友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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特別講師 空彦

偉大なる根津校長先生閣下からのお話が終わり、開放された俺は1-Aへと足を進めていた。偉大なる閣下は俺の愚行をお許しになるらしく、その代償として俺に雄英体育祭で大活躍しろと仰られた。

偉大なる根津校長先生は良く分かっていらっしゃる、当然俺は体育祭で無様を見せられないので大歓迎の代償だ。

 

「体育祭は観客と生徒と先生に目にもの見せてやるぜぇ……」

 

と、1人テンションを上げているとA組とB組の生徒達で言い争いをしていた。なんだなんだとその場を見学しに近づいて行く。

 

「ハハハハ! USJでは大変なご活躍をしていたみたいだねぇA組ィ! だ け ど 体育祭ではそうはいかないよ! 体育祭は僕達B組が全力を以てA組を潰させて貰うからねぇ! 」

 

フルスロットルで他人を見下しているなんかめっちゃくちゃ面白そうな奴がB組にいた。正直見た瞬間に気に入ったレベルだ。コイツは面白い、そう確信した俺は息を潜め、その言い争いを見学する。

 

「アァ! 黙れ糞モブ! 黙って失せ死ね! 」

 

その言葉を聞き、中指を突き立て威圧する馬鹿。あの面白い奴の対戦相手はどうやら爆豪らしい、これはどうなるのか見物だ。

 

「……アレアレアレェェェッ!? そういう君はヘドロ事件の被害者じゃないかぁ!? 先日のUSJでの一件と良い……君ってヴィランを集める体質なんじゃないかなぁ!? あぁぁぁ恐ろしい! 君のせいで僕達B組も被害を被ったらやってられないよ! いやぁほんと怖い怖い! 」

 

「テメェ……今なんつった? 」

 

やばいあのB組の奴くっそ面白い、あの向こう見ずの煽り方。まるで何処ぞのモテ男を見ているようだ、そしてその煽りに完全に乗せられる馬鹿豪。この程度の煽りも耐えられないとか生きていけないぞ?

 

「もう1回言って欲しいのかい!? さっきの事すら忘れるとかとんだ鶏頭だね! その髪型は鶏のモノマネかい!? もう一度言ってあげるよ! 君みたいなヴィランを集める奴のせいで僕達まで被害を食らってしまったら堪らないって言ったのさ! 」

 

そう言い切り相手を見下すように笑うキレキレの煽り、なんて完璧な人材なんだ。A組に足りないのは彼だ、このキレキレ感は非常に好ましい。

 

「殺す……ッ! ぶっ殺す……ッ! 」

 

両手を爆発させながら阿修羅の形相で近づいて行く爆豪。手を出そうとした時点でお前の負けだ、そしてそんな爆豪を止めようと必死に切島が動きを抑える。だが、爆豪の力の方が上らしくドンドンと面白い奴へと近づいて行く。

 

「やめろって爆豪! あぁもうお前らも手伝え! 」

 

切島の言葉でA組の男子達が爆豪を止めに入る。そんな姿を見て面白い奴は見下すように笑った。

 

「アハハハハ! A組の彼は自制心が全くないみたいだね! 我慢出来ずにすぐ切れる子どもじゃないか! 」

 

「お前ももうやめろって物間! マジでアイツの顔やべーじゃん! そろそろ殺されそうだぞ! 」

 

面白い彼の名前は物間というらしい、覚えておこう。そんな物間君はクラスメイト達に揺さぶられながら教室へと引きづられていくがそれを気に介さず笑い続けた。

 

「アハハハハハハハハ! こんなのが相手だなんて僕達の勝ちは確定だね! 自制心のない子どもだなんて手のひらで簡単に踊らせれるじゃないか! 」

 

アハハハハ、アハハハハ。と笑い声を廊下へ残し物間はBの教室へと叩き込まれた。あんな面白い奴がいるなんて俺もBに行きたかったと少し感じつつ、A組の教室へと近づいて行く。

 

「殺す……ッ! 殺す……ッ!消し飛ばしてぶっ殺す……ッ! 」

 

「ああもう落ち着けって爆豪! 誰かコイツを何とかしてくれーっ! 」

 

爆豪の足を抑えながら悲鳴にも似た絶叫をあげる上鳴の声を聞き、爆豪を止める為に近づいて行く。

 

「おい爆豪、言い争い完敗じゃねぇか。少しは落ち着け馬鹿」

 

「アァン!?ぶっ殺すぞテメェ! 」

 

俺の言葉に超反応で此方を向き睨み付けてくる爆豪。そんな爆豪のデコを叩き地面と引き合せる。すると心地よい音を鳴らし爆豪が地面に額を付けた。

 

「……テメェ、マジで殺す。アイツの前にお前を殺す。絶対殺す殺す殺す殺す」

 

「ボキャブラリー貧弱かお前」

 

そう言い残し男子連中に散るように手を振る。すると何とも言えない顔で全員が爆豪から離れていった。

 

「石……大丈夫か? 」

 

「どうしたショート。俺は今、絶好調だぞ? 」

 

心配するように此方を見てくるショートにそう伝えながら俺は席へとつく。アイツは少々心配性だから昨日の俺の奇行を知って心配になったんだろう。安心して欲しい、多分もうない。

偉大なる校長閣下から慈悲を頂き、さっきの面白い奴を見つけた俺は機嫌が絶好調に良い、そんな俺を見て女神が声を掛けてくる。

 

「……先程の職員室に呼ばれてましたけど、随分機嫌が良くなってますね? 」

 

「あぁ……そりゃさっきから良い事が連続で起きたから。嫌でも機嫌が良くなるって事だよ」

 

頭の上にはてなマークを出しながら『そうなんですか……? 』と納得しようとする女神の愛らしさに感謝しつつ、俺はHRの鐘が鳴り、朝の挨拶を元気良く行った。

 

「えー……今日は緑谷と峰田が休みだ。ついでにオールマイト先生は急用で今日は来られない為、今日のヒーロー基礎学は特別講師に来て頂く事になった。ヒーロー歴何十年の大ベテランだ。お前ら、くれぐれも無礼のないようにな」

 

オールマイト休みとかヒーロー基礎学の楽しみ全部なくなったんだが?

