ーいよいよ、物語は学園祭へ。ユフィは行政特区を設立するのは明らかであり、シャーリーにそれを止める力はない。これは運命なのだから。しかし、命じるギアスが二つあれど、救う可能性はシャーリーに託されるとはまた別の話である。
もう一つ、学園祭でゲイルが現れます。ゲイルの行動がシャーリーの感情を動かしていきます。ルルーシュの愛は健在であり、ゲイルも信頼しています。ルルーシュとシャーリーのこれからの関係などはまた別の機会に。
『さあ、始まりました。アッシュフォード学園、学園祭。始まりの合図はお馴染みのこの人!』
「いいんですか?」
「パパッとやっちゃって〜!」
ナナリーは大きく息を吸い込み、
『ニャー』と叫ぶ。学園祭のスタートである。
シャーリーは、書類で目に通した雑務に追われていた。自分の部活の出し入れもあり、部活の方は部活仲間にフォローしてくれるとして、生徒会の出し入れは午前、午後とも別々なので、かなり大急ぎだった。
途中、外の様子を見に、ベランダに立ち寄ると、何やら記しを付けて遊んでいる女子生徒を見かけたが、シャーリーにとっては興味なく、すぐさま雑務に戻る。
「いたいた。シャーリーさーん!」
シャーリーを呼んだのは、何とゲイルではないか。シャーリーは誰もいない部屋へゲイルを連れて行き、険悪した顔でゲイルを睨む。
「ねえ、何で来たの?」
シャーリーの険悪ムードに、ゲイルはまったく動じず、辺りをすぐさま見回してたりして、さらにそれがシャーリーを怒らせたのか、ゲイルを使ってない別室へ連れ込む。
「あのね、今、私たちが見られたら、変に誤解されるでしょう?それに、変な噂たったら、私も好きな人がいる…」
ルルーシュの顔を浮かべ、それが不意を招いたのか、ゲイルの思わぬ行動にシャーリーは茫然とした。
ゲイルがシャーリーのおでこにキスをしたのだ。
「何するの〜」
ゲイルを平手打ちしようと手が出たが、ゲイルも運動神経がいいせいか容易く避けられてしまう。のらりくらりと逃げたゲイルは微笑んで、
「午後に一大イベントがあるんだろう?後で、午前のイベントを見終わったら探すから迎えにいくよ!じゃあ、イベント準備、頑張ってな〜!」
ゲイルは微笑んで部屋を出ていく。シャーリーは先ほどの光景を思い出し、机にガクリと体を倒す。
「ルルは好きだけど、変に関われないし、ゲイルも何なのよ〜!」
忙しいのは分かるが、シャーリーはしばらくはこうして居たかった。まだドキドキしている。ナリタ連山の父親の悲劇を招いていれば、恋はルルーシュに傾き、進展していたかもしれない。でも、それを経験しているからこそ、父親の悲劇を回避した。そのせいで片思いのままには変わりない。
ルルーシュやナナリーが皇族の身分隠して、アッシュフォードにいるなら、ルルーシュの護りたいという願いもあってのことだろう。神根島でロロに会った。つまり、歴史は変わらず動いている。守ろうとすればするほど、敵対している自分の行動に苛立つ。
「こんなに考えても仕方ない!今は仕事仕事!」
シャーリーは気持ちをどうにか切り替え、生徒会や水泳部の仕事を専念することに決めた。今は恋より仕事が先である。前も仕事は忙しかったのだ。生徒会や水泳部の仲間に迷惑かけては前の自分が果たしたはずの責務を放棄することになる。とりあえず、午前の部が終わるまで仕事に集中しよう。
ミレイの声が校内に響く。そろそろ、午前の部が終わる時間だ。シャーリーは早く終わったので生徒会室に先に向かい、ぐたりと体を倒す。
「疲れた〜!ゲイルが見回る度に居て、仕事するにも大変なのに他人の振りしないと噂されるから神経使っちゃったよ〜!ルルは相変わらず、忙しくて仕事の内容しか話してないし」
シャーリーがぶつぶつと言って愚痴をこぼしていると、ミレイやルルーシュたちが入ってきた。カレンはまだ学校に来ていないのか、ミレイにすぐに聞いたが分からないらしい。
「ところでさ〜、シャーリー!ルルーシュ以外の男と話してる、って女子の噂立ってるけど、本当なの〜?」
