保身と保険の塊だせ!。
不良 始動!
白神桜花はジリリリィとなる電話の音で目を覚ました。
非常に気だるげに体を起こし寝惚け眼で時計を確認する。
時刻は十二時を回っていた。
桜花は面倒そうにチッっと舌打ちすると電話に出る。
耳に痛みが走った、原因は電話相手の怒声であった。
どうやら相当にお冠の様である。
「おいおい、いきなり大声出すんじゃねえよ 竹内ちゃん」
「おい!白神!もう十二時を回っているぞ、なにしてる!」
電話の主は教師のようだ。
大方、学校に来いという催促だろう。
「なにしてるって野暮なこと聞くなよ、電話に出たんだ家に居たしかねぇだろう」
とさも当然のようにそんな言葉を言い放つ
そんな桜花の言葉に竹内は呆れ返った。
「おまえなぁ、たまには学校に顔出すくらいはしろよ、おまえもう一週間も学校に来てないだろう、このままじゃ卒業できないぞ。」
「分かったよ 今日は学校に行くよ、毎日、毎日電話かけてきやがって」
そう言うとまだなにか言おうとしていた竹内を無視して電話を切る。
そして服を着替えはじめた。
着ていたシャツを脱ぎ制服を着る。
桜花の学校は学ランである。
支度をすませ玄関から出る。
その際にまた一際大きな欠伸を漏らして。
自宅から学校までは普通に歩けば15分程である。
だがこの男はどれほど面倒なのかその道を30分もかけて歩いて行った。
学校に着き、校門に入る。
目指す先は職員室だ。
廊下を歩いていると昼時だからだろう廊下に数人の生徒が立っていた。
彼らは桜花を見つけると、なにか話し始めた。
「みろよ、あの赤い髪あれってよ 噂のヤンキー新入生じゃねぇか?」
「絶対そうだよ、あの鋭い眼、族を潰したって言うのも納得だよ」
ぼそぼそと小声で話している奴らを睨み付けると彼らは噂話をやめ、走って行ってしまった。
(たっくよぉ、相変わらずうぜーのばっかだな)
桜花は根も葉もない噂で恐れられていた。
赤い髪は生まれついてのものであり染めてなどいないし、潰したといわれる族も桜花にとっては兄貴分的な存在で慕っている。
桜花が学校に来たがらないのもその噂が関係してるのかもしれない。
しかし噂の6割は堪え性のない桜花が実際に起こしたものでもあるので自業自得である
元々鋭い目付きをさらに鋭くして職員室まで歩く。
職員室に着くとノックもせずにドアを開けた。
中に入るとお目当ての人物を探して辺りを見渡す。
顔見知りである数人の教師は不登校である桜花が来たことに驚いた顔をしていた。
奥の方から声がかかる。
「お~う、やっと来たか こっちだ」
声のしたほうまでいくといかにも熱血教師という見た目の男が座っていた。
「竹内ちゃんよぉ、相変わらずごついな そんなんじゃ彼女もできねぇぞ」
開口一番、桜花の口からはそんな言葉が飛び出した。
どうやら、本人にも自覚はあったようで竹内は苦笑いを浮かべた。
「白神・・・お前は少し正直すぎるぞ、少しは自分の意見を曲げないとだな」
「うるせぇなぁ、俺にも分かってんだよ、でもよ 言いたいこといわねぇで後悔するなんざ俺にはごめんだ」
それが前世の自分が影響しているかは桜花にも分からないことだった。
しかしその言葉が竹内の琴線に触れたようだった。
この竹内という男、非常にいい教師なのだが熱すぎるのが玉に瑕。
一度スイッチが入ると話し続けてしまうのだ。
真剣な顔をして口を開こうとしている竹内を前にして、桜花は今後は少し言葉に気をつけようと誓うのだった。