友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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閉話 相澤消太とオールマイト

 

「は……? 」

 

いきなりの事に理解が出来ず困惑するオールマイトの姿を見て肩を竦める。目に固い決意を浮かべ、不退転の意志を持ち、相澤は言葉を続けた。

 

「あぁ。オールマイトさんの後継者は既に存在している事もワンフォーオールも継承済みだって事も全て理解してます。そうですね……言い方を変えましょう」

 

緑谷出久が持つ個性を俺が引き継いでも良いですか?

 

今度こそ完璧にオールマイトの時が止まった。

 

「これから起こりうるであろう戦い……その責はただの一生徒である緑谷出久には辛い事となるでしょう。敵はダブルスとオールマイトが死力を尽くし、己の殆どを捧げて尚足りなかった怪物。そんな奴との戦いでワンフォーオールを持つ者を導入しない等、愚の骨頂」

 

そんな戦いに緑谷出久を参加させる訳にはいかないでしょう。と相澤は言葉を纏めた。オールマイトとて仇敵であるオールフォーワンが生きていたのだとしたら自分が戦う覚悟はある。だが、それと己の後継者に関しては話は別だ。

 

「しかし……私は彼の在り方だからこそワンフォーオールを引き継ぐに相応しい存在だと思い、力を託したのだ。そうおいそれと言葉を曲げる訳には。オールフォーワンが生きていたのならば……次こそ私が完璧に奴を……」

 

拳を握り締め、そう言い切ろうとするオールマイトの言葉を途中で遮り相澤は言葉を発する。オールマイトの言葉に心底呆れたような声色で。

 

「貴方の意志を継ぐ者……そんなのは全てが終わった後で出来るでしょう。合理的じゃない、合理的に考えるならばワンフォーオールはプロヒーローに譲渡すべきです」

 

暗に緑谷出久からワンフォーオールを取り上げろと言う相澤の言葉にオールマイトは眉根を細める。己が選んだ後継者が力不足だと言われたのだ。そう感じるのは間違いではない、本来ならば彼の後継者の話なのだから彼が決めるべき。だが……状況があまりにも悪かった。

宿敵、オールフォーワン。オールマイトとダブルスが命を懸けて倒した筈の怪物が、ダブルスの個性を手に入れ復活し。ダブルスの息子である引合石がオールフォーワンの毒牙に掛かっている可能性があるのだ。ダブルスを師として仰いでいた相澤消太にとって看過できない状況だ。故に、どんな手を使ってでもオールフォーワンを打ち滅ぼさなければならない。だが、その為の力であるワンフォーオールはただの子ども、緑谷出久に託されていた。彼からすれば非合理を通り過ぎて最早理解不能な状況だ。力なき勇者が成長し魔王を打ち倒す英雄譚ですらここまで酷いスタートはないだろう。

 

オールフォーワンを倒す為にはワンフォーオールの絶対的な力が必要不可欠。しかしその力を使いこなす者は弱体化しオールフォーワンはかつて立ち塞がった者達の力を手に入れ強化されている。

頼みの後継者は未だ個性を使いこなせい所か魔王に心を切り刻まれた。このままでは勝てない、相澤はそう確信していた。

 

「ワンフォーオールを即座に使いこなす器と己の鍛え上げた個性。トップヒーローならば皆、誰もが持っている筈。貴方のようにとは言いませんがヒーローならば誰もが自己犠牲の覚悟を決めています。ベストジーニスト、特に彼はあなたのように人々の主柱となるべく日々ヒーロー活動を行っています。俺が駄目なら彼でも良いでしょう」

 

「プロヒーローが駄目ならばトップヒーローよりは実戦経験の少なさに少々頼りなさはありますが雄英BIG3の1人である通形ミリオ、彼でも良いでしょう。彼ならばワンフォーオールを即座に使いこなし、必ずやオールフォーワンを倒すと誓ってくれる筈です」

 

どちらも貴方が選んだ後継者よりはマシだと言わんばかりに言い切る相澤の首元を掴み上げオールマイトは睨みつける。

 

「ちょっ……ちょっとオールマイト!? 」

 

「ヘイヘイヘイ! 落ち着けってオールマイト! 消太! お前も言い過ぎだ! 」

 

