友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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おまたせ


ウソの災害や事故ルーム 8

「どいつもこいつも! コイツら人間じゃねぇ! いや人間だとしても俺はコイツらを人間とは認めん! コイツらからは知性を微塵たりとも感じん! 」

 

少年は激怒した。逃れられない現実、四肢をもごうが即回復し、拳圧だけで色々と破壊する怪物達の暴虐無人の暴れ様に腹を据えかねたのだ。少年が被害を抑えながら戦えども、怪物共に知性はなく。力の限り暴れる木偶の坊共、どれだけ神経を使って戦おうが怪物達は全てを台無しにする。もう少年の心は限界だった。

 

「もう……良いよな。俺もうゴールしても良いよな? 」

 

ヒーローにはヴィランの生命を奪わず捕まえ、安全を確保する義務がある。それはヒーローの卵である彼にもそれが含まれる。だが……圧倒的な力を持って暴れる怪物達を捕まえるのは少年の実力を以てしても危険な行為であり、無駄に近付けば、間違いなく超パワーから放たれる一撃でミンチより酷い事になるのは馬鹿でも分かる。

 

故に、彼……引合石は自重を捨てた。

 

「初めてですよ……俺をここまでコケにした馬鹿共は」

 

その言葉と共に、ドーム内に存在する全ての建物が揺れ始める。凄まじい地鳴り、地面の悲鳴がドーム外まで轟く。超極地的大地震がドーム内で発生しているかのような爆音、思考能力を持たぬ怪物達ですら本能で危険を感じたのか辺りを見渡す。罅割れていく地面、浮かび上がる建物群、天変地異を彷彿とさせるその光景は正しく世界の終焉そのもの。建物が重力に逆らい空へと飛び立ち、大地はその蛮行に悲鳴をあげた。

 

「ハ、ハハ。ハハハハ……ハーハッハッハッ! ハーハッハッハッ! 」

 

笑う。嗤う。哂う。他者がその顔を見れば吐き気を催す様な悪人が見せる笑みを見せ引合は笑う、出力を間違えればすれば辺り一帯を破壊する己の個性。周りを気にせず使うと決めた瞬間に、怪物達の万に一つの勝ち目は無くなったのだ。建物群に引かれるように空へと怪物達の身体が浮かび上がる。

 

「……お前らの身体能力は恐ろしい。拳圧だけで窓ガラスを割りワンパンで建物を粉砕するし家だってワンパンで粉砕だ。そんで四肢をもいでも生えてくる回復力。化け物だろマジで」

 

だが、と付け加え引合は話を続ける。

 

「どれだけ力があろうとも……それを上回る圧倒的な質量の前には無力! 相手が悪かったな! 俺に勝てる奴は殆どいない! 」

 

パチン、指を鳴らす。それを合図として空へと浮かび上がった建物達が黒い怪物達を中心にして一つの球体へと姿を変えた。

 

「……取り敢えずお前らのお仲間全員これにぶち込んでやるから覚悟しとけよ」

 

そう纏めあげ、引合は作り上げた巨大な球体を宙へと浮かばせる。地上から反発するように飛び立った球体は大雨暴風スペースの天井を簡単に破り、USJへとその威容を現した。引合も地上から飛び上がり球体の上へと着地する。

 

──その後の事は語るまでもないだろう。馬鹿はブチ切れながら登場をかました、それだけの話だ。

 

「何処だ黒い怪物ォ!どうせまだどっかにいるんだろぉ!? 」

 

馬鹿は吼える。自分が作り出した球体の頂上からUSJに己の声を響かせんと声高らかに叫び、聞く者達をドン引せた『黒い怪物』と呼ぶ存在に馬鹿がどれだけ苦戦したのか分からないが、その存在に対して怒りを蓄えているのは声を聞くだけで理解出来る。

 

「ヴィランに告げるゥ! お前ら社会の最底辺のカス共に人権はない! 速やかに投降しろ! しなければ命の保証はナァイ! 」

 

……ついでにヒーローの卵としてあるまじき発言をポンポンと吐き出す。これで良いのか未来のプロヒーロー、これで良いのか雄英高校ヒーロー科。因みに基本的人権はヴィランにも適応されている。故に馬鹿の発言は間違いなのだが、彼は現在ブチ切れているので気付いていない。そしてこの馬鹿を止めれる者もこの場に存在していない。

 

「……って、んん!? 女神がピンチじゃん!助けないと! 」

 

