友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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全校集会

 

突然だがうちの学校の校長は変だ。

 

「えー。皆様、おはようございます。季節の変わり目により最近は気温の変化が著しく、体調を崩す生徒もチラホラみられます」

 

言ってる事は全くもってマトモなのだがやはり変なのだ。何が変だというと。

 

「まぁハムスターである私には毛皮があるので寒くないんですけどね」

 

この学校の校長先生はハムスターである。いくら個性社会と言ってもやはりこれは可笑しいのではないのだろうか。

今日の朝は全校集会の日。体育館にミチミチに生徒が集まり、長ったらしい教師の話を聞かなくてはならない拷問に等しい日だ。

 

「それではカゴの中から失礼して話を続けたいと思います」

 

何故カゴの中に入ったハムスターの話を聞かなくてはならないのか。それで良いのか校長先生。貴方一応人間ですよね?

 

「三年生の皆様は学業に精を出し、自分の行きたい志望校への試験対策を行っている事でしょう。あと一年もない中学校生活。勉学に励むのは大変素晴らしいですが、友達と絆を育むのも忘れてはなりませんよ?」

 

「友情というものは大切です。育まれた絆はどんなことがあろうと切れる事はありません。例え十年間あってなくともお互いに覚えているものなのです」

 

「関係ありませんが最近お歳暮でひまわりの種を貰いました。さすがのこれには先生も友情を疑いましたが、きっと私の事を思って送ってくれたのでしょう」

 

相手はなんでひまわりの種を送ったんだよ。校長先生人間扱いされてないですよ。ただのハムスター扱いですよそれ。

 

「二年生はまだ自分の将来をイメージ出来ていない子も多くいるでしょう。安心してください。その気持ちは皆一緒なのです。これからまだ時間はたっぷりあります。焦らずゆっくりと自分の夢を見つけてください」

 

「人生何があるか分かりません。私が学生の頃はケースに入ったまま皆さんにお話する大人になるとは想像もしてませんでした」

 

後ろの大和が「当たり前だろ」と呆れたような独り言を呟き、俺も確かにと頷く。人生何があるか分からない。イケメンで天才な俺が全くモテない事もあるのだからこの言葉には驚くほどの説得力を感じた。流石は校長先生、この学校の長であると言えよう。

 

「次に一年生ですが。貴方達はまだこの中学校に入ったばっかりの新人です。貴方達は先輩の姿を見て、その姿から様々な事を学んでください」

 

「名を伏せますが先日私のカゴの近くにマタタビを大量に置いた三年生の馬鹿二人のようにはならないで下さい。こんなことを言いたくありませんが、馬鹿をやるのは結構ですが度を越すとただの馬鹿です」

 

「ショート、大和。お前ら言われてるぞ」

 

「いやいや引合と轟だろ?俺はそんな事をした覚えないんだが?」

 

「俺はそんな事した覚えない」

 

即座に犯人に気付いた俺は下手人共にそう言うも全員が全員自分はやっていないと言い張り、この事件ははやくも迷宮入りした。

 

「さて、話は変わりますが。最近学校内でいじめがありました。校長先生は非常に悲しいです」

 

その言葉に体育館のあちこちでざわめきが聞こえ始め。先生陣も聞かされていなかったのか絶句し、生徒を注意出来ずにいる。

 

「非常に悪質で下手をすると命に関わっていました。校長先生は非常に悲しいです」

 

正直この学校でそんな事態が起こると思わなかった俺達は固唾を飲んで校長先生の言葉を拝聴する。イジメ、どの学校にもあって不思議ではないがまさかこの学校で、しかも命に関わる事態になる事が起きていたなんて。

 

「怒らないのでネズミ取りを置いた人は後で正直に名乗り出て下さい」

 

多分それで死にそうになるのは校長先生だけだし、イジメでもなんでもないと思います。そして先生の一人が顔を真っ青にしているのは何故なのかさっぱり分からないが、あの先生は後でこっぴどく叱られるのだろう。そう思った。

 

「それでは生徒指導の怒江洲先生。お願いします」

 

校長先生の話が終わり、カゴが降ろされ別の先生が俺達の目の前に立つ。生徒指導の怒江洲先生。通称ドSババアだ。その特徴は見るだけで幼児が泣き叫ぶような鋭い三白眼。その目で生徒を一望すると新しく入ったばかりの一年生の誰かが怯えて泣いてしまう事が良くある。

今日も誰かが泣いていた。正直可哀そう。

 

「えー生徒指導の怒江洲です。最近個性を使って学校に登校する馬鹿をよく見かけます。禁止されているので止めましょう。次に見たら生徒指導室で指導します」

 

そう言いながら俺を見るドSババアの視線から逃れる為に横を向く。俺は毎朝、個性の鍛練と登校時間の短縮の為、個性を使い。大ジャンプして登校している為定期パトロールをしているプロヒーローに良く注意される。やめるつもりは毛頭ないが。

 

「まぁ…反骨精神、私は好きよ」

 

ネットリとした声を出しながら言葉を続ける。

 

「イキッてる子どもに指導するの、私大好きだから」

 

あっまた悲鳴が。

 

「じゃあ次。信条大和くん。ちょっと聞きたい事があるから後で生徒指導室に来るように」

 

後ろから声のでない悲鳴をあげた馬鹿にお悔やみ申し上げる。可哀そうなモテキングはこのドSババアに気に入られている。前に呼び出されて地獄をみたらしいが今回はどんな目にあうのだろうか。ザマァみやがれ。

 

「それと…もうすぐ遠足ですが、もしも遠足で馬鹿をやらかしたらその場で指導するつもりなのでそのつもりでお願いね?」

 

そういえばそんな時期だったなと思い出す。毎年恒例の遠足、去年は植物園で写生大会で、大和が蚊に刺されまくり大惨事になっていた事を思い出し思わず吹き出してしまう。後ろの大和がそれに気付き睨んでいるのが分かったが無視して小さく笑う。確か今年は動物園。異性にモッテモテな大和くんはいったいどうなってしまうのだろうか。楽しみである。

 

「あー…後。みんなに内緒で校長先生にひまわりの種をあげてる子は校長先生にエサをあげすぎたらブクブクに太るのでやめるように」

 

いや誰だよ。校長先生にエサをあげてる猛者は。ケースの近くにマタタビ置きまくった俺と大和でもそんな真似出来ねぇわ。

 

「…今日もあげたかった」

 

お前かよショート。

 

うちの校長先生は可笑しいと始めに言ったがあれは訂正する。大体皆可笑しい。

 

「…家でハムスターでも飼えば?」

 

「糞親父が許してくれない」

 

「あっ…」




校長先生 個性『ハムスター』
ハムスターになれる。可愛い
しかし声はおっさんである。可愛くない
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