友人が能天気な紅白饅頭なんだがキレても良いか?   作:オティンティン大明神

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よく分かる状況
引合VS轟
引合(障子)VS夜嵐、爆豪
引合(障子)VS緑谷&八百万
引合(障子)VSA組
引合(障子)VSB組

以上だ! なんだコイツバッカじゃねぇの(呆れ)


第一関門6

 

宙に亀裂が走った。熱線も、大氷壁ですら壊しきれなかった鋼の空。それが一瞬にして半壊したのだ。第一関門にいた殆どがそれを見た、自分達をあれだけ苦しめていたあの地獄絵図がこうも簡単に崩される光景を。その光景をスクリーン越しに見ていた観客達も、その一撃に言葉を奪われた。最前線で圧倒的な戦いを繰り広げる二人、彼等と同等……いやそれを超える一撃を放つ者達の登場、超常とも呼べる戦いの中に新たなる存在が入り込んだという事実に戦々恐々としながらもスクリーンから目を離せずにいた。

 

『When absorbing it's really mean by that!? 』

 

『やかましいぞマイク』

 

プレゼントマイクの悲鳴に似た絶叫がスタジアムに谺響し、イレイザーヘッドがそれをばっさりと切り捨てるがその声を他の者達が聞く余裕はない。誰もがそれを見ていた、スクリーン上に映る少年達の姿を。

 

第一関門 ロボインフェルノを3つに分断する程の巨体を持ってあらゆる鉄塊を粉砕した。粉砕されていく仮想ヴィランは大きさに関わり無く、自らを圧倒する摩訶不思議な質量を持った文字の物体に轢き潰され、粉砕され、分断された。第一関門最奥、最前線とは真逆の場所からソレを放った少年の1人は彼独特の話し方でその一撃を評価した。

 

「うーん! 流石僕! ドガーンってかんじでドギバギベキゴーンッ! ってかんじだ! 」

 

何も知らない他人が彼の言葉を聞いたとしても理解は出来ないだろうが、彼と同じクラスの者達はこの一撃が会心の一撃である事を理解するだろう。

 

この少年の名は吹出 漫我。個性『コミック』漫画に存在する擬音を質量を持った文字として生み出す事の出来る個性を持つ。

 

そして吹出と同じように文字を生み出した少年は背を大きく仰け反らせ、他者を見下しすぎて逆に見上げるような姿勢で大きく諸手を広げ笑う。

 

「アハハハ! 見てよ吹出! A組の奴ら、呆然としてるよ! 僕達B組の一撃に恐れを成したのさ! アハハハハ! 」

 

端正な顔を愉悦に歪ませ笑う姿は、彼の周りにいた者達を思わず一歩離れさせる。人が離れたのを感覚で感じとった少年は静かに背を伸ばしコホンと息を吐き、言葉を続けた。

 

「いやぁ……それにしても吹出、君の個性は凄いね。圧倒的破壊力を持ち状況に応じて様々な擬音を使い分ければ、どんな相方のサポートだって簡単に出来る 」

 

「まぁ……そんな個性だって使いこなせる僕の個性の方が凄いけどね! 」

 

金色の髪を靡かせ、溢れ出るナルシストオーラと共に声高々に笑う少年の名は物間寧人。彼の個性『コピー』触れた者の個性を一定時間だけ使う事の出来るコピー能力を持った少年だ。

 

「深淵に潜む……いざ向かわん、冥府の釜の奥へ」

 

「黒色殿の言う通りですぞ物間殿! 我らも先に向かった者達と同じように先へと向かいましょう! 」

 

獣の形相へと姿を変えたクラスメイトに触れた物間は、同じく獣へと姿を変え吹出を背に乗せ駆け出す。

 

この瞬間、登竜門のパワーバランスが著しく乱れ始めた。

 

「オラァァッ! 数が足んねぇぞ!? アァァッ! 」

 