 

───

 

ヒーロー基礎学。本来はオールマイトが担当している筈なのだが、何故か今日は休みらしく特別講師が来るとの事となる。皆が更衣室で着替え、体育館γへと向かう。

 

「特別講師って誰だろうねー! 」

 

「プロヒーロー歴何十年の大ベテランなんだろ!? すっげぇ人だと思うぜ! 」

 

芦戸と切島のそんな会話を皮切りにA組の生徒達は思い思いに未だ姿見ぬ特別講師がどのような人なのかを話し合う。

 

「こう……筋骨隆々って感じなんじゃね!プロヒーローにも滅茶苦茶強い爺さんのヒーローいたじゃん! 確か……ヨロイムシャとかいう爺さん! 」

 

「いや……案外ヒョロヒョロかもしれねぇぞ? 」

 

「いーや! 絶対ムキムキだね! 」

 

まだ見ぬ特別講師は筋骨隆々だと言い張る上鳴とその逆ではないかと言う瀬呂。そして

 

「女性かもしれないよー! ミステリアスな美魔女みたいな人かもーッ! 」

 

「僕みたいに英国紳士のように紳士的でキラめいてる人かもね☆」

 

「何十年もプロヒーローをやってるなんて何て凄い人なんだ!うおおおおっ!燃えてきたぁぁっ! 」

 

敢えて女性の可能性を出す葉隠に英国紳士のような人かもしれないと言う青山、そして取り敢えずテンションが上がる夜嵐。様々な憶測が飛び交いながらも彼等は体育祭γへと辿り着いた。

 

「はい、じゃあヒーロー基礎学始めるぞ。取り敢えず今日の特別講師の方に挨拶をして頂くから」

 

授業が始まり相澤がそう言うも、その特別講師の姿は一向に見えず生徒達はやんやんやと話し始める。

 

「もしかして葉隠みたいな姿が見えないヒーロー!? 」

 

「もしかしたら『アン○マン』みたいに小さくなれるヒーローかもしれねぇ! 」

 

未だ姿を見せぬヒーロー。興奮が止まらない生徒達、そんな中で数人がこの場でない何処かへと視線を向けていた。

 

「……チッ 」

 

ある方向を見ながら不機嫌そうに鼻を鳴らす爆豪。

 

「……もしかしてアレか? 」

 

爆豪と同じ方角を見据えてそう洩らす轟。

 

「うわっ! 凄い速いな! 俺よりもずっと速いぞ! 」

 

目を輝かせ、感嘆の意を唱える夜嵐。そんな3人の声を聞き生徒達はその方向へと顔を向けた。体育館γ、障害物が広がるステージを閃光の如く駆け、四次元的立体機動で空を舞い、今にも此方に辿り着く人影がそこにあったのだ。

閃光の如く宙を駆け、相澤の隣に着地する。その存在に生徒達の目は釘付けになる。自分達の予想とどうだったのか、それを確認した瞬間、生徒達の目が驚愕一色に包まれた。

 

「うーん……お前らの教育指針を読んで試してみたが……これなら実践訓練したほうが速くないか? 」

 

「……グラントリノ、今回は貴方のやりたいようにやって下さい。どうせオールマイト先生も大体そんな感じでやってますんで」

 

「しかしなぁ……」

 

そのプロヒーローは相澤の腰の高さ程度しか身長がなかった。皺まみれの顔を不服そうに歪ませるその姿を見て誰かが呟いた。

 

「えっ……ガチのおじいちゃんじゃん」

 

言外にこんな爺さんで大丈夫なのかと言わんばかりの言葉を上鳴が呟いた瞬間、グラントリノと呼ばれた老人の姿が消える。

 

そして上鳴の身体が宙を舞い地面へと叩きつけられる。

 

「上鳴ィ!? 」

 

切島の悲鳴が響き渡る。そんな声に追従するように相澤はやる気のなさそうで言葉を発した。

 

「お前ら……その方に存分に揉んでもらえ。その方はオールマイトさんを育て上げた傑物にして、俺の知る限り最強格のプロヒーローの1人だ」

 

「最強格たぁ言ってくれるじゃねぇかイレイザーヘッドよ。お前の師匠達の方が俺よりもよっぽど強かったぜ」

 

「……ダブルスが自分達よりも貴方の方が強いと仰ってたんですよ。グラントリノ」

 

「アイツらは自己評価が案外低いからなぁ」

 

飄々と相澤の隣で笑う老人。先程上鳴を攻撃していた筈なのに、気付かぬ間にそこにいたのだ、生半可の速度ではない。生徒達の中に緊張が走る。

 

「取り敢えず……吐くまで実戦経験あるのみよォ! 耐えて見せろよ有精卵共! 」

 

グラントリノ、古き時代からのプロヒーローが有精卵共である生徒達を見て獲物を見る獅子の如く笑った。




取蔭切奈ちゃん可愛い……可愛くない? けどこの物語では代わりに夜嵐が入ってしまったせいであの子はいません(白目)

推薦5人にすれば良かった(半ギレ)

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