友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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⚠ オリジナル展開バリバリです それが嫌な方は云々


緑谷出久 1/9 ①

 

──夢を見た、自分の記憶ではない誰かの記憶を。その夢の中で自分は姿がなく、ただ俯瞰的に記憶を眺める傍観者。

 

「──何故抗うんだ? 共に往こう、愚かで可愛い弟よ」

 

荒廃した世界で2人の男が対峙している。溢れんばかりの邪気、そこに存在するだけで世界に悪意をばら撒く存在。そしてその存在と対峙する存在は、弱々しくも眼前の存在を睨み付けるその目は揺るぎなく、命を捨ててでも戦う覚悟を秘めていた。

 

「間違っているからだ。許してはいけないからだ」

 

「──の……」

 

その言葉が言い終わる前に世界が変わる。荒廃した世界は白く輝く世界へと変化する、そこでは自分の姿がある。白く輝く世界の中心、光が集まる場所に1人の女性が立っていた。

 

「君が……俊典の次か。アイツが選んだ男にしては少々頼りなさそうだ」

 

そう朗らかに笑う女性を自分は知っている。USJでヴィランを殺し、担任をいたぶり、クラスメイトを……幼馴染を蹂躙した悪意の権化。だが、自分には眼前の存在があの悪意の権化と同じ存在とは思えなかった。

朗らかに笑う女性から清く正しい善性の気配を感じ取ったのだ。この人はあの恐ろしい存在とは違う、そう確信する。

 

「──しまった、色々と話したいが時間がない。手早く終わらせないと」

 

そう言いながら近付いてくる女性をただ呆然と見詰めていると、女性は溢れんばかりの笑顔で此方を見詰め返した。

 

「良いか? どんなに苦しい事があったとしても笑え。そして己の胸に問いかけるんだ」

 

返事を返そうとする緑谷を無視して女性は緑谷の胸に拳をそっと添える。

 

「──全てはそこが教えてくれる。自分の始まり……原点って奴さ」

 

頑張れよ……九代目。

 

その言葉を最後に世界が極光へと包まれる。女性の姿が見えない、聞きたい事すら聞けず意識が現実へと浮上した。

──夢から覚める、朝日が窓から部屋を照らし、小鳥が朝の訪れを知らせた。

 

「……学校、行かなきゃ」

 

昨日母親に嘘をついてズル休みしたのだから、今日は行かなくてはならない。そう思い寝巻きから制服へと着替え始める。肌着を脱ぎ

 

「……あれ? 」

 

自分の胸に色濃く付いた紋様に疑問を抱きながらも、これが悪い物ではないと感じ、気にせず着替えを続行した。

 

朝は誰にでも訪れる、緑谷出久の一日が始まる。

 

「デクくん!休んでたけど大丈夫!?」

 

「うん……大丈夫。ありがとう麗日さん」

 

心配するように声を掛けてくれた友人に挨拶をしながら緑谷は自分の席に着く。

 

「……あのような事が起きた後だ、身体が疲れても無理はない。だが!安心してくれ!この飯田天哉、俺が委員長である君のサポートをしよう! 」

 

「するのは副委員長のヤオモモじゃねーの? 」

 

飯田のそんな言葉に上鳴の空気の読めていないツッコミが入る。その言葉に飯田は盲点だったと言わんばかりに頭を抱えた。

 

「しまった! 副委員長が委員長のサポートをするのが当然! ならば俺より八百万君の方が適任……ならば俺はどうすれば!? 」

 

1人思考の渦に取り込まれる飯田にツッコミを入れながら砂藤力道が大きく叩き、緑谷へと話し掛ける。

 

「……別にお前もサポートしても良いんじゃねーのか? 緑谷! 何かあったら俺にも役割任せてくれよ! 力だけはあるからな!俺は」

 

ふん! と力瘤を作り自分の筋力をアピールする砂藤の言葉に他のクラスメイト達が合いの手を入れる。

 

「そうだぜ緑谷! 困ったら俺達にドンドン頼れよな! 」

 

「俺に出来ることなら……まぁ、任せてよ」

 

「初めての委員長なんだから分からないことばっかりでしょー! 色々教えるよ! 先ずは服を脱ぎます! 」

 

切島、尾白、葉隠。1人自分以外がやったら即通報の行為を平然と宣ったが、この場にいる皆がクラス委員長初心者である緑谷の力になると皆が肯定した。

 

「何!クラス委員長は服を脱がなくてはならないのか!? 」

 

そんな和気藹々な空気の中に訳の分からない事を抜かしながら教室へと入ってくる存在がいた。緑谷は彼の事を良く知っている、昨日の一件で正直顔を合わせずらい存在、引合石だ。

 

「……いや、脱ぐ必要ねーから。お前、男の脱衣シーン見てーのかよ? 」

 

「そりゃ無理だ。見たら身体中から出血して死ぬ! 」

 

そんな引合へと呆れたように言葉を返す瀬呂の言葉を聞き、引合は先程の言葉を凄まじい速度で撤回した。

 

「じゃあ死ね 」

 

さらに会いたくない存在の声が教室に響く。緑谷の幼馴染、爆豪勝己の声だ。その声にピクリと反応した緑谷をジロリと睨み付けた爆豪は不機嫌そうに引合へと話し掛けた。

 

