自分より強い存在が心底不愉快なのだろう? 自分だけが特別じゃないと気が済まないのだろう? 」

 

止めろ、俺の記憶に触れるな。

 

「その自尊心の『原点』に存在するのは誰だ? 初めて君を讃えた存在は誰だ? 」

 

止めてくれ。これ以上、俺に触れないでくれ。

 

「君は誰に初めて『特別』だと言われた? 」

 

爆豪勝己は思い出してしまう。誰もが己を褒め称える前、初めて自分を認め、褒め讃えた存在を。

 

『凄いやかっちゃん! かっちゃんて何でも出来るんだね! 』

 

「──ッ! やめろっ! モブが俺の心を乱すんじゃねぇ! 」

 

耐えきれずに喚き散らす。だが、魔王から放たれる言葉は消える事はない。むしろ爆豪の荒れた様子を見て、嬉々として語り出す。

 

「幼い頃から聞かされ続けた賛辞は気持ち良かっただろう? 端役から褒め称えられて、罵倒で返事を返しても讃えられるのは快感だったかい? 」

 

「だが……自尊心だけならそうはならない。そこまで歪んでしまったのは理由がある。恐らく……その自尊心を歪めた張本人は、君にとって最も特別な存在だ」

 

『大丈夫? 頭打っちゃったら大変だよ? 』

 

脳裏に浮かぶのは幼い頃の記憶。丸太の橋から落ちた自分に駆け寄る小さな頃の緑谷出久の姿。

 

「──違うッ! アレは何処にでもいる道端の石っころだ! 特別なんかじゃねぇ! 」

 

そうだ、デクは昔から誰よりも劣っていた。だから俺はモブの中でもアイツを覚えているんだ。

 

「何故、僕の言葉でその石っころが思い浮かんだ? 何処にでもいるなら忘れているだろう? 」

 

「それはデクが無個性で何も出来ない奴だからだ!」

 

必死に否定する爆豪の姿を見て魔王は嗤い、一言一言、その全てを否定する。

 

「そんな存在……自尊心の塊である君が覚えている訳がないだろう? 直ぐにでも記憶から消えている筈だ」

 

「デクと俺は幼馴染だ!だから覚えてる! そうに違いない! 」

 

「幼馴染関係なく、本当に端役だと思ってるなら直ぐにでも視界から外れるさ。 人間は興味のない事を全く覚えないからね」

 

「デクの癖に調子に乗るから不快なんだよ! あんな糞モブが調子に乗って」

 

「取るに足らない端役なら、何をしても気にはならないと思うけどね」

 

何も言えなくなった。反論は全て否定され、自覚せざるを得ない。爆豪勝己にとっての緑谷出久という存在を。

 

「原点はその『道端の石っころ』君の歪んだ自尊心は、全てそこから始まった」

 

「理解すると良い『 井の中の蛙。大海を知らず』君は特別な存在ではなく、何処にでもいる唯のちっぽけな少年だということを」

 

そう言い残し魔王は爆豪勝己から視線を外す。全身の力が抜け、呆然と胡乱な視線を宙へと向ける存在に対して興味を持つ事が出来なかったのだ。

 

「……そろそろ殺すか」

 

魔王の魔の手が勇者達へと襲い掛かるその瞬間、USJのゲートが開く。

 

「飯田天哉! ただ今戻りました! 」

 

声高らかに宣言する少年の後ろに存在するのは雄英高校が誇るプロヒーロー達。

 

「……どう致しますか? 」

 

「ヴィラン連合の恐怖を叩き込む事に成功したからもう用はないんだけど……オールマイトの矜恃はへし折ってッ!? 」

 

黒霧の言葉に返事を返す魔王の顔が驚愕に染まる。想像外の出来事が発生した、そう言わんばかりの顔をする魔王の顔を見て黒霧は不安そうに言葉を重ねるが、魔王は直ぐ笑い出す。

 

「ハハッ……ハーハッハッハッ! やはり君は天才だ! 僕が見込むだけはある! 君は何時も僕の想像を超えていく! 」

 

「黒霧! 揺れが始まった瞬間、直ぐにこの場を後にする! 」

 

「……一体何が始まるので? 」

 

不安そうに尋ねる黒霧に魔王は今まで一番楽しそうな笑顔で返事を返す。

 

「あの子が全力を出すのさ」

 

その瞬間、USJにいる者達は立つことすら不可能な揺れと爆音を感じた。まるで極地的な大地震がこの場で発生したような感覚に陥る。

地震が収まると同時に、この場にいる全ての者達は、信じられない光景を見た。

 

──それは塊だった、余りにも巨大な球体。人が小さな点にしか見えない程巨大な灰色の球体が大雨暴風ゾーンのドームの天井をぶち破り天へと姿を現したのだ。

 

「は? 」

 

誰が言ったのか分からない。だが、皆の心はこの一言に集約していた。

 

いや…なにあれ、と。

 

「ハーハッハッハッ!もーしらん! 被害とかもうそんなの知らんわバーカ! 」

 

球体の頂点から高笑いが響き渡る。もうどうにでもなれと言わんばかりの感情の篭った半ばヤケクソ気味の高笑い。雄英にいる者達はこの声の主を知っている。

 

「腕がちぎれようが四肢をもごうが即回復! 超パワーで粉砕!玉砕!大喝采! マトモに戦ってられるかバーカ! 死ね! 死なないだろうけど死ね! 」

 

「オラオラオラ! 何処にいる! どうせ他にもいるんだろ分かってんだよこちとらよォ! 」

 

その名は引合石、凝山中学が誇る問題児。

そして現在、雄英高校が誇る問題児となった少年だ。

 

「来いやヴィラン共ォ! まとめてぶっ飛ばしたるわオラァァッ! 」

 

引合石。彼は今、ブチ切れていた。




凝山中学が誇るキチガイが帰ってきたッ!
どこへ行っていたンだッ!お前がいなかったせいで物語はシリアス一直線だッ!
俺達は君を待っていたッッッ引合石の登場だ―――――ッ!

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