上空を舞い、地上へと大爆発を叩き込む少年、爆豪勝己は誰よりも早く異変を感じとった。彼を取り囲む仮想ヴィランの隙間が時間が経てば経つほど大きく広がり始めている、今までなら即座に穴は塞がれていたのだが、先程の爆音と共に現れた謎の物体。あれが第一関門を横断してから仮想ヴィラン達の動きに変化が生じたのだ。

 

「……気に食わねぇ。誰だ、あの馬鹿デケェ物体を出した奴は」

 

爆豪勝己は己こそが頂点に立つべき男だと思っている。故に、自分を超える存在がいるのならば必ず討ち果たし己が頂点に立つと考えているのだ。

彼の他者より優れた視力と聴力がある存在を知覚し、理解する。その存在は自分達よりも遥か後方にいながらも高笑いし、己を馬鹿にしたような事を抜かしていた。

 

「覚えたぞ……糞金髪野郎……ッ! テメェとアイツら、全部ぶっ飛ばして俺が頂点に立つ! 」

 

物間寧人に突然のヒットマークがついた瞬間であった。この事実を知れば彼は首を全力で横に振って遠慮するだろうがもう遅い。

 

「……思い出した。糞金髪野郎……確かあの時に……ッ! 」

 

彼の頭脳がある記憶を再生し始める。それは自分が教室を出ようとした時の事であった。

 

───もう1回言って欲しいのかい!? さっきの事すら忘れるとかとんだ鶏頭だね! その髪型は鶏のモノマネかい!?

 

 

 

脳裏に閃いた光景。己を小馬鹿にした事を抜かす愚か者の姿を彼の聡明な頭脳がこれでもかと克明に思い出してしまう。

 

 

 

──もう一度言ってあげるよ! 君みたいなヴィランを集める奴のせいで僕達まで被害を食らってしまったら堪らないって言ったのさ!

 

 

 

「───ッ! 」

 

 

 

最早アレを生かしてはおけぬ。最前線で戦い続ける奴らは恐らくあそこで一進一退の争いを続けるだろう、時間的猶予は存在する。殺るなら今しかない。

 

 

 

「──殺す。完膚無きまでにズタボロにしてどっちが上かハッキリと理解させてやる」

 

 

 

「どうした爆豪! ウンコか!? 」

 

 

 

「黙ってろ爆風野郎! 俺より先に行ったらぶっ殺す! 精々前に行ってやがれ! 」

 

 

 

「……どういう事だ? 」

 

 

 

頭を傾げ疑問の表情を浮かべる夜嵐を無視して爆豪は宙へと飛翔する。今までなら飛翔する事が出来なかった空も今の状況なら自由に行くことが可能だ。

 

 

 

「──ハハッ! なんだ……邪魔が一切入らないなんて、A組は相当頭が悪いみたいだね吹出! 」

 

 

 

宙を舞う彼の視線の先に存在するのは己を超える一撃を放った存在、決して油断はしない。今は己より上の存在として扱う、呑気にモブを載せて笑う存在へと意識を向けた爆豪はニヤリと笑いながら天高く飛翔する。高度を上げ、上へ上へと。

 

 

 

それに気付かず戦場を横断しようとしている哀れな子羊達は地獄への片道切符を握っていることも知らずに前へ前へと向かう。

 

 

 

最前線には引合石と轟焦凍が一進一退の戦いを続け、上からは爆豪勝己が仕留めんと飛翔している。最前線の争いに巻き込まれれば確実に塵一つ残らない。そして、それよりも先に爆豪が爆風を纏い彼等の頭上へと落下してくるのだ。

 

 

 

「うーん……なんだろ物間。こうゾワゾワッとして……ゾクゾクってするんだけど……大丈夫かな。ほんとに? 」

 

 

「ハハッ! 大丈夫さ気にする必要はないよ! あの個性を振り回すしか出来ない馬鹿共だ。自分の事が手一杯でこっちまで手を向ける余裕なんてある訳が……ウン? 」

 