「嘘、マジで〜!俺てっきり、ルルーシュとくっついているように思えたけど」
ミレイの情報に、リヴァルはルルーシュの方を見ながら言った。
「シャーリーの明るさなら、交友関係広いと思うから友達ですよ!いいな、シャーリー!顔広くて」
ミレイやリヴァル、ニーナは思った。出た、朴念仁のスザクの天然。ルルーシュも相変わらず、話に興味さなそうに片手を顔に近づけて、仮眠を取っている。この朴念仁共、シャーリーに少しは気を遣わんかい。
シャーリーを見て、スザクとルルーシュのことを思うとミレイたち三人は溜息を付くのだった。
「シャーリー、迎えに来たよ〜!みんなでお昼食べよ〜」
水泳部の仲間が生徒会室にやって来て、シャーリーを誘って来た。
「あんな朴念仁たち放っておいて、お昼食べちゃいな、シャーリー!」
「ありがとうございます、会長!」
「うんうん。午後の部も張り切っていこ〜!」
うわー、会長のやる気満々。と、リヴァルは困った顔をしていた。
シャーリーは水泳部の仲間と昼食を取りながら、ゲイルを探していたが、別の店で食べたり遊んだりしているのか、中庭には姿がなかった。
あれほど、探して迎えに来ると言っていたゲイルが来ないと、水泳部の仲間だけではこの学園祭は寂しいものである。
その頃、ユーフェミアはSPに護衛されながら、スザクを探しに学園祭に出向いていた。そこで、ふとした拍子から、ナナリーと再会して居候の部屋へ案内されることになった。
リヴァルとニーナが午後の部の巨大ピザ作り用のナイトメアを動かすため、研究室へ道具を取りに行く。スザクはミレイに頼まれ、ピザの具である野菜の調達と足りない調味料の買い出しに走ることになった。
ルルーシュはミレイに呼び出され、ユーフェミアがナナリーと会っているところを知ることになる。ルルーシュはどうしても、ユーフェミアに聞きたいことがあったが、この学園祭に来ているなら早いほうがいいと思った。
午後の部も始まる少し前。スザクは買い出しの終わった野菜を洗い、調味料を足りない場所へ追加してダンボールに入れる。スザクはテキパキとこなし、洗った野菜を細かく切っていく。たくさんあるので、巨大ピザ作りの前には全て終わるだろう。そこに、一つの足音が聞こえる。
「学校に来てくれたんだね、カレン」
カレンはムッとして、ナイフを握っている手を強く握る。
「どうして、誰にも言わないの?てっきり、言ったかと思って、覚悟して来たのに」
「君とは、この学園では対等に居たい。でも、君が黒の騎士団として戦うと言うのなら、戦場では必ず君を撃つ!」
「お人好しもいいところね」
「よく言われるよ」
カレンのお人好しという言葉に、スザクは笑った。カレンはやる気をなくし、ナイフをポーチに仕舞う。
「スザク、野菜を切り終わったら…」
やって来たルルーシュはカレンとスザクを見て、
「カレン、学校に来て…」
「うん、体調もいいし、私も学園祭の準備を手伝おうかと」
一気に、お嬢様カレンに変わり、活発カレンさんの姿はなくなる。
「ちょうど良かった。カレンにやってもらいたい仕事があるんだ。午後の部からだから、そこへ案内するよ。簡単だから、すぐ覚えられると思うよ」
ルルーシュに案内され、シャーリーの記憶では確認できないが、カレンにお似合いといったルルーシュが案内したのは、お化け屋敷の手伝いだった。
カレンは断り切れないまま、衣装の着替えや流れを聞かされ、活発な自分とおしとやかな自分の両立にまたも腹が立ち、ルルーシュにこき使われたということもあり、既に手遅れだった。
シャーリーは午後の部の催し物の確認に回り、午後の部の再開を待った。午前の部とは催し物が半分以上違うため、ルルーシュは時間の確認の連絡、シャーリーは備品や先ほどの催し物の確認などで、手分けして作業を行うことになっていた。途中で、ゲイルが女の子たちに囲まれているのを見て、こいつも女垂らしか、と思いつつ、素っ気ない振りしてその場を去ったのであった。