その姿を見てミッドナイトとプレゼントマイクは慌てて止めに入るが2人に止まる気配はない。互いが互いに己の意見を曲げず睨み合っていた。

 

「彼は私が選んだ後継者だ……ッ! いくら君でもそれ以上の暴言は……ッ! 」

 

「殴りますか! なら遠慮なく殴ってください! それで緑谷出久を貴方の後継者から解放するならば俺は幾らでも殴られますよ! 」

 

「ゆっくりと後継者を育てる時間は今はない! さらに緑谷出久は今日の一件で心に深い傷を負った! これ以上ただの子どもに貴方の重荷を背負わせるつもりですか! 」

 

相澤消太の脳裏に震えながらしがみついてくる緑谷出久の姿を浮かび上がる。目の前のヴィランの死、そしてその死を無理矢理押し付けられたただの少年は、ただ震えていた。

 

あの子にオールマイト(全ての希望を背負う者)の後継者を引き継がすのは余りにも酷がすぎる。

 

「……オールフォーワンは私がこの命を持ってして私が倒してみせる! そして緑谷少年を私の後継者として育て上げてみせる! 」

 

頑として意見を変えないオールマイト。宿敵、オールフォーワンは自分が倒してみせると言い切り相澤はそれを否定する。

 

「今の貴方では出来ない! 現実を見て下さいオールマイトさん! 後継者を考え直してください! 今は巨悪と戦う力が必要不可欠なんです! 」

 

「人々には主柱が必要だ! 緑谷少年はきっとその柱になれる! だから私はワンフォーオールを彼に渡した! 」

 

「ならば貴方の意志を継ぐプロヒーローに渡すのが最も合理的でしょうが! もしも貴方という柱が消えて後継者が育ってなかったらどうするつもりですか! 」

 

「私は死なない! 」

 

意見を頑なに変えないオールマイトに相澤は業を煮やし、言ってしまった。

 

「人は死にます! それはオールマイトさん。貴方だって変わりありません! 」

 

「貴方のお師匠だってそうだったでしょう!? 」

 

その言葉を相澤が放った瞬間、彼は宙を舞った。頬に伝わる鋭い痛みを感じ取り、自分の背中に衝撃が伝わるのを感じながら壁へと衝突した。

 

「消太!? テメェ何やってんだオールマイト! 消太はまだ怪我人だろうが! 」

 

親友が宙を舞い壁へと激突する姿を見てプレゼントマイクは怒りのままにオールマイトを弾劾するがオールマイトにその言葉は届かない。ただ相澤を見据え己の主張を言い張るだけだ。

 

「私は死なない……ッ! 必ずやオールフォーワンを打ち倒し緑谷少年を私の後継者として育て上げてみせる! 」

 

「……貴方が何を言おうとも俺が緑谷出久から個性を受け取るつもりです。本当ならば貴方に納得してもらいたかったが……こうなれば話は別だ」

 

ユラリ、幽鬼の如く立ち上がり相澤は言い放つ。話はどこまで行っても平行線、ならばこれ以上の問答は無用と言わんばかりに相澤は部屋を後にしようとする。

 

「ちょっと! 何処に行くつもりよイレイザーヘッド! 」

 

慌てて止めに入るミッドナイトの言葉を相澤は背中越しに言葉を返した。

 

「……職員室です。やらなきゃならない仕事は山のようにありますので」

 

失礼します、とその言葉を最後に相澤は部屋を後にする。誰もが言葉を失い、ただ無言でオールマイトを見詰める。彼等の先にいるオールマイトはただ相澤が出ていった扉の先を見詰めボソリと呟く。

 

「私は負けん……相澤くん。私は絶対に奴に勝ち、緑谷少年を育て上げてみせる」

 

「全ての決着は私が必ず付ける…ッ! 次代に私達の負の遺産は決して残さない! 」

 

「……勝つのは私だ」

 

最後の独白は部屋の静寂に飲み込まれるように消えていく。この日の会議はこれで終わった。相澤消太とオールマイト、彼等に溝を作りながら。

 




よく分かる今回

相澤「緑谷出久を後継者から解放して(ハート)」

オールマイト「は?(威圧)」

相澤「は?(威圧)」
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