友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか? 作:オティンティン大明神
あの話にどちらが悪いなんてないんですよ……互いに譲れないものがあったんです。まぁ!それをもっと上手く書けなかった自分が悪いんですがねHAHAHA!
引合出して『その時不思議な事が起こった』を連発してやりたい()嘘です。プロローグなのでくっそ短いマンですがどうぞ
グラントリノ
『──私の力、ワンフォーオールを預けたいと思える奴を見つけた』
嘗て平和の為に戦う女がいた、その女は何時も笑みを絶やさず人々の為にあらんと悪と戦い続けていた、力になりたいと思った。正義という言葉はアイツの為にあるとも思えた。
『この世界には主柱となる存在が必要です。そんな存在に私はなります』
そんな女の元に一人の餓鬼が転がり込んだ。今どき珍しい『個性』を持たない餓鬼だったが、ガッツと根性だけは人一倍ある餓鬼だった。女に頼まれ俺は餓鬼を毎日血反吐が出るまで扱きに扱いた。何処かで泣き言でもぬかすかと思えば餓鬼は文句の一つも言わずに己を鍛え抜いた。
餓鬼はメキメキと力を付け、色んな奴らの目に止まった。餓鬼の力を羨望し追い続ける者、餓鬼の人間性に惹かれた者。そんな奴らの中でアイツらは少し変だった。
『──俊典ってさ。限界なんか知らんって感じで走り続けてるから俺達が知らない場所で倒れて死んでそうなイメージしかないんだよな』
『心配になっちゃうよね。まぁ、こんな事を本人に伝えたって笑いながら問題ないって言うだけだろうけど』
アイツらは餓鬼を支えてやりたいと言っていた。自分達に名声は要らない。ただ餓鬼の負担の少しでも背負ってやりたいってな。餓鬼はただ願いを叶える為に走り続け、アイツらはその背中を押し続けていた。
あの餓鬼に、ヒーローなる以外の才能以外全てを母親の腹の中に忘れた奴にあんな出来た友人達が出来るなんて奇跡だと思った。実際奇跡だったらしく、餓鬼の負担を背負うとする奴はアイツらを含めて片手の指で数えるくらいしか出てこなかった。
餓鬼は自分の夢を叶えた。NO.1ヒーロー、平和の象徴と呼ばれる存在となり誰もがアイツの存在に安心と信頼を覚えるようになった。
そんな中で悲劇は起きた。黎明期から存在するヴィラン、ワンフォーオールの継承者達が立ち向かうべき存在が餓鬼の前に立ち塞がった。
女は既に死に、女の残した言葉だけが俺の原動力となっていた俺と平和の象徴となった餓鬼、そしてアイツらでその存在と戦った。三日三晩の激戦の末、アイツらは勝利した。
だが……代償は大き過ぎた。
餓鬼は力の大半を失い、アイツらは力の全てを失った。
『……グラントリノ。もしも私に何かがあった時、俊典の事を頼んでも良いか?』
女の言葉には何をいきなりと困惑した。死を覚悟し決意に溢れた顔、俺は圧倒され半ば条件反射で約束した。
時は流れ、アイツらの言葉は女と似ていた。
『頼む! 頭なら幾らでも下げるし靴なら幾らでも舐める! だから……どうか俊典の奴をお願いします! 』
何故と聞いた。力が無くなろうともお前らと餓鬼の関係は変わらない筈だ。だからこそお前らはそのままで良い、お前らがいるだけであの餓鬼の戦う力になる筈だと。そんな言葉にアイツらは泣きそうな顔になりながら頭を振り言葉を続けた。
『……私達ではもう駄目なんです、あれから俊典に連絡が取れなくなってしまいました』
その時、初めてアイツらの泣きそうな顔を見た。悔しさと怒りが混じり、どうしようにもどうにも出来ないと言わんばかりのあの顔を。
『私がもっと強ければ全て守れた筈なのに……って。俊典はそう思ってるんだと思います。俊典は責任感が強いから私達の事まで背負ってしまったんです……もう対等ではいられない。私達が背負いたくとも背負えなくなりました』
何を馬鹿な事とは言えなかった、俺もあの時から餓鬼からの連絡がサッパリと途絶えてしまっている。
『お願いします! どうか私達の代わりに俊典を! アイツを助けてやってください! 貴方にしか頼めないんです! グラントリノ! 』
分かった、俊典の事は俺に任せろ。
思わず口から出た言葉に俺は笑ってしまいそうになった、状況こそ違えど俺はまた背負ってしまった。女の意志、そしてコイツらの願いを。
……俺だけは最後まで背負い切らなければならない、託された物は決して軽くはない。
「──雄英高校にヴィラン乱入か……俊典の奴め。弛んどるぞ」
朝のテレビはヴィラン連合とやらがUSJに侵入したという内容ばかりだ。幸い死傷者は出なかったようだが精神的にダメージを負った者も少なからず存在するようだ。
「……雄英。確かアイツらの餓鬼が居るはずだな」
確か……前に来た手紙にそんな事が書いてあった筈だ。
「──約束しちまったしなぁ……行くしかないよなぁ」
俺の背中には女の意思とアイツらの願いがある。そろそろ俊典の奴にも後継者の1人や2人は見つかっただろう。ヒーロー以外の才能全てを親の腹に忘れた男に後継者を育て上げられるとは到底思えん。馬鹿みたいに自分の経験を語って困惑される姿が目に見える。
「行くか……雄英」
教員免許はまだあった筈、助けになってやる時が来た。電話を掛ける、勿論電話先はあの馬鹿だ。
「もしもし! 俊典か!儂もそっちで教師やるから手回し頼むぞ! 」
久しぶりに俺の言葉を聞き、困惑する馬鹿を無視して電話を切る。馬鹿から着信が山ほど来るが全部無視して電話線を引っこ抜く。こうすりゃアイツも腹を括るだろ。ついでに根津の奴に話を通す筈、これで問題ない。
「確か……石だったか? アイツらの餓鬼だ。どんな奴かは大体想像がつく、まぁ会ってみてのお楽しみだな」
手紙では教育をちょっと失敗したと書いていたが、恐らく誤差の範疇だろう。オールマイトの後継者と一緒に扱いてやらんこともない。
「待っていろよ俊典」
敵にはめっぽう強いくせに身内には意気地無しで臆病なお前も有精卵共と一緒に叩き直してやる。