友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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くっそ短いですが今回はここまで



緑谷出久1/9 ④ 闇の王

 

憧れたのは最高のヒーロー。どんなヴィランにだって背を向ける事なんて決してなく、どんな強敵だってその拳で吹き飛ばすコミックのヒーローが現実に現れたような存在。

海岸公園の道を歩きながら自分の奥底にあるものが溢れ出てくるのを感じた。

 

オールマイト、最高のヒーローと共にここで己を鍛え上げ雄英高校へと入学する為、ヒーローの第一歩を踏み出す為に日々トレーニングを繰り返した。

 

『貴方のようなヒーローになりたいんです!恐れ知らずでどんな時でも笑顔で助ける! 貴方のような最高のヒーローに! 』

 

最高のヒーローになりたい、それだけが僕の原動力だった。何故忘れていたんだろう、心の底から願っていた事だったのに。

 

潮風が全身を吹き抜ける。その先にある景色、大海が広がる海岸、景観を汚す物が何一つ存在しない砂浜、それを見て涙が溢れ出す。

 

『これは受け売りだが、最初から運よく授かったものと、認められ譲渡されたものではその本質が違う、肝に銘じておきな。これは君自身が勝ち取った力だ!!』

 

この力は憧れの人に認められた証。僕の始まり……1度は挫折した夢だったが、今の僕を作る原点はきっとこの海岸公園から始まった。貴方のようなヒーローになりたい、その思いが今の僕を作り出している。

 

「『ヒーローごっこ』かっちゃん……君の言う通りだよ。僕はオールマイトに憧れて、オールマイトのような人間になりたいと思っている」

 

だが……それの何が悪い?僕の願いはただ一つ、貴方のような最高なヒーローになりたい、それだけだ。開き直りと言われても構わない、僕は僕の憧れたヒーローになる。オールマイトの真似だと言われても構わない、それでも僕は彼のようなヒーローになりたい。恐れ知らずで笑って助ける最高のヒーローに。

 

「……僕はオールマイトのようなヒーローになりたい」

 

これこそが僕の原点。緑谷出久が最高のヒーロー、オールマイトの様なヒーローになると決めた誓いの日。

 

一人の少年は本来とは違う道を歩む事となる。悩み苦悩し、己のヒーローとしての道を歩んでいくであろう彼の道はここに閉ざされ、師を模倣するヒーローとしての道を選び歩んでいく事となる。

この道を選んだ少年を嘲笑する者もいるだろう。だが、彼にとっての原点はオールマイトの背中。その背中を追い続けると決めた少年にその嘲笑は決して届かない。

 

これは緑谷出久が最高のヒーローを目指す物語ではない。これは彼が憧れの存在へと目を焼かれながらも突き進む物語である。これから彼は、愚直にただひとすらに真っ直ぐ師の道を追い続けるのだろう。

その道は、本来彼が通る道とは段違いに厳しい道となるだろう。その道の第一歩となる今日のこの日、今はただ祝福する事としよう。

 

Plus Ultra! これからの彼の人生に訪れる受難に幸あれ!

 

───

 

「良いかい弔。正義とは一体なんだと思う? 」

 

闇の中で悪意が蠢く。弔、そう呼ばれた少年はため息混じりに返事を返した。

 

「──アンタが教えたんだろうが。この世にあるのは力、力こそが秩序を産み出し、秩序から正義は産まれる。だから正義とはなんだと言われたら、ただ一つ。力だ」

 

その言葉に機嫌を良くしたのか悪意は声色を良くして言葉を続けていく。彼等の会話を聞いていた妙齢の女性は、何も言わず彼等の会話を聞くだけだ。

 

「そうだよ……良く覚えていたね、これこそが原始時代から変わらない答えの1つさ『力こそが正義』だからこそ、オールマイトのような狂人がこの世界にいることが許されるんだ」

 

オールマイト。その言葉を聞き弔と呼ばれた少年の顔が憎悪で歪むがそれを気にする事はなく、悪意はただ言葉を紡いでいく。

 

「前回の件は残念だったね。だが……考えるんだ。前回の君はオールマイトを殺す、ただそれだけを考えて行動していた。周りの存在は塵芥と仮定し問題ないと考えてね」

 

その言葉で、弔の脳内に前回の一件が脳裏に浮かび上がる。不甲斐なく何も出来ず無力化された自分、気が付いたら何時もの場所で寝転がされていた。

オールマイトの苦痛に歪む顔すら見れず、ただのガキに無力化された。その事実が彼の心を蝕んでいく。湧き上がる殺意と怒り、それらはオールマイトと己を虚仮にした餓鬼に対してだ。

 

「だから失敗した。ならば次はどうする? 敵を知れ、敵の持つ全ての力を理解するんだ。そして己の力を把握し作戦を練る、それだけで次は確実に勝てる」

 

彼を知り己を知れば百戦殆うからず。悪意はそう弔に告げた。そして、その為にうってつけの舞台があると言葉を続けていく。

 

「『雄英体育祭』弔、少し見に行ってみると良い。気晴らしついでに敵の力を見極めてくるんだ」

 

「……俺一人でか? 」

 

胡乱とした視線でそう答えた弔の言葉を聞き、悪意は笑いながら言葉を返す。

 

「あぁ……今回は僕も足を運ぼうかと思ってね。一緒に行こうか? 」

 

その言葉に無言を貫いていた女性は声を上げる。

 

「『僕』も行くのかい? 僕もあの子の姿を見ようと思っているんだが、それは困る。もしも『僕』がバレたらどうするつもりなんだ? 」

 

本当に大丈夫か? そう聞く女性に悪意は楽しそうな声をあげて返事を返す、

 

「大丈夫さ、姿を変える方法なんて幾らでもある。それに『僕』は一般人として入る。弔の面も割れていない、何一つ問題ないだろう?」

 

それに『僕』がいれば馬鹿共は『僕』でいっぱいいっぱいになるだろう?と言葉を纏め、弔に言葉を掛けた。

 

「弔、アレの持つ力を良く知るんだ。そして考えろ、アレに対して自分が打てる手を。全ては君の為にある、成長するんだ」

 

闇の中で悪意は蠢く。その悪意の名はオールフォーワン、個性が人類に発現し混乱した世界の中で王として君臨した伝説の存在であり、ワンフォーオールを持つ者達の不倶戴天の存在。

 

彼こそが闇の王である。




緑谷出久、迫真の開き直り
魔王お出かけ準備の2本立てでお送りしました。

後数話で体育祭です。正直体育祭はUSJのうん倍長い可能性があります。震えて待て

後どうでも良いんですけど取蔭切菜ちゃんが好みだったので体育祭で多分出てもらいます()
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