「おい……今日の放課後、俺とやれや」

 

闘志を漲らせた目で引合を見ながら宣言する爆豪の言葉を聞いて引合はノータイムで返事を返す。

 

「めんどい。今日は嫌だ」

 

「死ねぇ! 」

 

「甘い! 切島ガードッ! 」

 

拒絶と共に放たれる爆破の一撃。それをクラスメイトである切島鋭児郎を盾にして防ぐ。声をあげる暇もなく爆破を顔で受けた切島はくぐもった声で怒りの絶叫をあげる。

 

「──ベェ! 俺じゃなかったら怪我してたぞお前ら! 聞いてんのか引合! 爆豪! 」

 

「違うんです先輩! 悪いのは全部あの爆豪なんです! 信じてください! この曇りなき眼を! 」

 

引合の曇りなき眼を見て切島は怒りを放つ。

 

「おっ……おう。そうなのか……って、先輩でもないし盾にしたお前も普通に悪いわ! 」

 

「うるせぇ。邪魔だクソ髪」

 

不機嫌そうに自分の席へと向かおうとする爆豪を見て切島はさらなる怒りを爆豪へと放つ。

 

「お前も悪いからな! むしろお前が9割悪いから! 聞いてんのか爆豪おいコラ! 」

 

「うるせぇ死ね」

 

「聞けよ問題児共! 1-A問題児No.1とNo.2! 」

 

そう言いながら爆豪の元へと近寄る切島からコソコソと離れた引合は緑谷の元へと近づき、元気よく朝の挨拶を放った。

 

「グッモーニン緑谷! 調子良さそうで……良いか分からんが……まぁ。うん! 」

 

「引合君! 君には言いたい事が山のようにあるんだ! さぁこっちに来たまえ! 」

 

「ヒェッ」

 

眼鏡を光らせ、引合を捕まえた飯田はズルズルと教室の外へと引合を連れ出していく。なすがままに連れて行かれる引合はさながらもうすぐ売られる子牛の姿を彷彿とさせた。

 

「──クソデク。テメェちったぁマシになったかよ」

 

「かっ……かっちゃん」

 

爆豪が緑谷へと話し掛ける。昨日の1件がまだ頭の中でとぐろを巻いている緑谷はその顔を見ることが出来ずに身体を震わした。

 

「ちっ……木偶の坊が! そのまま死ね! 」

 

その姿に苛立ちを隠さず。爆豪はそのまま席へと向かい、そのままドカリと座り込む。

 

「……大丈夫か緑谷? おい爆豪!お前緑谷が何やったって言うんだよ! 」

 

爆豪の背中を追い掛けてた切島が先程の状況を見ていたのか緑谷を労りながら爆豪を非難する。それを聞き、爆豪は何気なく言葉を返した。

 

「あぁ……? 何も出来てねぇから言ってるんだろうが。黙ってろクソ髪、出来ねぇなら黙って死ね 」

 

「……お前なぁ」

 

呆れたように頭を振ると、緑谷を労るように肩をポンと叩き、切島は自分の席へと戻る。

 

ワイワイと賑やかな朝の教室、そこに新たな生徒が入ってくる。

 

「おう峰田! お前昨日は風邪でも引いてたのか!? 」

 

峰田実。昨日緑谷と同じく学校を休んでいた存在に、上鳴は元気よく声を上げた。だが、峰田の返事はない。身体を震わる峰田を見てクラスメイト達は困惑したが、突如クワッと目を開き峰田は声高らかに叫んだ。

 

「……オイラは峰田じゃねぇ! ゴッド峰田だ! 」

 

「どうした峰田! 風邪で頭がついにイカれたか!? 」

 

「昨日……引合との電話でオイラは悟った。人はどうしようもない恐怖に陥る事がある。その時に、人を助けるのはエロス……つまりエロスこそが全てを救う存在、つまりエロスを追求し、その果てに辿り着いた者こそが神だと」

 

「つまり……オイラこそ神だ」

 

その言葉に殆どの者達の心が一つになる。

 

「(何言ってんだコイツ? )」

 

訝しむような顔で見てくるクラスメイトを見て峰田は言葉を続けた。

 

「お前らはまだこの領域に辿り着いてない、だからオイラの言っている言葉が分からないだろう。だがオイラの言葉を理解する時が何れ来る」

 

そう言い残し峰田は自分の席に向かう。その途中で緑谷を見て

 

「良いか緑谷……おっぱいは良いぞ」

 

と一言だけ残して席へとついた。突然の峰田の変貌に混乱するクラス、元凶である引合を探しに教室を出る一部男子。教室の中は最早カオスそのものだった。

 

そんな混沌に混沌をぶち込んだ鍋の中のような教室に相澤が入ってくる。

 

「おいお前ら……さっさと席に」

 

「先生! 引合のせいで峰田が狂いました! 」

 

「オイラは峰田じゃねぇ! ゴッド峰田だ! 」

 

その一部始終を見て相澤は心底疲れたように溜息を吐く。

 

「ほっとけ。時間が経てば直る……多分な」

 

因みに……峰田は今日一日ゴッド峰田であった事を此処に記しておこう。

 




全国の峰田ファンの皆様に此処に謝罪を持って云々
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