ある光景が馬鹿の目に止まる。山岳スペースと呼ばれる場所に彼が女神と崇め奉る存在、八百万百がヴィランと対峙していたのだ。しかもヴィランの方が有利に見える、それを見た瞬間。引合は山岳スペースの方角へと飛び立つ。弾丸よろしく一直線で目的地まで突き進み、ヴィランの眼前に着地すると、チンピラよろしく詰め寄り始めた。

 

「おうおうおう! お前ヴィランの癖に誰と戦ってんのか分かってんのか!? ここにおられるお方はなぁ! 」

 

「巨乳! 」

 

「美人! 」

 

「賢い! 」

 

「優しい! 」

 

「恐らく金持ち! 」

 

「後……俺より個性が凄い! の6拍子揃ったそれはそれは凄いお方だぞオラァ! 分かったらさっさと降伏せんかワレコラボケカスゥ! 」

 

巻舌で捲し立てる引合の姿を見てヴィランは呆れ果てたような声色で八百万へと話し掛ける。

 

「……おい。コイツはお前らの知り合いか? 」

 

「……はい。残念ながら」

 

(コイツ……ウチの存在には気付いてない。どうでも良いけどなんか腹立つな)

 

沈痛な面持ちで返事を返す八百万。そして存在を認識されていない耳郎は心の中で腹を立てる。

 

「……その娘の事は心底どうでも良いが、コチラには人質がいる。それはどうするつもりだ? 」

 

「ウェッ……ウェェ」

 

人質として捕らえた上鳴に電気の流れる指を向けながらそう告げる。が、その様子を見ても引合は不思議そうに首を傾げ言葉を続けた。

 

「そんな事は知らん。なんで俺が男を助けにゃならんのか」

 

「「!? 」」

 

その言葉に、この場にいる者達全員が驚愕し上鳴は悲鳴をあげた。

 

「ウエッ! ウエエエエエ!? 」

 

「あんた! 本気でいってんのそれ!?」

 

「引合さん! いくら冗談でも言って良い事と悪い事が有ります! 」

 

「お前……流石にそれはヒーローとしてどうかと思うぞ……」

 

ヴィラン含めた全員からの非難を浴びながら、引合はヴィランの方へと歩み寄る。

 

「人質は殺しちゃ意味無いから殺せないよなぁ? それにお前の個性は見る限り電気系統らしいし、個性が分かれば対処方法は幾らでもある。ぶっちゃけるとお前みたいな雑魚は何時でもぶっ飛ばせるんだ」

 

「……それ以上近付くなら、折る」

 

上鳴の首へと手を添え警告するヴィランに引合は嘲笑うような顔で吐き捨てる。

 

「折れるもんなら折ってみろ。首の骨折った瞬間にお前の全身を引きちぎってやる」

 

睨み合うヴィランと引合。一色触発、その光景に八百万と耳郎が息を呑む。その瞬間

 

「 か か っ た な あ ほ が ! 」

 

「何を……ガッ!? 」

 

拳大の瓦礫がガツンと良い音をあげヴィランの後頭部に直撃し、意識を刈り取る。倒れる瞬間にヴィランの魔の手から解放された上鳴は八百万達の元へと転がり込む。

 

「ヴィランに人権はナァイ! 降伏しろってわざわざ言ってやったのに無視するお前が全部悪い! 」

 

「フハハハハ! バーカ!バーカ! ヴィランなんてただのカスなんだよカス! 」

 

意識の失ったヴィランに罵倒をかます引合。女神の安全も守り、ついでに上鳴も助けヴィランをノックアウトし、気分は絶好調。そんな引合の背中に魔の手が近寄り始める。

 

「いい加減に……しろッ! 」

 

その瞬間、引合の背中から全身に爆音が響き渡る。

 

「ウゲァァァァァァァッ!? 」

 

耳郎響香 個性『イヤホンジャック』

 

耳たぶが長いコード状になっている。左右それぞれ6mまで伸ばすことができるぞ!最大の直径は12m! コードの先端にはプラグが備わっており、プラグを挿した対象に自身の心音を爆音の衝撃波として放つことができる!

 

「例え嘘でもそんな事言うのはどうかと思うよホントにびっくりしたんだから! 」

 

「耳郎さん……聞こえてません。白目剥いてます」

 

「えっ! 嘘!? 」

 

「ウエエ……」

 

余談ではあるが、八百万が声をかけながら肩を揺さぶると即復活したらしい

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