そんな他愛もない会話をしている2人だったが、獣の姿を取った物間の耳にある異音が届いた。

それは何かが連続して爆発している音だった、連続して続く爆音。その音が聞こえてくるのは自分達の遥か上空。

 

音に疑問を感じ物間が視界を上へと向けた瞬間。爆風を身に纏い、鋭い三白眼を此方へと向け修羅の形相で笑う存在がそこにいた。

というか爆豪勝己だった。

 

「ヤバ……ッ! 吹出ッ! 」

 

「こんなのアリ!? ヤバいって! ボヨヨンでズヒューンなやつ出すからさ! 頼んだよ物間! 」

 

その言葉と同時に吹出がボヨヨンという擬音を彼等の前方へと生み出す。ボヨヨンの擬音、それは弾力性を秘めた擬音。獣となった物間がその擬音を踏み込み、凄まじいスピードで前方へと滑空して行く。

 

だが、それを逃す爆豪勝己ではない。どれだけ前に行こうが彼の一撃の範囲内に彼等はいる。逃れる事は出来ない。

 

「し……」

 

後に、この一撃を後方から見ていた普通科の1人はこう語っている。

 

「いやぁ……あれはヤバかったですね。最前線で暴れてる奴らとかデッカイ文字作り出したアレもヤバかったんですけど自分的に一番怖かったのが爆豪のあの一撃でした」

 

「え? 轟や引合の方が危ない? そりゃそうですけど……なんて言うんでしょうか。爆豪に関しては殺る気が違ったと言うべきかなんと言うか……」

 

あれは、まるで……紅い。巨大な彼岸花を思い浮かばせる一撃でした。直撃したら普通ならミンチですね、ハハッ。

 

「ねぇぇぇぇぇぇッ! 」

 

爆豪がここで放った一撃は、後に彼自身によって榴弾砲着弾と名づけられるものであった。

 

閃光が辺り一帯を支配し、爆風の余波は逃げようとしていた物間達を吹き飛ばし、ついでに爆豪の着弾点の近くにいた仮想ヴィラン達を粉微塵へと変えた。

 

「───チッ! 生きてやがる! 」

 

己が放った最高の一撃で仕留め切れなかった事実に悪態を吐くが、これが駄目でも第2種目で確実に仕留めると気を引き締め、爆豪は爆風と共にその場を後にした。着弾点の遥か前方、現状他の誰よりも最前線、地獄への片道切符へと足を突っ込んでしまった物間達は自分達が怪我一つなくこの場にいる事実に安堵し、前へと進もうとした。

 

「ハハッ……ハハッ……生きてる……生きてる。やった……やった! ざまぁないね爆豪の奴! 彼のおかげでかなり先に進んだよ! 」

 

悪態を吐きながらも、奇跡的に無傷で済んだ事実に笑い、近くで倒れている吹出を起こそうとする物間の耳に吹出の震える声が届く。

 

「ねぇ物間……ヤバいよ。ここ、ヤバいって、ねぇ……聞いてる?ヤバいって、マジで」

 

「何を言ってるんだい吹出? 爆豪の奴はこっちに来てないし何一つ……「困ったなぁ……どうするショート? 」ん? 」

 

魔王の声が物間の耳を穿つ。それは爆豪を除いて聞きたくない存在の声、正面から立ち向かったら間違いなく勝ち目のない存在の1人の声。

 

「わりぃが……邪魔すんなら全力で行くぞ? 」

 

滅相もない。むしろこの場から去ってさっさと第二関門に進みたいんです、とは言えなかった。言えば間違いなく現状ヤバい奴のツートップが襲いかかってくるのは目に見えている。ここは無言で彼等の視線から逃れる為に逃走すべき、吹出はそう思いながら物間へと視線を向けた。アイコンタクトで物間はそれを了承する。良かった、取り敢えずはこの場を離れて機を狙おう。そう考えていた吹出に物間の声が届く。

 

「……悪いけど、僕達B組はそこで思考停止チンパンジー宜しく馬鹿みたいに暴れてる君達を倒して先に進む気なんだよねぇ! 君達A組は大人しく僕達の覇道の礎へと……」

 

「物間ァァァァッ!? 嘘でしょ! 正気じゃない! 気でも触れてるの!? 」

 

慌てて止めに入った吹出だが、時既に遅しは正にこの事、前門の引合、後門の轟と状況は変化してしまった。

 

「……大丈夫だよ吹出。策はある」

 

「ほんと……? 一体どうする気なの? 」

 

地獄の鬼に挟まれているような状況だが、これを乗り越える策とは一体どうするつもりなのだろうか? そう思った吹出が問うと、物間は笑いながら言葉を続ける。

 

「僕達の全力の一撃をもう一度お見舞いすれば良いのさ! 」

 

「馬鹿でしょ物間! そんな簡単にアレを出せる訳ないじゃん! もう1回アレを出したら僕達確実に使い物にならないよ! 」

 

先程放った一撃は時間を掛けたから放てたのであり、こんな短時間でポンポン出せる物ではない。そう吹出が説明すると、物間は突如滝のように汗を流し出す。現状を正しく理解したのだろう、何事もなかったかのようにその場を去ろうとする物間の元へ、引合がゆっくりと近付き始める。

 

「……知ってるか? 異形で脳がない人間以外は脳を揺さぶられただけで即、気を失うんだ。実体験だ、体験してみる? 」

 

笑顔でそう言いながら近付いてくる引合から逃げ去るように物間は獣の姿となり吹出を背負いながらその場から逃走する。

 

「何だったんだ一体……? 」

 

「さぁ? んじゃ……やるか! 」

 

三度、最前線で地獄の祭典が始まる。無事最前線から逃げ切った物間達は眼前で広がる地獄絵図を眺め呟く。

 

「漁夫の利狙うしか、ないか……」

 

「元から皆でそうするつもりだったじゃん……なんであんな事したの? 」

 

「やるしかないと思った。あの一撃をもう1回放って僕達B組の強さを皆に思い知らしめようと……」

 

「怒りづらいから……そういうのやめよ? 」

 

1歩進んで2歩下がるとは正にこれ、何やかんやで最前線に居たはずが既に後方へと下がってしまった。だが、物間と吹出。彼等2人のお陰で状況はドンドンと変化していく。

 

彼等が仮想ヴィランの大半を粉砕したお陰で引合の操っていた鉄の軍勢を超えて最前線へと、4人が進む事が出来たのだ。

 

『おいおいおい! 見てるかリスナー共! ついに最前線に爆豪、夜嵐、八百万、緑谷の4人が辿り着きやがったぞ! こっから一体どうなりやがる!? 』

 

『あの乱戦に4人が乱入するのか……うっ。腹が……』

 

その光景を見ていたマイクとイレイザーが思い思いの感想を口にする。そして、全ての中心にいる馬鹿は地獄絵図が更なる混沌へと進化した現実を理解し、心の中で泣いた。

 

「不味いな……どうするつもりだ引合? 」

 

「うーん……もう障子は先に行って良いよ、こっからはカバーしきれないから。また宜しく」

 

その瞬間、障子の身体が宙を舞い第一関門の先へと飛び立つ。そして馬鹿は自分の頬を叩き眼前に存在する5人へと視線を向け声高々に吠えたてる。

 

「ッしゃァ!来いやオラァァッ! 誰を相手にしてるのか思い知らせたるわアァアン! ここが第一関門最初にして最後の壁!まとめてここでKOしたるわァァァッ! 」

 

登竜門に5人の猛者が集う。

決着は近い。

 




大乱戦スマッシュA組ーズ
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